ルイス・ハミルトンの父が語る“子育て論”「親が子に望むのは、自分より良い人生を送ること」

　7度のF1ワールドチャンピオン、ルイス・ハミルトンの父であるアンソニー・ハミルトン。彼はルイスの人生を変えたロン・デニスとの出会いや、弟ニコラスを含めふたりの息子を育てた経験について語った。

　労働者階級の家庭に産まれたルイス・ハミルトンは、6歳でカートを始め、10歳で英国のカデットカート選手権で史上最年少優勝を果たした。そしてその後の英国オートスポーツ・アワードの授賞式で出会ったのが、当時マクラーレンを率いていたロン・デニスなのは有名な話。この出会いが、マクラーレンの秘蔵っ子としてF1デビューし、センセーショナルな活躍を見せることにつながる。

　父アンソニーは『Dose Of Society』のインタビューの中で、当時のことをこう回想した。

「おそらく最も大きな経験のひとつは、ルイスが10歳くらいのときに、オートスポーツ・アワードでロン・デニスに会ったことだと思う」

「ルイスはロンのところに行って、『いつかマクラーレンで走りたい』と声をかけた。するとロンは『これが私の番号だ。9年後にまた来なさい』と返してくれたんだ」

「私はごく普通の仕事をしていたので、カートをやった先にどこにつながるかなんて想像もしていなかった。神様が正しいタイミングで正しい場所に導いてくれたんだと思ってる。そしてロン・デニスのような人が『9年後に電話して来なさい』と言ってくれたなら、そのチャンスを最大限に生かして夢を実現するために努力するしかない」

　ハミルトンは13歳となった1998年にマクラーレンの若手ドライバープログラムに加入。当時としては最年少の契約で、将来のF1への道が開かれた。

「若いころ、私の人生では何ひとつ良いことなんて起きなかった」と父アンソニー。

「母は私が16歳のときに亡くなり、家を出て、なんとか仕事を探して、住む場所を見つけるという日々だった。でも人生に前向きな変化が起き始めて、そこからすべてが好転していった」

「前向きな変化が起きたときには、それを信じて最大限に活かすべきだ」

　また、世の父親たちへのアドバイスを求められると、彼はこう答えた。

「子どもが生まれたときに『これが育て方のマニュアルだ』なんて誰も教えてくれないわけで、自分でやっていくしかない。みんな間違いもするし、完璧な親なんていない。でも、親として望むのは、自分の子どもが自分よりもいい人生を送ってくれることだろう」

「ルイスが6歳のとき、家の裏でラジコンカーで遊んでいたのを覚えている。あの時は、子どもたちには立派な人間に育ってほしい、それだけを願っていた。そして今、彼は本当に素晴らしい人物に成長してくれた」

「もうひとりの息子であるニコラスもだ。ふたりは私が知っている中で最も素晴らしい人間で、彼らが誰かの希望になれるような存在になればと思っている」

Comments

[松坂信明]

同感です

[kmq********]

ヴェイロンで階段落ちはしたくない