ほとんどのドライバーは、踏切通過時は手前で一時停止すべきことを知っている。では歩道を横切ってコンビニに入る場合は? 駐車場に入る場合は? そこで今回は“一時停止必須の場所・場合”について。
文/山口卓也、写真/写真AC
「なんで止まらないっ!!!!」一時停止が必要なトコロをちゃんと知ってますか?
【画像ギャラリー】一時停止が必要なトコロをおさらいしよう(8枚)
■コンビニに入ろうと一時停止したら…クラクション!?
コンビニに入る時には歩道などを横切る場合はどんな状況であっても一時停止をしなくてはならないという法律があることを知らない人は多い
そうなんである。先日、コンビニに立ち寄ろうと歩道手前で一時停止したら、後方から「ピッ!」と。
確かに、左ウインカーを出した時からコンビニ手前の歩道には誰もいないことがわかってはいたが、一時停止すべき場所なのは確かなのに……。
実際、道路交通法の第17条では、「車両は、歩道と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ないときは、歩道を横断することができる」としているが、その場合は、「歩道に入る直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない」と規定しているのだ。
つまり、ピッと鳴らした側のほうが間違いなのだ。
■一時停止しなければならない“場所”と“場合”を再確認!
「一時停止が指定されている場所とシチュエーション」をここでおさらいしてみたい。教習所で習ってはいるはずなのだが、忘れている人も多いのでは?
●一時停止が指定されている「場所」
1.踏切
踏切通過時は踏切の直前、道路標識などによる停止線がある時は停止線の直前で一時停止し、安全確認後に進行。ただし、信号機が設置してある踏切では一時停止せずに進行できるが、安全確認は必ず行う。
2.道路標識などで一時停止すべきことが指定されている交差点
交通整理が行われていない交差点又はその手前の直近においては、道路標識などによる停止線の直前、停止線が設けられていない時は交差点の直前で一時停止。
●一時停止が指定されている「場合(シチュエーション)」
1.歩道などを横切る場合
駐車場やコンビニなど、道路に面した施設に出入りするために歩道や路側帯を横切る場合はそれらの直前で一時停止(前項の筆者の例)。
2.横断歩道などに横断歩行者などがいる場合
横断歩道など(横断歩道または自転車横断帯)を横断中、もしくは横断しようとしている歩行者や自転車がいる場合は横断歩道の直前で一時停止。
3.緊急自動車が接近してきた場合
交差点やその付近で緊急自動車が接近してきた場合は、交差点を避け、道路の左側に寄って一時停止。
■正しい一時停止の行い方、知ってますよね?
令和5年の警察庁「道路交通法違反の取締り状況」によると、取り締まり件数トップは「一時停止違反」。2番目に多い「最高速度違反」と比べて1.4倍以上とかなりの数である。
しかし、このなかには「停止線で止まったけど、実際は停止線の直前ではなくクルマの一部が少し停止線を過ぎていた」や「確実に止まったがそれは一瞬だった」なども含まれていると思われる。
よって、正しい一時停止の行い方は必ず知っておきたい。
●停止線の直前って?
“直前”とは少々わかりにくい表現だが、「停止線は車両のいかなる部分もその線を越えてはいけないことを示す標示」なので、例えば「バンパーが停止線にかかっている」などはアウト。
逆に、「越えてはいないけど、停止線よりクルマ1台ぶんも離れていた」は、“直前”といえない。
道路交通法では厳密に何mと記されていないが、自動車教習所の技能試験では“停止線から2m以上離れている場合は減点対象”となる。
厳密に2m以内かどうかは、取り締まりを行う警察官による判断に委ねられるだろうが、「クルマのバンパーが停止線にかからないくらい少し手前」で問題ない。
●一時停止と認められる時間
踏切手前で一瞬ブレーキランプを点灯させて即発進するクルマをたまに見かける。
道路交通法では明確に“何秒間”という記載はないが、一瞬止まった程度では一時停止とは認められない。
一時停止は「クルマを停止させ、左右の安全を確認する」ために行うため、少なくとも「クルマを完全に停止→左右の安全を確認→安全確認後にクルマを発進」を行うと考え、これらの動作を行うための時間として“3秒”がよく聞くワード。
もちろん、3秒止まればOK! というわけではなく、左右の安全を確認せず「前方を注視していた」では意味がない。
■停止線で止まっても、見通しが悪くて安全確認できない場合は?
見通しがきかない場所では3回停止する多段階一時停止を。肝心なのは、「停止線直前で確実に止まること」
停止線のある道路から交差道路に出る場合、「ここで一時停止しても左右の安全が確認できないから」と、停止線より先で一時停止するクルマを見かけるが、これも一時停止違反に問われる。
「安全確認の意味がないから、停止線じゃなくてその先で止まったんだ!」は自身の身勝手な判断であり、停止線の直前で一時停止することは道路交通法で決められていることを忘れずに。
そんな時はJAFや日本郵便、佐川急便ほかが提唱する“多段階一時停止”。
●多段階一時停止とは?
その方法は「まずは停止線直前で一時停止(1回目)。
ソロリソロリと進んで自身のクルマの存在を交差道路のクルマや自転車・歩行者が確認できる位置(交差点の角)までクルマを進めて再度一時停止(2回目)。
最後に、自身の目で左右の確認ができる位置までクルマを進めて一時停止(3回目)してから左右確認→そして発進」である。
ここで重要なのは、“3回一時停止すること”ではなく、「停止線直前で確実に止まること」「交差道路の相手に自身の存在を見せること」「自身が左右の状況確認を行うこと」である。
「面倒だけど、誰がそんなことやってるの?」と思われるかもしれないが、運送事業などに従事するプロドライバーの間では、より安全な停止方法として数年前からよく行われている方法である。
多段階一時停止については下記も参照してほしい
おおこれは安心……なのか? 最近たまに見かける「多段階一時停止」ってなに? 危なくない??
ほんの少し時間がかかったとしても、常に安全を意識したドライバーになりたいものですね。
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一時停止で止まらないドライバーは乱暴な運転をする人が多い