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キャシディは王者獲得ならず。ジャガー勢の自滅でポルシェのウェーレインが逆転初タイトルに輝く/フォーミュラE最終戦

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キャシディは王者獲得ならず。ジャガー勢の自滅でポルシェのウェーレインが逆転初タイトルに輝く/フォーミュラE最終戦

 7月20~21日、イギリス・ロンドンで2023/2024年ABB FIAフォーミュラE世界選手権シーズン10の最終大会『ロンドンE-Prix』が開催され、パスカル・ウェーレイン(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム)が逆転で自身初となるフォーミュラEチャンピオンを獲得した。

 いよいよシーズン最終大会を迎えた2024年のフォーミュラE。屋内と屋外のセクションが混在する特設サーキットが舞台となるロンドンE-Prixは、日本でも活躍したニック・キャシディ(ジャガーTCSレーシング)がランキングトップで迎え、初タイトルへの期待が高まっていた。

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 20日に行われた第15戦では、ランキング3位のウェーレインがアタックモードを作動させつつ、エネルギーを節約しながらリードを保つという戦略を採る。トップ走行のウェーレインは、ランキング2位のミッチ・エバンス(ジャガーTCSレーシング)との2番手争いを制し、逆転ランキングトップに立つ優勝を飾った。

 一方、まさかの17番手スタートから決勝を戦うことになったのキャシディは、レース中に必須となるアタックモードを使用する際にアクティベートゾーンを通過するも、アタックモードを起動できないという二度のミスが響き7位フィニッシュ。これでランキング3位に後退となった。

 迎えた翌日のシーズン最終戦の予選。一度はタイトルから遠のいたようにみえたキャシディが、“デュエル”でライバルたちを圧倒するタイムを次々と記録し、タイトルがかかる一戦でポールポジションを獲得してみせる。

 決勝では、ランキング2位でキャシディの僚友であるエバンスが序盤で2番手に浮上。ジャガー勢のワン・ツーでレースが進んでいく。しかし、背後からはジャガー最大のライバルとも言えるウェーレインが迫り、6周目にはタイトルを争う3台がトップ3争いを繰り広げる。

 2対1でレースを進めるジャガー勢が有利なのは明らか。ペースをコントロールしながらドライバー&チームチャンピオンへと駒を進めるジャガーだったが、キャシディが一度目のアタックモード使用後、エバンスに対してどの位置で戻るかを巡って無線で少しの口論が起こってしまう。

 その混乱を見逃さなかったウェーレインは、ジャガーのワン・ツーを崩して2番手に浮上。その後も終盤まで首位エバンスの背後で周回を続け、エネルギー残量で有利に立つ。ジャガーチームはキャシディとエバンスの位置を巡り無線で意見が飛び交うなか、トップ3の後方には9番手から追い上げてきたオリバー・ローランド(ニッサン・フォーミュラEチーム)が迫る。

 そして28周目、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム)との接触でマシンにダメージを負っていたキャシディが、最終区間でローランドにかわされ後退。ペースの鈍ったキャシディは、さらにその直後にマキシミリアン・ギュンター(マセラティMSGレーシング)からの追突を受け万事休す。そのままピットに戻り、マシンをガレージに入れてしまった。

 キャシディの脱落でタイトル争いはエバンスとウェーレインの一騎打ちに。ただ、ふたりは首位争いの最中でアタックモードを使用しておらず、レース最終盤でアタックモードを使用するためにタイムをロスする必要があった。

 このままトップでフィニッシュすればエバンスがチャンピオン獲得。そんななかアタックモードのアクティベートゾーンに進んだエバンスだったが、自身のミスによりアタックモードを起動できず、“ただのタイムロス”でレースに戻るハメに。これでローランドがトップに立ち、翌周に再度アタックモードを起動させたエバンスはウェーレインにもかわされ、そのまま2位でフィニッシュしたウェーレインが自身初のフォーミュラEチャンピオンを獲得した。

 レースはローランドが制し、ニッサン・フォーミュラEチームは今季2勝目。前回の優勝はレース後の繰り上げだったため、ロンドンE-Prixの表彰台ではローランドのイギリス国歌とともに、ニッサンを称える日本国歌の君が代が響いた。

 ただ、チームチャンピオンは獲得したものの、目前のドライバーズチャンピオンを戦略やミスなどで失ったキャシディとエバンスの失望は大きく、エバンスは3位表彰台ながらシャンパインファイトを行わずに退席。年間表彰式でもジャガーのふたりは早々に表彰台から去ってしまった。

 エバンスは「チームチャンピオンはチームのために喜びたいけど、今週末はこちら側の調子が悪かったように感じるから、いろいろと話し合う必要がある。この一戦はもっとも現実的なものだったし、少しは僕のものだったからね。一時は自分のチームが不利に働いたような気もする。それは良くないことだ」と述べた。

 一方のウェーレインは「どこから話したらいいかわからない。レースはハードだった。アタックしなければならないことはわかっていたし、ジャガーの前に出なければならなかった。とくに昨日と今日が勝負だとわかっていたから、集中して、素晴らしいペースを示すことができたと思う。僕自身はもちろんだけど、それ以上にチームに貢献できて嬉しいよ!」と喜びを語った。

「いい気分だよ。なんて言っていいかわからないけど、予想外だったのは間違いない。出場すればチャンスはある。でも、ずっと信じていた。ここ数週間、毎日、一日が始まる前と終わる前に、僕はこう言ったんだ『やれる』ってね。たとえここ数戦、パフォーマンスが高くなく、マシンで少し苦しんでいたとしてもね。でも、今ではそんなことは関係ない。チームのみんなを誇りに思うよ!」

 これで10年目となるシーズン10を終えたフル電動フォーミュラカーレースのフォーミュラE。来季シーズン11は、2024年12月7日にブラジル・サンパウロで行われる第1戦で幕が上がる予定になっている。

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