12月19日、東京都目黒区にあるウェスティンホテル東京にて『SUPER GT HEROES』が開催され、2024年のスーパーGTに参戦したドライバー、チーム、関係者が一堂に会しての表彰が行われた。
SUPER GT HEROESは、2015年よりスーパーGTのステータス向上と『スーパーGTに関わるすべての人たちがヒーロー』というコンセプトのもと開催されてきたシーズンエンドイベント。新型コロナウイルスの影響で2020年と2021年に2度の中止を挟みながらも2022年に再開し、2024年もスーパーGTに携わる大勢の人たちが集結した。
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イベント開宴前のあいさつとして、GTアソシエイションの坂東正明代表がステージに登壇すると、マイクに向かって「2024年を振り返りますと、岡山の第1戦が雨だったなど、雨でいろいろな部分が苦しい思いをしながらのスタートとなり、今年はどうなるのだろうと思っていました」と一年を振り返る。
「経済的にも苦しいときもありますが、お互いに苦しいときでも、みんなの憧れになり、夢になる。そんなモータースポーツの素晴らしさをみんなに知らしめるため、そして、日本のモータースポーツがより確固とした地位を築くためにも、今後もご支援とご協力のほど、よろしくお願いしたいと思います。ここにいる皆さんが(スーパーGTにおける)今までの歴史のなかのヒーローです」と、開会前のあいさつを語った。
その後はスーパーGTを支えたスポンサー企業の紹介を挟み、オートバックスセブンの特別顧問を務める小林喜夫巳氏が登壇し、乾杯の音頭を取った。
来場したゲスト同士による歓談で盛り上がるなか、ステージには自由民主党モータースポーツ振興議員連盟の古屋圭司会長と宮崎政久副幹事長が登壇し、自由民主党モータースポーツ振興議員連盟杯の贈呈に移った。こちらはGT300クラスはJLOCに、GT500クラスではTGR TEAM au TOM'Sと、それぞれのクラスでチャンピオンを獲得したチームに贈呈された。
その後、スーパーGTとFIA-F4選手権のJAF表彰式も執り行われた。JAF表彰式のイベントそのものは11月に開催されていたが、スーパーGTとFIA-F4については台風の影響で第5戦鈴鹿のレースが延期されたため、今回のSUPER GT HEROESで改めて表彰式が執り行われた。
FIA-F4ではインディペンデントクラスのチャンピオンを獲得したDRAGONと、ランキング2位の今田信宏にトロフィーが授与され、若手ドライバーが多数参戦するチャンピオンクラスでは王者の野村勇斗、ランキング2位の洞地遼大、3位の新原光太郎にトロフィーが贈られた。スーパーGTのJAF表彰式ではクラス別にドライバー部門の1位から3位のドライバーが表彰され、チーム部門ではランキング1位のチームが壇上でトロフィーを授与された。
そして、いよいよSUPER GT HEROESの表彰式にプログラムが進むと、ふたたびFIA-F4とスーパーGTでそれぞれチャンピオンを勝ち取ったドライバーやそのチームが再度壇上に上がり、坂東代表よりそれぞれ記念品や賞金が授与された。
表彰式が終わると、最後にスーパーGTの全エントラントのチーム代表がひとりずつ壇上に登って集結。GTエントラント協会会長を務め、aprの代表取締役でもある金曽裕人氏が代表あいさつで次のように述べた。
「『石の上にも三年』という言葉があります。石の上に3年も座れば石も温まり、変化と好転が訪れるということです。ご存知のとおり、僕の大好きな則竹さん(功雄/JLOC会長)は、(スーパーGTチャンピオン獲得まで)30年かかりました。スーパーGTを30年(戦い続けなければいけないほど)、それくらい勝つことが難しい。ひとりの力では勝てないのです」
「ここには若いドライバー、若いメカニック、若いオーナーもいます。30年間耐えられるか耐えられないか、というのもありますが、間違いなくこのスーパーGTは30年続くと思います。この若い皆さまで、30年の歴史をつないでください」
チーム表彰が終わると、チーム代表と入れ替わるようにスーパーGT GT300クラスに参戦したドライバーたちが続々と登壇した。代表あいさつには、GT300クラスのドライバーズチャンピオンを獲得した小暮卓史と元嶋佑弥が選ばれ、マイクの前で2024年シーズンの感謝の気持ちを述べた。
