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悲しき真実、カルロス・ゴーン被告の影響を受けたクルマには名車が多かった

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悲しき真実、カルロス・ゴーン被告の影響を受けたクルマには名車が多かった

日産にとっては救世主だったのか

『ノストラダムスの大予言』によると恐怖の大王が降ってくる予定だった1999年、日産自動車はフランスの自動車メーカーであるルノーと提携。2兆円あまりの有利子負債を抱えて倒産寸前だった日産自動車を立ち直らせるためにカルロス・ゴーンCEOを送り込んできた。

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 彼は瀕死状態だった日産を蘇らせるために「日産リバイバルプラン」と名付けたプロジェクトを遂行して事業を効率化。そのひとつが車種ラインアップの統廃合で、日産リバイバルプランによって消滅した車種も少なくない。しかし一方で、彼がいたからこそ復活や継続、そして新規プロジェクトとしてスタートしたクルマもある。いまや被告となってしまったゴーン氏だが、彼の影響があったからこそ登場できた日産車が存在するのも事実なのだ。

【フェアレディZ(Z33型)】

 2000年頃になると、日産のような量産メーカーにとって”スポーツカー”ビジネスは儲からないものになりつつあった。当時、採算性を考えてフェアレディZはZ32型(2000年に販売終了)が最後になると思われていたが、ゴーン氏は「ブラインドイメージのために”Z”は必要」と判断し、新型モデルの開発を指示。結果、2002年にデビューしたのがZ33型フェアレディZだった。 

 先代のZ32型と異なりプラットフォームやパワートレインは専用ではなく、スカイラインなどと共用。とはいえ、かつてのZのイメージを巧みに活用したデザインは大好評を得た。その後Z34型へとモデルチェンジしており、そのイメージは受け継がれている。

 じつは彼がルノーに転職する前に北米ミシュランで働いていた頃。その時に愛車としていたのがフェアレディZ(Z32)だった。Z33のデビュー時には「私もZファンのひとりで、復活を誰よりも喜んでいる」と語っていたことは記憶に新しい。

【GT-R(R35)】

 日産の技術を象徴する存在となる、世界中を驚かせるような超高性能車がイメージリーダーとして必要。そう考えたゴーン氏は、GT-Rを復活させることを決めた。そして登場したのが、2007年にデビューしたR35型GT-Rだ(下写真奥はプロトタイプ)。

 彼は天才的なエンジニアである水野和敏氏をリーダーとするチームに多くの権限を与え、巨額の開発費用を投資。結果、R35型GT-Rは世界中を驚かせる、値段が数倍するスーパーカーと同等かそれ以上のパフォーマンスを身に付けることができた。なかでも「携帯電話を片手に250km/hオーバーで巡行できる」と言われるほどの超高速領域の安定性は世界一と言われたほどである。

 R35型がそれまでのスカイラインGT-Rと大きく異なるのは名前だけでなく、メカニズムとしてもスカイラインから独立したこと。結果、世界の数千万円級のクルマと肩を並べる超高性能を可能としたのだ。

【リーフ】

 ゴーン氏が推し進めたのはフェアレディZやGT-Rなどの高性能スポーツモデルだけではない。EVの「リーフ」もその1台だ。この先に日産がどう進むべきかを考えた際に彼が判断したのが「電気自動車で世界をリードする」ことで、象徴と言える市販車が初代リーフなのである。

 世界初の専用ボディを持つ本格量産電気自動車として初代リーフが発表された2010年当時、電気自動車は、まさに画期的な乗り物だった。航続可能距離や充電インフラが少なかった時代、世界に先駆けて量産化という決断はまさにチャレンジングだった言えるだろう。

【スカイライン400R】

 昨年、大規模マイナーチェンジを実施したスカイラインの史上最強セダン、400R。そんな「スカイライン400R」も、ゴーンがいなければ世に出なかったモデルだ。なぜなら、スカイライン自体が2001年6月に終了した「R34型」で消滅する予定だったからである。

 当初、スカイラインの後継モデルは「XVL」というまったく別モノのセダンとして開発。しかし、「スカイラインというビッグネームは活用すべき」というゴーンをはじめとするルノーの意向により大転換し、「XVL」は「スカイライン」という名前で販売されることになった。

 そんな背景があってデビューしたのが、2001年発売のV35型スカイライン。V36、そしてV37と続くスカイラインは現在も生き続けている。400Rも、ルーツをたどるとゴーンがいなければ世に出ることがなかったというわけだ。

 海外へと逃亡したカルロス・ゴーン被告に問われている罪がどうなるかは、司法判断の行方を見守るしかない。彼は冷酷なコストカッターと言われ、効率重視のあまり日本市場が軽視されているのも否めない事実。しかしながら彼の判断によって登場したクルマがあることを忘れるべきではないだろう。

 そして、彼がいたからこそ瀕死の重傷状態にあった日産が劇的に復活したこと自体は、問われている罪とは関係なくしっかりと評価する必要がある。

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