ボルボのフラッグシップSUV、XC90に新たにD5ディーゼルが搭載された。極低回転域で圧縮エアをターボに送り込む機構によって発進時のもたつきを解消。力強い走りと北欧デザインのセンスが光るラグジュアリーSUVの誕生である。REPORT◉山崎元裕(YAMAZAKI Motohiro)PHOTO◉篠原晃一(SHINOHARA Koichi)※本記事は『GENROQ』2019年7月号の記事を再編集・再構成したものです。
ボルボの最上級SUV、XC90のラインナップに、ディーゼルエンジンを搭載する「XC90D5」が追加された。すでに発表されているとおり、ボルボは今後プロダクションモデルに搭載されるエンジンを2.0ℓ以下とすることを発表しており、このD5に搭載されるのも、2.0ℓの直列4気筒ディーゼルエンジンだ。最高出力と最大トルクは、それぞれ235㎰、480Nm。車重が2000kgを超える重量級のSUVだけに、このディーゼルエンジンが、果たしてどのような走りを披露してくれるのかは、いわゆるユーザー予備軍には非常に気になるところだろう。
SUVとしての基本的な性能は、このD5も他グレードのXC90と変わるところはない。セカンドシートの後方にはさらにサードシートが収納されており、必要時にはそれを引き出すことで、最大7名でのドライブが可能になるのは嬉しい。インテリアはソフトで上質な感触のレザーや、流木にインスピレーションを得たというウッドパネルで美しく仕上げられている。これもまたライバルのSUVとは異なる、XC90に独特なフィニッシュだ。センターコンソールには大型のタッチスクリーンが備わり、ここからナビゲーションやエアコン、オーディオなどさまざまな装備を操作することができるが、最初にこれが導入された頃と比較すると、すでに直感的にその操作ができるようになった自分自身に驚かされた。
ディーゼルエンジンに特有のノイズは、さすがにアイドリング時や低速域では、少なからずキャビンへと届いてくる。しかしそれはノイズを意識すればこその話なのであって、普通にこのD5を走らせる時には、ノイズはほぼ気にはならないというのが実際のところだろう。アクセルペダルを踏み込んだ瞬間の動きは、明らかに2000kgのSUVが加速する時のイメージとは違う。前で紹介した最大トルクの480Nmは、確かに1750~2250rpmでフラットに発揮されるが、ボルボはさらに発進時の低速域で圧縮されたエアをターボチャージャーのタービンに導入する、「パワー・パルス」と呼ばれる新技術を採用していたのだ。つまりターボの効果が十分に発揮されない低速域でターボの駆動を助け、そしてその効果を発揮させるためのパワー・パルスこそが、XC90の走りから重量感というものを感じさせなくするための重要な役割を果たしていたということになる。
日本仕様のXC90は、ほかにガソリンのT5とT6、そしてプラグインハイブリッドのシステムを持ち、ボルボ自身はそれにツインエンジンのサブネームを与えるT8で構成されているが、今回追加設定されたD5は、その中でも最もコストパフォーマンスに優れたモデルとなることは間違いない。試乗車は正確にはAWDインスクリプションと呼ばれる上級グレード車で、それだけに装備のメニューはまったく不満を感じないまでに充実している。
とりわけボルボが強くアピールするのは、先進安全装備の充実だ。対向車対応機能を持つ歩行者・サイクリスト検知機能付き衝突回避・被害軽減ブレーキシステムや、最新のアダプティブクルーズ・コントロールのほか、ボルボがインテリ・セーフと称する先進安全装備群は、全モデルで標準装備となるもの。ボルボは2020年には新車生産されたモデルでの死亡事故、重傷事故をゼロにするという長期目標を立て、さまざまな新技術を開発してきたが、その完成は2020年には若干遅れてしまうとのこと。だが現在の段階で、ここまで先進的な安全装備を満載するブランドは数少ないのだから、それは十分に誇ってもよいことだろう。
試乗車は、さらにオプションのエアサスペンションを備えたモデルだったから、当然のことながらその乗り心地は素晴らしく滑らかなものだった。ハンドリングも実にスポーティで、SUVでは避けることのできない重心の高さを感じさせることなく、スポーティなコーナリングを楽しむことができた。ちなみにスタンダードなサスペンションは横置きリーフスプリングを使用したもので、こちらもどのような走りが演出されるのかは非常に興味深い。タイヤはこのインスクリプションでは20インチ。乗り心地をさらに望むのならば、19インチのモメンタムの購入を考えるのも悪くはない。安全装備やエンジンはインスクリプションと変わらず、価格は車両本体でインスクリプションの944万円に対して859万円と買い得感は高い。
D5の登場で、一応のラインナップが完成したXC90シリーズ。その抜群の使い勝手と日常的なコストパフォーマンスの高さで大きなアドバンテージを持つと言えそうだ。
SPECIFICATIONS ボルボXC90 D5 AWD インスクリプション
■ボディサイズ:全長4950×全幅1960×全高1775mm ホイールベース:2985mm
■車両重量:2110kg
■エンジン:直列4気筒DOHCディーゼルターボ 総排気量:1968cc 最高出力:173kW(235㎰)/4000rpm 最大トルク:480Nm(48.9kgm)/1750~2250rpm
■トランスミッション:8速AT
■駆動方式:AWD
■サスペンション形式:Ⓕダブルウイッシュボーン Ⓡマルチリンク
■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク
■タイヤサイズ(リム幅):Ⓕ&Ⓡ275/45R20
■新車価格:944万円
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
「とりあえず増税ね」で50年!? 「世界一高い」自動車諸税&ガソリン税“見直し”正念場 “年収の壁”の向こうの璧
「黄信号だ。止まろう」ドカーーーン!!! 追突されて「運転ヘタクソが!」と怒鳴られた…投稿に大反響!?「黄信号は止まるの当たり前だろ」の声も…実際の「黄信号の意味」ってどうなの?
“生産版”「“R36”GT-R」公開に反響絶大! 日産の「旧車デザイン」採用&4.1リッター「V6」搭載で「借金しても欲しい」の声! 1000馬力超えもあるArtisan「“和製”なスーパーカー」が話題に
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
「緊急車両が来て道を譲らないとどうなりますか」 理由に「『聞こえんかった』は通用するのですか」 譲るのはマナー?義務? 具体的にどう譲ればいいのですか。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?