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【なぜ?】フォード・マスタング、同じスポーツクーペのフェアレディZより人気が長続きするワケ

掲載 更新 3
【なぜ?】フォード・マスタング、同じスポーツクーペのフェアレディZより人気が長続きするワケ

マスタングの人気、世界一 一方Zは

text:Kenji Momota(桃田健史)

【画像】色によって印象が大きく変わる 2017~2020年のマスタング【バリエーション】 全100枚

「マスタング」の人気は根強く、販売も順調だ。

現行モデルである第6世代は、2015年登場から2019年12月までの累計販売台数が、世界146か国で63万3000台に達した(フォード本社調べ)。

2019年単年でも、10万2090台となり、世界で最も数多く売れたスポーツカーとなった。また、スポーツクーペとしてのカテゴリーでは5年連続での世界ナンバーワンである。

では、日本車の場合はどうだろうか?

スポーツカーで最も長く、同じ車名で生き続けているのは、日産「フェアレディZ」だ。ジャパニーズスポーツカーの代名詞である。

現時点で世界全体での販売台数集計をまとめることができなかったが、世界で最も多く売れているアメリカの数字を見る。

モデル名「370Z」として2019年単年で、前年比31.3%減と大幅に落ちて2384台だった。日本国内での販売は、単月では100台に届かない月も多い。

現行モデルはマスタングと同じく第6世代だが、車齢はマスタングの5年に対して、フェアレディZは12年と倍以上も長い。

近年中のビックマイナーチェンジが噂されているが、プラットフォームやパワートレインなど刷新するフルモデルチェンジに関する情報もない……。フェアレディZの未来が見えない。

一方のマスタングは、モデル中期から末期になっても意気揚々。

マスタングの強みとはいったいどこにあるのだろうか?

マスタング、もとはエコカーだった?

マスタングの歴史を紐解くと、マスタングの強みがはっきりとわかる。

そもそも、マスタングはエコカーだった、といえるかもしれない。

1964年登場の初代は、ポニーカーと呼ばれるカテゴリー。ポニーとは、小型の馬である。つまり、マスタングは当時としてはコンパクトカーの一種だった。

50~60年代初頭のアメリカは、戦後の高度経済成長を謳歌し、クルマのボディサイズは大型化が進んだ。見た目が大きくて立派、エンジンの排気量が大きくてパワフル、インテリアは調度品のようなゴージャスさ。

世界のなかで、アメ車は特異な進化を遂げていた。

そうしたなかで、価格を抑えて、若者にも手が届くクルマを、フォードが企画した。

欧州車のような大衆性とは別の方向性として、スポーティさを強調し、ボディスタイルは2ドアクーペとした。

搭載したエンジンは、2.8L直列6気筒。当時としては小さめのエンジンであり、相対的にはエコなクルマだった。

そんなベース車を、いわゆるマッスルカーとして、外部チューナーのシェルビーがSCCAトランザムシリーズなどに向けて、レーシングカーとして仕立てた。

こうした初代の遍歴が、現行モデルに受け継がれている。

ただし、その間の道のりはとても険しかった……。

マスタング、第2~4世代までの迷走

70年代に入り、排気ガス規制とオイルショックによって、従来の「アメ車」は事実上、死滅した。

マスタングもモデル名こそ残ったが、第2世代は初代とは似ても似つかぬ、コンパクトカーになってしまった。

筆者(桃田健史)は第2世代とリアルタイムで接していたが、スポーティ性は感じることができず、当時でも初代マッハワンへの憧れの方が強かった。

80年代から90年代は、アメリカ各地で第3世代と第4世代に数多く触れた。

フォード主催の試乗会や発表会、レーシングスクールでの教習車、チューニング系のロードゴーイングカー、またレンタカーでの利用など、様々な機会で乗ったが、同等のボディサイズのスポーティクーペとなると、フェアレディZの方が魅力的だと感じていた。

それでも、アメリカンクーペが購入したいと思い、米東部のノースキャロライナを本拠地としていた頃、マスタングよりひと回り大きなサンダーバード(通所Tバード)に乗っていた。

マスタングも一応、ショッピングリストに載せていて、ディーラー各所で実際に商談もしたのだが……。

当時、筆者はNASCARに関わっていたので、フォードのマシンがサンダーバードをベースとしていたことも、マスタングを選ばなかった大きな理由だった。

こうしたマスタングのイメージがその後、一気に変わる

マッスルカーへの原点回帰が奏功した

2004年1月の北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー)。開催会場であるコボセンターに隣接する、フォード専用の発表会スペースは熱気に包まれていた。

舞台に登場したのは、第4世代とは似ても似つかぬ、初代への原点回帰をモチーフとした第5世代だった。

ポニーカーではなく、シェルビー系ハイパフォーマンスを中核とするマッスルカーへの原点回帰である。

第5世代のチーフエンジニアは、前職がフォードインディカープロジェクトのマネージャーであったことで、筆者はレース場で何度も面識があり、第5世代の商品企画について詳しく聞いた。

彼は「今後、シェルビーバージョンなどのラインナップを拡充する予定です。マスタングは初代にように、男女を問わず、幅広い年齢層対して、間口を広げたモデルになるべきだと思っています」と将来構想を説明した。

この考え方が、第6世代へと繋がっているのだ。

このように、マスタングは商品性が定まらない時期など、紆余曲折を経て現在の姿を実現している。

見方を変えると、時代背景によって商品性を変えたことが、人気を維持する秘訣といえるかもしれない。

第6世代では、ベース車でのエコブーストから、パイパフォーマンス系ではシェルビーGT350、GT350R、GT500トラックパック等、多彩なバリエーションを取り揃えている。

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みんなのコメント

3件
  • カッコいいからでしょ。ところで右ハンドルなぜ輸入しないの?イギリス仕様は右ハンドルだよ。
  • まぁ新車で買うなら?って聞かれたらZよりマスタングかなぁ。
    現行も好きだけど実は4代目も好き。初めてマスタングって車を認識したのがこの頃だった。

    ちなみに、『Mach 1』はやっぱり『マッハ1』て読みでいいんだよね?
    どっかのゲームで『マック1』て読み方しててモヤモヤしてた。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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