2015年にデビュー(国内発売は2016年)したメルセデス・ベンツのミドルクラスSUV“GLC”が初のフェイスリフトを受けた。結果から言えば、フェイスリフトという言葉からは想像出来ないほどの進化を遂げていた。ドイツ・フランクフルト周辺で開催された国際試乗会からレポートをお送りする。REPORT●大谷達也(OTANI Tatsuya)
もはや金属ばねには戻れない? エアサスの圧倒的な完成度
キャデラックが「CT4-V」と「CT5-V」を設定。CT6-Vと合わせて新世代Vシリーズが出揃う
そぼ降る雨のなか始まった試乗会では、まず300dに試乗する。ところが、スタート地点となった空港近くの駐車場から一歩(一輪?)外に走り出しただけで、その圧倒的な進歩に舌を巻くことになった。
まず、ディーゼル・エンジンの燃焼音がとても小さく、回転フィールも実に滑らか。しかも、アイドリングでもほとんど振動が感じられない。トルク特性もフラットで扱い易く、レスポンスも良好で文句の付けどころがなかった。極めて完成度の高いディーゼル・エンジンと評価できる。
それとともに印象的だったのが乗り心地が驚くほど快適だったこと。従来型では路面の継ぎ目などではっきりと感じられたショックがほぼ完全に消し去られているうえ、大きなうねりを強行突破してもフラットな姿勢を崩さない。
「これは、もしや?」と思って小休止の際に下回りをのぞき込んだところ、案の定エアサスペンションだった。メルセデスのエアサスペンション装着車はソフトで鷹揚で極めて快適だけれど、GLCの場合もまったく同様。この心地よさを一度味わったら、元の金属ばね仕様に戻るのはちょっと難しいんじゃないかと思えるほど、その完成度は高かった。
続いて同じくGLC300dでオフロードコースを走る。雨は少し前に止んでいたものの、粘土質のコースはぐっしょりと濡れていていかにも滑りやすそう。そこを、サマータイヤのピレリ・スコーピオン・ヴェルデで走るというのだから苦戦を強いられてもおかしくない。ところがGLCはときに上り勾配が30%近くにもなる難コースをなんの苦労もせずに走りきってみせたのである。
その際の走りは、たとえば本格オフローダーのGクラスのようにひたすら強力なトラクションをかけて前に突き進んでいくタイプとは異なるものの、急坂をわざと微低速で上ったり、途中で一旦停止して再発進してもトラクションコントロールはほとんど作動せず、スムーズに走り抜けてみせた。基本となるトラクション性能が高いことの証明だろう。
オフロード走行を終えた私はガソリン・エンジン・モデルのGLC300に試乗した。4気筒 2.0Lターボエンジンにベルト駆動のスターター・ジェネレーターを組み合わせた新ユニット“M264”は、従来のGLC250に搭載されていた“M274”の進化版で、48Vマイルドハイブリッド・システムを構築。エネルギー回生に加えてエンジン・パワーのブースト機能も実現しており、2500rpm付近の実用域で力強さが増しているという。
このエンジン、スロットル・ペダルを踏み込めば比較的早めに“電気ブースト”が立ち上がるものの、それによってドーンと加速するわけではなく、感覚的には「あー、確かにトルクが少し厚くなったかなあ」という範囲に留まる。ただし、私はこの設定が正しいと信じる。
マイルドハイブリッドの主力原動機はエンジンで、電気モーターはあくまでも“従”の役割に過ぎない。にもかかわらず、電気モーターで過大なアシストをすれば、エンジンだけが働いている状態との乖離が生まれ、ドライバーは違和感を覚えることだろう。その点、GLC300はエンジンの弱点を軽く補うだけで電気モーターはあくまでも黒子に徹しているため、自然な仕上がりに感じる。この辺は、メルセデスがEQシリーズで培ってきたノウハウが生きているように思う。
GLCの魅力は全方位的に磨かれた
最後に試したのはフラッグシップのGLC63AMG。私は従来型の国際試乗会にも参加し、AMGとは思えないしなやかな乗り心地とアクセルでステアリング特性を自由自在にコントロールできるキャラクターに魅了されたが、新型はこの傾向がやや影を潜め、路面からの振動や衝撃がより明瞭に伝わるようになった。
エンジニアに確認したところ、新型はシャシー系の電子デバイスをすべて統合制御にして「より正確なハンドリング」に改めたものの、基本的なセッティングは変えていないという。だとすれば、そうした電子制御系の設定によるものかもしれないが、個人的には従来型のしなやかな乗り心地のほうが好みである。
