現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > ベビー・ランボの過去ベスト ランボルギーニ・ウラカン・テクニカへ試乗 選べぬエゴ・モード

ここから本文です

ベビー・ランボの過去ベスト ランボルギーニ・ウラカン・テクニカへ試乗 選べぬエゴ・モード

掲載 1
ベビー・ランボの過去ベスト ランボルギーニ・ウラカン・テクニカへ試乗 選べぬエゴ・モード

素晴らしい完成体のV10エンジン

ランボルギーニのV型10気筒エンジンのように素晴らしい完成体を、否定することは難しい。クルマ好きなら、なおさら。大排気量・自然吸気ユニットが生み出すシンフォニックなサウンドは豊潤で、心を強く震わせる。

【画像】ベビー・ランボの過去ベスト ランボルギーニ・ウラカン・テクニカ 競合モデルと比較 全151枚

シートへ身を委ね、加速を試みる。右足の傾きに応じて回転数が上昇し、レッドラインの8500rpmめがけて吸い込まれるように吹け上がる。聴覚的な劇場体験も伴う。高回転域へゆっくり引っ張った際の、高揚感もたまらない。

こんな素晴らしいユニットが、何年間も作られてきた。だが、そろそろ終りが見えてきたようだ。

先代のガヤルドや、現行のウラカンは、必ずしも非の打ち所がない動的特性を得ていたわけではなかった。それぞれの最初期型には、僅かに至らないところがあった。最新版のウラカン・エボAWDでも、回頭性には人工的な印象が若干伴う。

それでも、ミドシップされるV10ユニットが、それを忘れさせる魅力を撒き散らしてきた。われわれは、この体験を愛してきた。

ウラカン・テクニカで特筆すべき特長は、抜きん出た内燃エンジンへこれまで以上に頼らず、ドライバーを深く惹き込むこと。しっかり心を奪ってくれる。

ガヤルドが2003年にデビューして以来、フェラーリやポルシェといったライバルに、最も臆することなく伍せるベビー・ランボルギーニへ進化している。2023年の後半には、V8エンジンのハイブリッド・ミドシップ・スーパーカーが姿を表す予定だ。

エボRWDとSTOのいいとこ取り

ウラカンの最後を飾る限定仕様、テクニカの英国価格は20万3700ポンド(約3279万円)から。上質で流暢に公道を駆けるウラカン・エボRWDと、サーキットへ軸足をおき、最適な条件下で秀抜な能力を発揮するウラカン STOとの、いいとこ取りといえる。

STOの超が付くほどの高精度さと、エボRWDの従順で滑沢な特長が融合すれば、最高のランボルギーニへ仕上がることは想像に難くない。2022年にスペインのリカルド・トルモ・サーキットで初試乗した時は、まさにそれを実感した。平滑な路面ではあったが。

ひるがえって、今回は傷んだ英国の一般道。条件はより厳しい。

少なくとも、スペックは2023年に見ても壮観だ。乾燥重量は1379kgで、エボRWDより10kg軽量。STOの1339kgほど軽くはないものの、後輪操舵システムを備え、姿勢制御には磨きがかけられ、シャープな回頭性を実現させている。正確性はいわずもがな。

ステアリングホイールには繊細な感触が伴い、コミュニケーション力も見事。コーナーの手前から徐々に負荷を高め、挙動に自信を抱ければ、出口の手前でテールスライドに持ち込むことも可能だ。ESCは、介入が弱いスポーツ・モードにすればいい。

フェラーリ296 GTBの領域にまでは届いてない。それでも、ウラカン・テクニカはテクニカルなルートで洗練された動的能力を存分に発揮できる。ドライバーの歓喜の叫びは、640psを発揮するV10エンジンのサウンドに飲み込まれてしまう。

エゴ・モードが備わらない悩ましさ

今回の試乗で唯一気になった部分が、カーボンセラミック・ブレーキを制御するペダルの感触。アシスト量が強すぎるのか、初期の噛みつきが強すぎる。同時にABSの介入も積極的だった。

試乗した日は、ワダチの深いアスファルトが湿っていた。ブリジストンのセミスリックタイヤには、あまり望ましくない条件だったことも影響しているだろう。

テクニカが、ウラカンの最高峰に据えられる仕上がりにあることは間違いない。ただし、喉に骨が引っかかったような部分が1つある。

それは、ランボルギーニ・アヴェンタドールのように、ドライブトレインやシャシーの設定をドライバー好みで調整できる、エゴ・モードが与えられていないこと。従来のウラカンと同様の悩ましさも、抱えたままといえる。

英国のように舗装の維持状態が良くない環境の場合、乗り心地でドライバーの我慢を最小限に留めてくれるのはストラーダ・モードのみ。しかしこのモードを選ぶと、パワートレインに我慢を強いる。鋭い個性は、丸められてしまう。

スポーツ・モードなら、本来のランボルギーニを堪能できる。しかし、サスペンションは容赦なく硬く、ドライバーは常に揺さぶられることになる。ある程度の落ち着きを得るには、100km/hを軽く超えるような速度域で、高い負荷を与える必要が出てしまう。

過去ベストのランボルギーニ・ウラカン

テクニカは、過去ベストのランボルギーニ・ウラカンだと思う。それでも、従来からのフラストレーションを断ち切ったわけではない。

マクラーレンやフェラーリ、ポルシェの真のライバルとして、最も進化を遂げている。自然吸気の5.2L V10エンジンは素晴らしい。だが、296 GTBの方が甘美な時間をより長く謳歌できるであろうことも、事実ではあるだろう。

