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チャイルドシートはお下がりで……じゃなく最新を選ぶべき! 9月から施行の新安全基準「R129(i-Size)」の中身とは

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チャイルドシートはお下がりで……じゃなく最新を選ぶべき! 9月から施行の新安全基準「R129(i-Size)」の中身とは

この記事をまとめると

■チャイルドシートは4歳以降でも後ろ向きで装着するほうが安全とされている

「点数のみ」で「反則金なし」の道交法違反がけっこうある! 守らせるためにも「厳罰化」が必要じゃないか?

■安全基準が「R44/04」」というものから「R129(i-Size)」に移行している

■ISOFIXを利用した取り付け方が安全とされているので装着方法にも気を配りたい

チャイルドシートは後ろ向きに取り付けるのが基本!

6歳未満の子どもをクルマに乗車させる大人には、子どもの命を守る装置であるチャイルドシートを装着し、子どもを座らせる義務があります。違反をすると「幼児用補助装置使用義務違反」として違反点数1点が課されます。

ということは、皆さんご存じのとおり。「ちょっとそこまでだから、抱っこでいいよね?」は通用しません。すぐそこでも、子どもが泣いても、命を守るためにはチャイルドシートに座らせることが、なにより優先すべきことですね。

でも、そのチャイルドシートがなんでも良いのかというと、それもNGです。というのは、チャイルドシートの安全基準が、2023年9月1日よりこれまでの「R44/04」」というものから、「R129(i-Size)」というものに完全移行。「R44/04」のチャイルドシートの生産・出荷はできなくなりました。もちろん、すでに「R44/04」のチャイルドシートを購入していて使用している場合にはそのまま使い続けて構いませんが、安全基準がどう変わったのか、気になりますよね。

そのキーワードのひとつが、「後ろ向き装着」です。

じつは、1960年代に後ろ向きチャイルドシートを発明したボルボのお膝元であるスウェーデンでは、少なくとも4歳まで、ただし4歳を越えてもできる限り長く、子どもを後ろ向きに座らせることを強く推奨しています。それは、スウェーデン最大の保険会社Folksamが行なった調査で、前向きチャイルドシートの場合に子どもが死亡または重傷を負う確率は、後ろ向きチャイルドシートの場合の5倍も高くなるという結果が出たことにも関係していると言います。

また、4歳頃まで後ろ向きチャイルドシートを使い続けるスウェーデンと、1歳頃から前向きチャイルドシートに置き換えることの多いドイツを比較すると、「クルマに同乗中の子供が交通事故で死亡する確率」が、1歳で約4倍もドイツの方が高いという統計が出ているのです。日本はどうでしょうか? これまで明確な決まりはありませんが、なんとなく多くの人が「1歳になったら前向きにしてもよい」と思い込んでいる風潮がありますよね。

チャイルドシートは固定方法も重要!

ではなぜ、それほどの差が出てしまうのでしょうか。ボルボが発表した研究結果では、第一に子どもの骨格のもろさを挙げています。乳幼児や子どもは頭部が大きいプロポーションであることは誰もが知るところですが、たとえば成人男性の頭の重さは全体重のわずか6%ですが、生後9カ月の赤ちゃんは25%にもなるのです。しかも、その重い頭を支えなければならない頸部(けいぶ=首の部分)は非常に貧弱な状態で、とくに頚椎(けいつい)の軟骨部は、生後3年をかけて徐々に骨化し、思春期までかかります。

交通事故のなかでもっとも多い正面衝突の際に、前を向いて座っている乗員の頭部は非常に強い力で前方へ投げ出されるのですが、幼い子どもの首ではその衝撃に耐えられず、悲しい結果になってしまうということなのです。1歳の子どもが前向きチャイルドシートに座っていて死亡したケースでは、同乗していた大人は打撲程度で済んだにもかかわらず、子どもだけが死亡した例も多いという事実があります。

こうした事態を受けて、従来の「R44/04」は子どもの体重(kg)に基づいて製品の使用範囲が分類されていましたが、新規格の「R129(i-Size)」では、身長による分類に変更されました。「R44/04」では体重9kg(およそ生後12カ月頃)から前向き装着ができるとされており、専門家からは「それでは早すぎる」という指摘が多くあったといいます。

「R129(i-Size)」では、身長76cm未満の前向き使用は不可となり、かつ生後15カ月までは後ろ向き装着をすることが義務づけられました。製品によって後ろ向きで使用できる期間は異なる、という注釈付きではありますが、「R129(i-Size)」では、できる限り長い期間、後ろ向き装着を推奨したいという意図がわかります。

まだ骨格の脆い乳幼児の命を守るためには、なるべく長い期間、チャイルドシートを後ろ向き装着として、万が一の際に衝撃を広範囲に分散して受け止められるようにすることが重要なのです。

さらに、「R129(i-Size)」適合のチャイルドシートは、装着方法が「ISOFIX」のみであるということも重要なポイント。ISOFIXとは、車両側に設置されたアンカー金具に、チャイルドシート側に設置されたコネクター金具を差し込むだけで、誰でも簡単に確実に装着できるという国際規格の装着方法です。日本でも、2012年7月以降に発売された新型車からISOFIX適合が義務化されており、それ以前に発売された車種でもメーカーの意向で適合している車種もあります。

なぜISOFIXのみになったのでしょうか?

これは、2019年のJAFによる調査結果にも表れていますが、せっかくチャイルドシートを着用していても、正しく取り付けられていない割合が52.4%にものぼっているのです。チャイルドシートを誤装着のまま使用していると、万が一の事故の際に、正しく装着している子どもと比べて致死率は約29倍に跳ね上がってしまうというデータがあります。

さらに、チャイルドシート本体は正しく装着されているのに、しっかり着座できていないという「乗せ方の間違い」という場合もあり、それも同調査で57.8%にものぼる結果が出ています。これまでのシートベルトによる装着よりも、ISOFIXのほうが確実に装着できるということで、今後は誤装着が減っていくことが期待されています。

チャイルドシートは新品で買うと高額だから、お下がりでもらったり、フリマなどで安く購入すればいいや、と思う人もいるかもしれませんが、こうして新安全基準になった理由を知ると、大事な子どもにお下がりを使うのはリスクがあることがわかったのではないでしょうか。

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みんなのコメント

6件
  • カリオストロン
    じゃあミニバンの3列目にもISOFIX固定器具を取り付けてくれ。
  • エガちゃんねらー
    助手席に後ろ向きに装着すんじゃねーぞマジで
    エアバッグ開いたら悲惨な事になる
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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