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不慮の火災により、2台がグリッドから姿を消したGT300クラス。今後に向けては何ができるのか? 運営GTAとエントラント協会、それぞれの見解

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不慮の火災により、2台がグリッドから姿を消したGT300クラス。今後に向けては何ができるのか? 運営GTAとエントラント協会、それぞれの見解

 スーパーGT・2023年シーズンの開幕戦に全27台がエントリーしたGT300クラスは、後半戦最初のレースである8月の第5戦鈴鹿の際には2台少ない25台に減少していた。その原因となったのは、同月初旬の第4戦富士で発生したアクシデントであった。

 同レースでは、Max Racingの244号車HACHI-ICHI GR Supra GTとHOPPY team TSUCHIYAの25号車HOPPY Schatz GR Supra GTが相次いで車両火災に見舞われた。どちらもドライバーは無事だったものの、車両は大きなダメージを負ってしまい、244号車はシリーズ撤退、25号車は復活に意欲を見せているものの今季中の参戦は断念するという形となった。

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 火災の原因はどちらも、エキゾーストパイプ先端の溶接されていた箇所が脱落したことで、高温の排気熱が直接車体を燃やしてしまったことにあると言われている。シリーズをプロモートするGTアソシエイション(GTA)の坂東正明代表は第5戦鈴鹿での定例記者会見の中で、以前に他の車両でも同じような症状が起きていたことに触れ、各所でコミュニケーションを取りながら対策を進めてほしいと語った。

「基本的に(原因)はサイレンサーの先端が取れた、ということです。取れると車体の内側を燃やすようになっています」

「60号車(Syntium LMcorsa GR Supra GT)も以前に同じような症状が出ていて、その際は溶接の仕方を変えたと聞いています。みんなでコミュニケーションをとり、不具合が出たところは直すように徹底するといった形で、GT300車両規定として全体で共有をしながら作り上げる必要があると思います」

 また、火災が発生した際に迅速かつ効率的に消火をするための策として坂東代表は、ドライバーに対してコース上のファイヤーステーションの位置を改めて周知するだけでなく、可能であればキルスイッチを押してエンジンを停止させることも重要だとした。また来季以降の構想として、放水用のタンクを備えた消火専用の車両を配備することも検討していると明かした。

 今回の火災により、後半戦はふたつのチームがグリッドから姿を消すという格好になってしまったが、こういったケースが起きた際、GTAとして援助をしたり手を差し伸べる可能性はあるのかと尋ねられた坂東代表は、開口一番「金を貸せというなら、金利は取るけど貸せる(笑)」とジョークを入れつつ、公平性の観点からGTAとしてできることはあまりないものの、個人的なサポートを含めてできる限りのことはしたいと述べた。

「撤退となったMax Racingでは、RS中春がメンテナンスを請け負っていました。彼らの詳細な契約は分かりかねますが、彼らの仕事がなくなるというのであれば、(参戦枠が空くのを)待っている人たちがいる訳なので、例えばそこのチームが参戦する場合にメンテナンスを請け負うようにするなど、GTエントラント協会のアドバイスの下でコミュニケーションをとってもらいたいです」

「やはり公平性の部分を考えると、武士のところ(土屋武士率いるHOPPY team TSUCHIYA)に金銭的な補助・支援をすることはできないと思います。ただ、彼の熱意を応援してくれる人を紹介することなどはできると思います。それはGTAどうこうではなく、彼や親父(故・土屋春雄)の心意気を買って……そういうことは個人的にもやっていこうと思っています」

「次は武士も勝たないといけませんし、頑張っていただきたいです。だからといって(HOPPY team TSUCHIYAに有利になるように)レギュレーションを変えるわけにはいかない。公平な中で頑張っていただきたい。できることはやりたいですが、GTAとして何かをサポートすることは難しいと思います」

■「不慮のケースの対応策を決めるべき」

 富士での火災を受けてMax RacingとHOPPY team TSUCHIYAが今季残りレースの参戦を断念(Max Racingは撤退)したのは、単に車両の修復が難しいからという話だけではなく、パーツの取り寄せが社会情勢の影響で困難になっていることが関係しているという話も聞こえてくる。実際Max Racingの撤退リリースには、「車両火災の際に破損したパーツの一部が今季中には手に入らない事態」となったことが撤退を決断する理由のひとつになったと記されている。