ランボルギーニ・ウラカン・テクニカ(英国仕様)のスペック

英国価格:20万3700ポンド(約3279万円)
全長:4567mm
全幅:1933mm
全高:1165mm
最高速度:280km/h
0-100km/h加速:3.2秒
燃費:6.9km/L
CO2排出量:328g/km
乾燥重量:1379kg
パワートレイン:V型10気筒5204cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:640ps/8000rpm
最大トルク:57.5kg-m/6500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

「ランクル」兄弟で最もモダンな“250”に試乗! オンロードでもオフロードでも隙がない万能モデルだ。【試乗レビュー】
「ランクル」兄弟で最もモダンな“250”に試乗! オンロードでもオフロードでも隙がない万能モデルだ。【試乗レビュー】
くるくら
「クルマの左寄せ」苦手な人が多い!? よく見えない「左側の車両感覚」をつかむ“カンタンな方法”がスゴい! JAFが推奨する“コツ”ってどんなもの?
「クルマの左寄せ」苦手な人が多い!? よく見えない「左側の車両感覚」をつかむ“カンタンな方法”がスゴい! JAFが推奨する“コツ”ってどんなもの?
くるまのニュース
全長2.5mで新車100万円級! トヨタの「斬新2シーターモデル」がスゴイ! めちゃお手頃サイズなのに「必要にして十分」の“おふたりさま向けマシン”とは
全長2.5mで新車100万円級! トヨタの「斬新2シーターモデル」がスゴイ! めちゃお手頃サイズなのに「必要にして十分」の“おふたりさま向けマシン”とは
くるまのニュース
アルピナの未来、26年「BMW傘下」でどう変わる? 高性能EV&Mモデルとの差別化を考える
アルピナの未来、26年「BMW傘下」でどう変わる? 高性能EV&Mモデルとの差別化を考える
Merkmal
高すぎるよぉ…! 価格が暴落したら買いたいスーパーカー3選
高すぎるよぉ…! 価格が暴落したら買いたいスーパーカー3選
ベストカーWeb
男性が乗って女性にモテるクルマTOP5は? ChatGPTに聞いて出た「ホントかよ!」な答えとは!!
男性が乗って女性にモテるクルマTOP5は? ChatGPTに聞いて出た「ホントかよ!」な答えとは!!
WEB CARTOP
悲喜交々のST-4。「複雑な気分」のENDLESS GR86と「逆に清々しい気持ち」で5連覇を逃した冨林勇佑
悲喜交々のST-4。「複雑な気分」のENDLESS GR86と「逆に清々しい気持ち」で5連覇を逃した冨林勇佑
AUTOSPORT web
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
レスポンス
「とりあえず増税ね」で50年!? 「世界一高い」自動車諸税&ガソリン税“見直し”正念場 “年収の壁”の向こうの璧
「とりあえず増税ね」で50年!? 「世界一高い」自動車諸税&ガソリン税“見直し”正念場 “年収の壁”の向こうの璧
乗りものニュース
あれぇぇ!? [ノートオーラNISMO]と[シビックRS]を比較してみると意外な結果
あれぇぇ!? [ノートオーラNISMO]と[シビックRS]を比較してみると意外な結果
ベストカーWeb
レゴ、F1全チームをテーマにした製品を2025年1月1日から販売開始。往年の名車ウイリアムズFW14Bなど“オトナ向け”製品も3月に発売
レゴ、F1全チームをテーマにした製品を2025年1月1日から販売開始。往年の名車ウイリアムズFW14Bなど“オトナ向け”製品も3月に発売
motorsport.com 日本版
ホンダが「凄い施設」を初公開! 夢の「全固体電池」実現に一歩前進!? パイロットラインを栃木で披露
ホンダが「凄い施設」を初公開! 夢の「全固体電池」実現に一歩前進!? パイロットラインを栃木で披露
くるまのニュース
ラリージャパン2024がついに走行開始。シェイクダウン1走目の最速はヌービル/WRC日本
ラリージャパン2024がついに走行開始。シェイクダウン1走目の最速はヌービル/WRC日本
AUTOSPORT web
MotoGPマシンデビューの小椋藍選手 初走行の印象は……【MotoGPバルセロナ公式テスト】
MotoGPマシンデビューの小椋藍選手 初走行の印象は……【MotoGPバルセロナ公式テスト】
バイクのニュース
ダイハツが新型「軽SUV」発表! 打倒「ジムニー!?」な“5ドア”モデル登場! タフすぎる「ゴツ顔×カクカクボディ」採用した“新型タフト”138万円から発売!
ダイハツが新型「軽SUV」発表! 打倒「ジムニー!?」な“5ドア”モデル登場! タフすぎる「ゴツ顔×カクカクボディ」採用した“新型タフト”138万円から発売!
くるまのニュース
ゼンリン、パナソニックのカーナビ「Strada」向け最新地図データ発売へ…12月2日
ゼンリン、パナソニックのカーナビ「Strada」向け最新地図データ発売へ…12月2日
レスポンス
下取り額爆上がり? アルヴェルのドアの速さまで変えられるトヨタの[KINTO FACTORY(キントファクトリー)]がすごい!
下取り額爆上がり? アルヴェルのドアの速さまで変えられるトヨタの[KINTO FACTORY(キントファクトリー)]がすごい!
ベストカーWeb
チャンピオン争いで明暗を分けた要因と変化がもたらす2025シーズンへの期待/MotoGPの御意見番に聞くソリダリティGP
チャンピオン争いで明暗を分けた要因と変化がもたらす2025シーズンへの期待/MotoGPの御意見番に聞くソリダリティGP
AUTOSPORT web

みんなのコメント

1件
  • お疲れ様です。

    このページのあなたに取って都合の悪いコメントのみ削除された状態も通報しました。


    変ですよね、あなたに取って都合の悪い事でなければあなたが削除する必要もないですからね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村