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ヴァンテージの7速MTに試乗! 最新アストンマーティンを島下泰久がマニュアルで操る【動画レポート】

掲載 更新 10
ヴァンテージの7速MTに試乗! 最新アストンマーティンを島下泰久がマニュアルで操る【動画レポート】

ASTON MARTIN VANTAGE

アストンマーティン ヴァンテージ

ヴァンテージの7速MTに試乗! 最新アストンマーティンを島下泰久がマニュアルで操る【動画レポート】

今や希少なマニュアル車

今やハイパフォーマンススポーツカーの世界は2ペダルが当たり前で、3ペダルのMT車はどんどん姿を消している。何しろあのポルシェですら新型911には今のところ3ペダルを用意していないのだ。

もちろん今のクルマの速さに、3ペダルMTでは対応しきれないと言われればそうかもしれないし、2ペダルだからって必ずしも走りがつまらないわけではない。けれど、せっかく操る歓びを求めて手に入れるだろうこれらのモデルから、その一要素を奪ってしまうというのは、それこそスポーツカーの存在意義にも関わってくるような話では? と個人的には寂しく思っている。より率直に言うなら、食指が伸びないでいるところである。

それだけにアストンマーティンがヴァンテージに7速MTを追加したというニュースには思わず色めき立った。実は世界限定200台のヴァンテージAMRで、先にMTが用意されたのだが、それがベースモデルでも選べるようになったのは、ユーザーの気持ちをよく察してくれているなと感じる。

510psを誇るV8ツインターボを7速MTで操る!

パワーユニットはV型8気筒4.0リッターツインターボで、最高出力510ps、最大トルク625Nmというスペックを誇るとされる。8速AT仕様よりトルクが小さいのはAMRに使われたのと同じ、更に言えばかつてはV12ヴァンテージにも供給されていたイタリア・グラツィアーノ社製ギアボックスの許容トルクに拠るものだろう。このAMGから供給されるエンジンは、アストン・マーティンではハードウェアではウェットサンプ化、ソフトウェアも制御の変更など細部に違いがある。いずれにしても言えるのは、初めての3ペダルMTとの組み合わせになるということだ。

このトランスアクスルの変更は、軽量化という副産物も生み出していて、車両重量は車検証記載値で1650kgと、8速AT仕様に対して80kgも軽くなっている。車体後半部が主に軽くなったことから前後重量配分は、ほんのわずかにフロント寄りとなった。

ハイパワーのFRスポーツカーで3ペダルMT、しかも車体は軽くなっているとなれば、走り出す前にはやはり少々身構えてしまうところだが、実際には動かすだけなら全然余裕である。まず大きいのは、エンジンが低回転域から密度の濃いトルクを発生していることなのだが、それは決してアクセルペダルを踏み込んだ瞬間にドーンとトルクの塊が押し寄せるような味付けではない。右足の踏み込み量に合わせてあくまでリニアにパワーとトルクが上乗せされていく、その意味では繊細なコントロール性が、このエンジンには宿っている。基本部分は同じであるにも関わらず、見事アストン・マーティンらしいエンジン特性に躾けられているからこその扱いやすさ、そして扱う歓びである。

“カチッ”と決まるレーシングパターン

そしてギアボックスだ。子どもの握り拳くらいありそうな大きなシフトノブで操作するこの7速MTは、左上にリバース、そして左下に1速があり、そこから順に2-3速、4-5速、6-7速のゲートが切られたいわゆるドッグレッグパターン、あるいはレーシングパターンを採用している。その変速フィーリングはグニュグニュしたところが無く“カチッ”とした感触。ゲート感も割とハッキリしていて、操作すること自体が快感なタイプだ。また、クラッチペダルも軽く、操作に神経を遣うことはない。

とはいえ、さすがに左右のゲート間の距離は短く、時々意図せず飛ばしシフトをしてしまうこと、また今どこのギアに入っているのかが一瞬、解らなくなることあったのは事実。慣れれば解消されるだろうか? いや、こうしたクルマ特有の癖に自分を慣らしていくのも、間違いなくクルマとの関係を密にする要素と言えるはずだ。