 GTエントラント協会(GTE)の会長であり、GR Supra GTも手がけたレーシングコンストラクター、aprの金曽裕人代表によると、現在はウクライナ情勢の煽りを受けて、海外から取り寄せるガスバックの納期が「最低半年」と遅くなっているという。

「GT3車両は購入すればメーカーがパーツを用意してくれますが、JAF車両(GT300規定車両)はモノづくりの一環として自分たちで調達しているので、ガスバックのスペアを何個も持っている人はいません。“消費期限”もあるし、都度買うものなんです」と金曽代表は言う。

「(25号車と244号車は)両方ガスバックが燃えてしまったのですが、最近では届くのに最低でも半年かかります。だから今からオーダーしても届くのは来年の1月とかになってしまいます」

 金曽代表は、こういった不慮の事象が起きた時にチームが撤退・活動休止に追い込まれることがないよう、関係者間で協議をしていると語った。

「GT3だけに合わせるようなものではなく、プライベーターが生きていけるGT300クラスでないと意味がないので、故意ではない部分はみんなで考慮すべきだと思います」

「GTAもGTEも、こういった不慮のケースの対応についてしっかり話し合って決めていかないと、何か不幸なことが起こった時に、そのチームがいなくなるという結果にしかなりません。そこは変えていこうという話をGTEの総会でもしています。四角四面に物事をやってはいけません」

 また金曽代表は今回のような大規模な火災を未然に防ぐためにも、異常を察知した際にはすぐにピットインするといった関係者間の意識改革も必要だと述べた。

「例えば車両同士がぶつかったことでマフラーの向きが変わり、燃えてしまう可能性もあります」

「でもレースをやっていると、少々マフラーの向きが変わっても大丈夫と思うかもしれません。ただ、そこは安全パイを取りましょうと。レースが終わってから『あのまま走らせた方が良かった』と言う人もいるかもしれませんし、レースをやっている以上なかなか勇気ある判断ができないのは確かですが、燃えて大変なことになってしまうくらいなら誰に何を言われようが(ピットに)入れるべきだと思います」

■「やっぱり“アイツ”がいないと盛り上がらない」

 一方、火災でほぼ全焼に近い状態になった25号車HOPPYスープラは、修復の可能性を探るため既に動き始めている。土屋監督はSNSの投稿の中で「メインフレームのダメージを硬度計で計測し、修復可能かどうかを判断する」としており、ファンからの提案に応える形で、復活の為の資金を広く募る仕組みも検討中であると明かしていた。

 火災直後はひどく憔悴し切っていた様子だった土屋監督。フレームにも火が入ってしまっていたことから、当初は車両全体が「使えない状況」だと話していたが、金曽代表はそんな土屋監督の相談に乗り、彼を鼓舞するような言葉をかけていたようだ。

「『卵焼き作ったら毎回フライパン捨てんの? そうじゃないやろ?』という話ですよ」と金曽代表は言う。

「僕らはフルカーボンモノコックじゃなく、鉄、クロモリを使っていますから。仮に熱が入ったとしても、そのまま急冷で硬化しているなら話は別ですが、鉄が溶けるほどの温度にはそうそうなりませんよ」

 スーパーGTのエントラント協会内は、コース上ではお互い全力で戦う一方で、仲間のピンチには全員で立ち上がるという風土があると金曽代表。特に土屋監督率いるつちやエンジニアリングは、シリーズに不可欠な存在として皆から認められていると語る。

「武士は強い奴なんだから、彼を助けてしまうと自分たちが負けてしまうかもしれない。でもアイツがいないと盛り上がらない。みんながそう思っています」

「僕たちがやっているのは、コース上では全力で戦うけど、誰かがこういったことになったら助けようということ。カッコいい世界だと思います。暴走族の延長じゃない、紳士のスポーツですから」

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みんなのコメント

2件
  • こりゃまた派手に オーケー!
    ウチには腕の良い職人がいますから
    そうそう 最近ドイツ製の修正機も入れましてね

    職人?修正機?何を言ってるんだ?
    昔みたいに当て板とハンマーでお前がやるんだよ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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