既存メーカーを悩ませる？ アイウェイズ U5へ試乗 バッテリー63kWh 航続距離400km

2023年には英国でも購入可能になるU5

バッテリーEV（BEV）で急進的に自動車市場へ参入したテスラは、主力の選択肢の1つに選ばれるまで10年を要した。一方で中国の新興メーカー、アイウェイズは同じことを5年で成し遂げようとしている。まだ、殆どが自国内で販売されているけれど。

アイウェイズが設立したのは2017年。現在までに年間の生産能力が30万台という規模の工場を竣工し、自社の研究開発センターと駆動用バッテリーの量産拠点も完成させた。

現在は、100年に1度と呼ばれるようなパラダイムシフトの中にある。このBEVへの大変革期のタイミングを掴み、グローバルブランドに躍り出ようという、大きな野望を実現させることが目標だ。

欧州市場への進出計画も進んでおり、2023年には英国でもアイウェイズを購入できるようになる予定。それに先立って、ファミリー・クロスオーバーの新モデル、U5をロンドン郊外で試乗させていただく機会を得た。

このU5は、同社がイチから開発したBEVで、一切の妥協なく設計・開発を行ったと主張されている。車内空間は最大化され、エネルギー効率も追求しているという。

スタイリングには、不足ない存在感があると思う。近年の多くのBEVも同様といえるが、美しさ以上に重視されている要素なのかもしれない。

広々とした車内　割り切った装備

ドアを開いてみると、車内は確かに広々としている。フロントシートに高身長の大人が座っても、リアシート側にはリムジン級の足もと空間が残る。横に大人が3名並んでも、窮屈には感じないだろう。

荷室容量も大きく、リアシートを使った状態で496Lを確保。折りたためば1619Lへ拡大できる。

助手席前にはグローブボックスが備わらないが、そのぶんゆとりはある。手荷物を隠す場所に困る場合は、レザー製のケースをオプションで追加可能だそうだ。つまり価格を抑えるため、必要と思われる装備以外は割り切って省かれている。

その一環といえるのが、ダッシュボード中央には大きなタッチモニターが据えられる一方で、ナビゲーションがインストールされていないこと。スマートフォンとのミラーリングでまかなうことを、アイウェイズは選択した。

ユーザーはポンプという名のアプリをダウンロードし、手持ちのスマホにインストールすることでナビが使える。交通情報や充電ポイントの検索にも対応するという。

クルマ自体のパワーオンやオフも、このタッチモニターを介して行う。中国企業で技術的なリーダシップを握りたいという、同社の姿勢を象徴しているようにも感じられた。

快適性と姿勢制御の高バランス　航続400km

U5の走行フィールは清々しい。軽く回せるステアリングホイールと、柔らかめのサスペンションが中国車らしい味付けといえる。カーブでは大きめにボディロールするが抑制されており、不安になるほど傾くことはない。感覚的な印象は淡白だ。

英国の路面状態は褒めにくいため、ソフト寄りなサスペンションは良く機能すると考えられる。快適性と姿勢制御のバランスでは、理想に近いように思う。

U5はシングルモーターの前輪駆動で、最高出力は203psを発揮する。多くのBEVと同様に、静止状態から勢いよく加速していく。

走行中の車内は静かで、タイヤのノイズや風切り音もしっかり抑え込まれている。駆動用モーターが微かにうなりを響かせるものの、聞き耳を立てれば気づく程度だ。

駆動用バッテリーの容量は63kWhで、このクラスとして特に大きくはない。最高速度は159km/hに設定されており、ファミリー・クロスオーバーとして考えれば不足ないはず。1度の充電で走れる航続距離は、400kmがうたわれる。

15万kmか5年間の新車保証も付く

上級ブランドのアウディQ4 eトロンだけでなく、英国ではコスパで人気のキア・ニロEVなどのBEVと比較しても、間違いなくアイウェイズU5は洗練性で劣る。運転して得られる印象は異なる。

しかし、価格は魅力的で車内空間は広々。インフォテインメントも割り切ったシステムとはいえ、充分に機能する。先日、MGモーターのMG4へ試乗したが、それに並ぶ訴求力は備わっているといっていい。

アイウェイズは、欧州市場では15万kmか5年間の新車保証を付帯すると発表している。また、8年後か15万kmを走行した時点で、駆動用バッテリーの容量が75％以上保たれることも保証するという。

U5の完成度は低くなく、関心させられる部分もある。アイウェイズは、既存の自動車メーカーを悩ませる存在になるかもしれない。

アイウェイズU5 プライム（欧州仕様）のスペック

英国価格：3万3500ポンド（約552万円）
全長：4680mm
全幅：1865mm
全高：1700mm
最高速度：159km/h
0-100km/h加速：7.8秒
航続距離：400km
電費：6.4km/kWh
CO2排出量：−
車両重量：1770kg
パワートレイン：永久磁石同期モーター
バッテリー：63kWh（実容量）
急速充電能力：−
最高出力：203ps
最大トルク：31.4kg-m
ギアボックス：シングルスピード

Comments

本田車か思った。

うん。
顔がマズイ。