こんなエンジンとギアボックスの組み合わせだから走りが楽しくないわけがない。気持ちよくエンジンを歌わせ、自分のタイミングで変速していく。これが良い。

自動ブリッピング機能も備わる

スポーティな排気音を堪能するべく走行モードをスポーツプラスに切り替え、凄まじいパワーを発生するトップエンドまで引っ張ってもいい。計算上、7000rpmまで回すと1速で60km/h、2速で120km/h、3速で160km/h辺りに達するギア比は、速度の乗るワインディングロードにぴったりハマる。しかも歓びは変速それ自体のみならず、エンジンとリヤタイヤのダイレクトな結合感がもたらすコントロール性もまた堪らないのだ。

もちろん、クルージング中などは、できる限り低い回転でシフトアップして繋いでいくのもいい。6速100km/hでの巡航時のエンジン回転数は約1800rpm。そこからシフトダウンせずにアクセルを踏み込んでもじわり速度が高まっていくフレキシビリティもしっかり備わる。

あるいはシフトダウンは若干の緊張が伴うかもしれない。これだけのハイパワーFRでシフトロックでもさせた日には・・・というわけだが、この3ペダルMTのヴァンテージには、シフトレバー前方のスイッチを入れることで働く自動ブリッピング機能も備わる。その動作は素早く正確で、ストレス無しに気持ちの良いシフトダウンが可能である。

切れ味鋭いターンインも魅力!

もちろんコーナリングも刺激に満ちている。前後重量配分の微妙な変化がクルマを若干安定方向に導いているのか、あるいはディファレンシャルの違いからか、切れ味鋭いターンインと、その先の自分を中心にクルマが向きを変えていく感じは概ね変わらないながら、もう少し安心感がある印象とは言えるかもしれない。個人的には好みの特性だ。

但し、サスペンションはもう少ししっとりと路面を捉えてくれると嬉しい。路面が滑らかなところではいいのだが、バンピーな箇所では接地感が少々おぼつかなくなるのである。

サーキットでタイムを狙うというなら話は違ってくるかもしれないが、自らの手で操る歓び、クルマの持てるポテンシャルを引き出す醍醐味を味わうためにハイパフォーマンススポーツカーを選ぶという人には、この3ペダルMT仕様のヴァンテージは待望のモデル、最高のアストンマーティンと言えるだろう。まさに、この時代に存在意義のある1台だ。

REPORT/島下泰久(Yasuhisa SHIMASHITA)

PHOTO & MOVIE/宮門秀行(Hideyuki MIYAKADO)



【NEW ITEM】

ヴァンテージの最新アイテム「エアロキット」

ここでレポートした7速MT仕様のヴァンテージに装着されているのはアストンマーティンが純正オプションとして新たに用意した「エアロキット」。カーボンファイバー製のリヤウイング、ダイブプレーン、フロントスプリッターの3点を装着することで(セット販売)、ダウンフォースは306km/hで196kgまで増加、空気抵抗を最小限に抑えながら全体的なバランスを整え、ノーマルとは比較にならないほど極上のパフォーマンスを見せるという。特にサーキットにおけるコーナリングにおいては絶大な効果を発揮するだろう。もちろん、2ペダル仕様のヴァンテージにも装着可能だ。

【SPECIFICATIONS】
アストンマーティン ヴァンテージ

ボディサイズ:全長4465×全幅1942×全高1273mm

ホイールベース:2704mm

エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ

総排気量:3982cc

最高出力:375kW(510ps)/6000rpm

最大トルク:685Nm/2000~5000rpm

トランスミッション:7速MT

駆動方式:RWD

ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン(電動式)

サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ:前255/40ZR20 後295/35ZR20

最高速度:314km/h

車両本体価格:1913万円(税込)

【問い合わせ先】

アストンマーティン・ジャパン・リミテッド

TEL 03-5797-7281

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みんなのコメント

10件
  • MTいいね!
  • こういう車を3ペダルMTでスムーズに運転する男に憧れる。
    2ペダルも速さと安楽さで言えばアリなんだろうけど、その世界に憧れはしないんだよなぁ…
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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