「僕はJLOCに加入して6年目なのですが、昨年までの5年間は、なかなか優勝することが難しい状況でした。そのなかでもひとつずつ積み上げていき、昨年の最終戦で優勝することができました。その勢いをもって、また、チームが最高の働きをしてくれたおかげで、チャンピオンを獲得することができました。来年度もベストを尽くしていきたいなと思っております。ありがとうございました(小暮)」
「シリーズチャンピオンに向かって、チーム、タイヤメーカーさん、小暮選手と本当に日々頑張ってきました。正直、自分はあまり自信があるほうではないので『自分なんかが(チャンピオンを)獲れるのかな』と、最終戦の最後まで自信がなかったです。ただ、 JLOCの則武代表をはじめ、チームのみなさん、小暮さんとヨコハマタイヤさんに支えられて、こうしてチャンピオンを獲れたことを非常に嬉しく思います。 本当にありがとうございました(元嶋)」
GT300のドライバーが降壇した後、GT500クラスに参戦したドライバーが壇上に集結した。代表者挨拶にはチャンピオンである36号車au TOM'S GR Supraのドライバーである坪井翔、山下健太がマイクの前に立った。
「僕自身としては、スーパーGT連覇と3回目のタイトル獲得ができ、非常にいい年になりました。結果を求める速いドライバーがしっかりとフューチャーされるように作られているスーパーGTで結果を残せるのはうれしいです。これからも結果を求めて、結果がすべて。なるべく政治がらみはないようなシリーズになってほしいなと思います。今後もよろしくお願いいたします(坪井)」
「今年から36号車で一緒させていただき、坪井選手とチームの二連覇がかかるなか、シーズンが始まる前から『(チャンピオンを)獲れるのか』と言われていました。自分も最初は獲れるのかなと思っていたのですが、自分が乗れないときもあってプレッシャーに感じていたときもありました(山下)」
「個人的には、来年は気を楽にレースができるかなと思っておりますが、今度はチームの3連覇と坪井選手の4回目のタイトルがかかっているのでプレッシャーは感じています。来年もいいドライバーの皆さんとともに、よりスーパーGTを盛り上げられたらと思います(山下)」
ふたりのGT500代表あいさつが終わると、サプライズとして2024年限りでスーパーGTでの活動を終えるロニー・クインタレッリに、坂東代表から感謝のクリスタルと花束が贈呈された。これにはクインタレッリも驚きだったようで、改めてマイクを渡されると、引退発表後はサプライズだらけの日々だったことを振り返った。
「ニスモフェスティバルのときからサプライズだらけで、今日も最後の最後まで坂東代表から(クリスタルと花束を)貰うことも知らなくて、スピーチも用意していませんでした。すみません」とクインタレッリは苦笑いしつつ、花束を抱えながらその胸の内を明かした。
「(松田)次生選手と話していたのですけど、2015年にSUPER GT HEROESのパーティーが初めて開催されたときには、次生選手と一緒にこのステージに立っていました。それから9年が経ち、その9年の間に5度目のチャンピオンを獲りたかったのですが、若手や他のチームも強くなってきて……。それでも、この9年のなかですごく成長できました。スーパーGTのファンをはじめ、いろいろなドライバー、そしてみなさんが声をかけてくださり、20年間、いろいろな方にお世話になってきたことを感謝したいと思います」
そして、SUPER GT HEROESの締めのあいさつには、ふたたび坂東代表が壇上中央に立ち、今後のスーパーGTが目指していく方針をスクリーンに投影しながら、来年度もよりシリーズが盛り上がっていくことを祈願しながら閉宴となった。
2025年のスーパーGTではどんなレースがサーキットで見られるのか。そして、一年後のSUPER GT HEROESではいったい誰が表彰されることになるのか。そんな翌年への期待も薄らと感じることができたパーティーだった。
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