アストンマーチンF1、2022年シーズンは100億円近い赤字に。新レギュレーション導入によるコスト増が原因に

　2022年シーズン、アストンマーチンF1チームは前年比900万ポンド（約16億4000万円）増となる5300万ポンド（約96億円5600万円）の損失を計上した。

　スポンサーシップと配当金による収入が3200万ポンド（約58億円）以上増加したものの、チームの損失はさらにそれを上回ったが、これは新レギュレーション導入初年度の全体的なコスト増を反映したモノだ。

　アストンマーチンF1チームは現在、組織再編成によってAMR GPホールディングス・リミテッドの子会社であるAMR GPリミテッドの下で運営が行なわれている。ただ、ふたつの事業体の主要な収支は実質的に同じだ。

　今週公開された収支報告によると、AMR GPの2022年の売上高は1億8872万8000ポンド（約343億7091万円）で、2021年の1億5043万8000ポンド（約274億1187万円）から増加している。

　チームがレース参戦のため実際に費やした金額を示す総売上原価は、1億773万5000ポンド（196億3080万円）から1億5204万6000ポンド（約276億9043万円）に上昇した。

　管理費や、政府補助金などのその他の収入を考慮すると、2022年は5291万5000ポンド（約96億4184万円）の赤字となった。2021年の4333万2000ポンド（約78億9477万円）から損失が増加することとなった。

　グループ全体の人件費は5498万3000ポンド（約100億1866万円）となり、前年比約10％増となった。

　グループ全体の従業員数は504名で、その内訳はまず管理部門に81名。設計・生産・技術部門に423名が従事している。2021年の401名から増加しており、継続的なチーム拡大が反映されている。

　またシルバーストンの新ファクトリーへの多額の投資についてAMR GPは「2021年12月31日の段階で、グループはアストンマーチンF1キャンパスの開発に関連して6498万5490ドル（約97億720万円）の資本支出を約束している」としている。

　そして2022年のアストンマーチン・ラゴンダからF1チームへのマーケティング寄付金は、前年から84万4000ポンド（1億5377万円）下がって1920万8000ポンド（約34億9955万円）とされている。

　興味深いのは、ランス・ストロールにレーシングサービスを提供するファルコン・レーシング・サービスへの支払いが2021年より22万5000ドル（約3360万円）少ない183万5000ドル（約2億7410万円）となっていることだ。そして同社は、2022年に112万5000ドル（約1億6804万円）のスポンサー収入をチームにもたらしている。

　同社はまた、他のF1チームと同様に、新設されたアストンマーチン・パフォーマンス・テクノロジーズ（AMPT）部門で「レーストラックで学んだことを現実世界の問題に応用する」として、活動の幅を広げていることも明かしている。

　さらにこのAMPT部門は「（2022年中に）最初の契約を結び、将来の成長計画の一環として強力なパイプラインを持っている」という。