車の歴史 [2023.09.27 UP]
【あの頃、あの車】52年前に発売したロータリー車、マツダ サバンナってどんなクルマ?
RX-8を最後にロータリーエンジンの役目は終えたかに思われた。しかし、先日マツダはMX-30のロータリーエンジン搭載車を発表。PHEVの発電用とはいえ、令和の時代にロータリーエンジンが復活したのは驚きだった。
MX-30ロータリーEVで再び注目…マツダとロータリーエンジンの歴史
ロータリーといえば、今でも忘れられないクルマがある。今から52年前となる1971年9月に発売されたマツダ サバンナだ。1971年といえば、高度経済成長が終わりに差し掛かった頃。世間では戦争の記憶も薄れ、新しい未来へ向かって日本が歩み出した時代である。今回は、そんなご時世に生まれたマツダ サバンナにフォーカスを当ててみよう。
1971年(昭和46年)ってどんな年?
マツダ サバンナ GS II(1971年)
高度経済成長も終わりに差し掛かった1971年は、カラーテレビが一般の家庭に少しずつ普及してきた時代。今では想像もできないが、それまでテレビといえばモノクロが当たり前だったのだ。1971年10月、NHK総合テレビが全番組カラー化したのも普及を後押ししていた。また、この年から1974年までは第二次ベビーブームと言われており、日本での出生数が200万人超えを記録。この時代に生まれたのが、いわゆる団塊ジュニア世代である。ちなみに2022年の出生数はおよそ77万人だ。
我々の生活でもトピックは多かった。この年、日清食品がカップヌードルを発売。当時インスタント麺といえば袋麺が主流だったが、容器にお湯を注ぐだけで食べられるカップヌードルは非常に斬新だった。そのほか、マクドナルドの日本第1号店が銀座にオープンするなど、国民の食生活にファーストフードが浸透していった。ファッション&カルチャーでは、ジーズブーム、ボウリングブームなどもトピックで、この頃はあちこちにボウリング場が立ち並んでいた。食や娯楽の大きな転換期を迎えたのも、この時代を象徴している。
RX-7の前身となった魅惑のロータリースポーツたち
マツダ コスモスポーツ(1967年)
1963年10月の東京モーターショー(全日本自動車ショウ)で、世界初の2ローターエンジンを搭載したマツダ コスモスポーツがお披露目された。ロータリーエンジンを最初に実用化したのはドイツの自動車メーカー「NSU」だったが、よりパワフルな2ローターを導入し積極的に市販車に取り入れたのはマツダである。コスモスポーツのデザインは美しく未来的で、しかも伝説のロータリーエンジンを搭載したとあって、この年のショーの花形モデルとして来場者をあっと驚かせた。しかしながら、生産化への道のりは苦難の連続でもあった。エンジン内壁面に摩耗跡が残るなど、市販車には欠かせない課題が続出。1967年5月に発売されるまで、徹底的なテストと改良が重ねられた。
マツダ ファミリア ロータリークーペ(1968年)
マツダ カペラ ロータリークーペ(1970年)
マツダは、ロータリーの血統をコスモスポーツ一代限りで終わらせることはなかった。1967年にはファミリアロータリークーペ、1969年にはルーチェロータリークーペが登場したほか、1970年にはミドルクラスのカペラにもロータリーを搭載。マツダのロータリー攻勢(当時ロータリぜーションと呼ばれていた)は、当時のクルマ好きの心を鷲掴みにした。そして、ロータリー第5弾として登場したのが今回のテーマであるマツダ サバンナである。
海外ではRX-3と呼ばれたコンパクトスポーツの傑作
マツダ サバンナ GT(1972年)
1971年9月に発売されたマツダ サバンナは、全長4065mm、全幅1595mm、全高1335mmというコンパクトなボディを持つ。これはファミリアとカペラの中間的な大きさで、車両重量は1トンを切っていた。サバンナといえば2ドアクーペに注目が集まりがちだが、4ドアセダンやショートワゴンも用意された。当初搭載されたエンジンは10A型ロータリーで、105馬力を発揮。1972年の改良では120馬力の12A型を搭載し、その走りに磨きをかけている。車両重量が900kg弱ということもあり、その走りは一級のスポーツカーそのもの。ちなみに輸出名はRX-3と呼ばれており、そのスピリットはRX-7にも受け継がれている。
また、サバンナはモータースポーツで大活躍したのも有名だろう。当時、無敗神話を誇っていたスカイラインGT-Rと激闘を繰り広げており、1976年には単一車種で国内レース通算100勝を挙げる記録を打ち立てた。ロータリーがモータースポーツでのポテンシャルを証明したのもサバンナの大きな功績と言っていい。1978年、後継モデルのサバンナRX-7にバトンタッチして生産は終了。精悍なルックスと走りは、52年経った今でも色褪せず輝いている。
いまの中古車相場はどうなってる?
マツダ サバンナ GS II(1973年)
ところで、マツダ サバンナの相場はどうなっているだろうか。そもそも入手可能なのか気になるところ。
今回調査したところ、グーネットでヒットしたのはわずか1台(2023年9月現在)。1976年式なので、12Aを搭載した後期型である。車両価格はASKとなっているが、実際は1000万円弱で販売されているようだ。また、一部の専門店でも時々物件が出てくるようだが、500万円~1000万円程度で販売されることが多いようだ。現状中古車を入手するのは極めて困難で、ほしい場合はクラシックカー専門店に相談するのがよいだろう。
まとめ
マツダ サバンナ GS II(1971年)
コスモスポーツからサバンナ、そしてRX-7、RX-8へと受け継がれてきたマツダのロータリゼーション。2012年にRX-8が生産終了し、その灯火は消えたかに思われた。しかし、11年の時を経てMX-30 ロータリーEVとして、新たにロータリーエンジンが復活。今回はあくまでPHEVの発電用エンジンとしての採用だが、今後はさらなるモデル展開にも期待が寄せられる。52年前、マツダ サバンナが見せた鋭敏な走りのDNAを受け継ぐ次世代スポーツモデルの登場も、可能性がゼロではないはずだ。
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みんなのコメント
濃ゆい「モスグリーン」のサバンナRX-3メチャクチャかっこよく見えました♪ 戦闘的、好戦的な獰猛そうなで、猛禽類を思わせる精悍なフロントグリル…その当時の高性能車のシンボル「オーバーフェンダー」
ナント言っても…「サバンナ」という名前の響きがアフリカのサバンナ草原を思わせて「野生的」なイメージを掻き立てられました♪ 運転手は…やっぱりヤンチャそうな兄貴が転がしてました♪
子供心ながら、ヤバそうな危険な匂いがする車でしたね