さて、ここまで今回の国際試乗会で体験した内容を駆け足で紹介したが、300dは日本に導入されず、220dが継続販売になるという。もっとも、私が感動したエアサスペンションは日本仕様にも設定される見込みなので、こちらは非常に楽しみ。
さらに、ガソリン仕様では試乗会にも用意されていた300と63AMGに加え、43AMGとプラグインハイブリッド版の350eも引き続き日本で販売される見通し。また、新型Aクラスへの導入で注目を集めた新ドライバー・インターフェイス“MBUX”も搭載されるので、GLCの魅力はさらに磨かれたといっていいだろう。
GLC300 4MATIC
メルセデス・ベンツGLC300 4MATIC
全長×全幅×全高:4669×1890×1644mm
ホイールベース:2873mm
車両重量:1805g
エンジン形式:直列4気筒DOHCターボチャージャー
総排気量:1991cc
ボア×ストローク:83.0×92.0mm
最高出力:190kW(258ps)/5800-6100rpm
最大トルク:370Nm/1800-4000rpm
トランスミッション:9速AT
フロントサスペンション:ダブルウイッシュボーン
リヤサスペンション:マルチリンク
タイヤサイズ:235/65R17
GLC300d 4MATIC
メルセデス・ベンツGLC300d 4MATIC
全長×全幅×全高:4669×1890×1644mm
ホイールベース:2873mm
車両重量:1805g
エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボチャージャー
総排気量:1950cc
ボア×ストローク:82.0×92.3mm
最高出力:180kW(245ps)/4200rpm
最大トルク:500Nm/1600-2400rpm
トランスミッション:9速AT
フロントサスペンション:ダブルウイッシュボーン
リヤサスペンション:マルチリンク
タイヤサイズ:235/65R17
GLC300 4MATIC クーペ
メルセデス・ベンツGLC300 4MATIC クーペ
全長×全幅×全高:4742×1890×1602mm
ホイールベース:2873mm
車両重量:1825g
エンジン形式:直列4気筒DOHCターボチャージャー
総排気量:1991cc
ボア×ストローク:83.0×92.0mm
最高出力:190kW(258ps)/5800-6100rpm
最大トルク:370Nm/1800-4000rpm
トランスミッション:9速AT
フロントサスペンション:ダブルウイッシュボーン
リヤサスペンション:マルチリンク
タイヤサイズ:235/60R18
GLC63S 4MATIC+
メルセデス・ベンツGLC63S 4MATIC+
エンジン形式:V型8気筒DOHCターボチャージャー
総排気量:3982c
最高出力:375kW(510ps)/5500-6250rpm
最大トルク:700Nm/1750-4500rpm
トランスミッション:9速AT
フロントサスペンション:ダブルウイッシュボーン
リヤサスペンション:マルチリンク
0-100km/h加速:3.8秒
最高速度:280km/h
GLC63S 4MATIC+ クーペ
メルセデス・ベンツGLC63S 4MATIC+ クーペ
エンジン形式:V型8気筒DOHCターボチャージャー
総排気量:3982c
最高出力:375kW(510ps)/5500-6250rpm
最大トルク:700Nm/1750-4500rpm
トランスミッション:9速AT
フロントサスペンション:ダブルウイッシュボーン
リヤサスペンション:マルチリンク
0-100km/h加速:3.8秒
最高速度:280km/h
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
「タイヤの摩耗が早い」「買い取り価格は期待できない」EVにまつわる巷のウワサ6つの真実
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
水道代がかからないしエコだからって「井戸水」「雨水」洗車はNG! キレイにならないどころか塗装を傷める可能性もあった
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?