10月8~10日にベルギーのスパ・フランコルシャンに設定された特設トラックを舞台に争われた2021年WorldRX世界ラリークロス選手権第6戦は、シーズン前半から度重なるアクシデントに泣かされてきた3冠王者ヨハン・クリストファーソン(アウディS1 RXクワトロ/KYB EKS JC)が、前戦に続く復調の兆しを告げる勝利を挙げ、選手権首位のティミー・ハンセン(プジョー208 WRXスーパーカー/ハンセン・ワールドラリークロスチーム)に対し、わずか12点差と猛追を見せている。
今季初のダブルヘッダー戦となったラトビア・リガでのイベントから3週間、終盤戦に突入したWorldRXも残すは3戦。ポルトガル、そしてドイツ連戦でのタイトル決定を前に、このアルデンヌの森で繰り広げられる勝負が重要な意味を持つこととなった。
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そんな緊張感の漂うなか、始まった初日は公式練習からポイントリーダーのティミーとクリストファーソンがトップ2を分け合うと、Q1はここベルギーを“準地元”とするオランダ出身のケビン・アブリング(ルノー・メガーヌR.S.RXスーパーカー/アンクラップテッド)がトップタイムを刻んでいく。しかし続くQ2は、ティミーを降したクリストファーソンがきっちり最速を奪って初日を締めくくった。
「最初のフリープラクティスセッションから、クルマの中でかなり快適に感じた」と認めたクリストファーソン。「Q2のスタートは少しラッキーだった。ウォールにヒットした際にかなり大きなインパクトがあったから、マシンにダメージを与えたんじゃないかと心配したが、ありがたいことに大きな問題はなかった。その後はトラックの感触も掴め、トップに立つことができたよ」
明けた日曜のウォームアップでも最速タイムを記録した3冠王者は、中間リザルトを2番手としてセミファイナル2に進むと、ここでも盤石のドライブでクリスティアン・サボー(ヒュンダイi20RXスーパーカー/GRX-SET・ワールドラリークロスチーム)、そして僚友のエンツォ・アイデ(アウディS1 RXクワトロ/KYB EKS JC)を従え、トラブルなくファイナル進出を決めた。
■クリストファーソン「路面が2019年初開催時とは少し異なっていたことが、僕の助けになったようだ」
一方、開幕から3戦連続“兄弟ワン・ツー”を決めてシリーズを支配してきたハンセン・ブラザーズも、セミファイナル1でアントン・マルクランド(ヒュンダイi20RXスーパーカー/ヘッドストロームス・モータースポーツ)とともに決勝進出を決めたものの、先頭フィニッシュの兄ティミーはヘアピンで接触し、アブリングを妨害したアクションに対しペナルティが課され5番グリッドからのファイナルに。代わって弟のケビンがポールシッターのヨハンに挑む構図となった。
その最終ヒートは大きなドラマや順位変動なく“横綱相撲”を展開したクリストファーソンが今季2勝目をマーク。2位ケビンに続いて今季ここまで全戦でファイナル進出を果たしているサボーが、悲願のWorldRXキャリア初表彰台を手にする結果となった。
「実はベルギー戦でもここスパのトラックは初挑戦だったから、勝てて最高の気分だ」と、同国戦がメテで開催された時代には幾度も勝利を飾っているクリストファーソン。
「最初からかなり快適で、他のドライバーもそれほど(事前経験の)アドバンテージを持っているようには見えなかった。トラック・サーフェスが2019年初開催時とは少し異なっていたことが、僕の助けになったようだね」
一方、併催イベントとして開催された欧州選手権のEuroRX1クラスでは、フランス出身のファビアン・パリエ(プジョー208 WRXスーパーカー)との直接対決を制したアンドレアス・バッケルド(シュコダ・ファビアRXスーパーカー/KRTZモータースポーツ・ACCRチェコ・チーム)が今季3勝目を挙げ、30歳の誕生日という節目を飾る自身初のEuroRX1チャンピオンに輝いた。
「こんな結果になるなんて、本当にクレイジーだ! 今季のEuroRX1に参戦する機会を与えてくれたESモータースポーツには『Big Thank you』と言いたいね!」と、喜びを爆発させた元WorldRXレギュラーの実力者。
「シーズン開始前はこんな結果をまるで予想できなかったし、チームの誰もがそれに値する素晴らしい仕事をしたんだ。そのすべてを非常に誇りに思っているし、これからもっとたくさんの明るい未来が待ち受けているはずだよ!」
タイトル戦線の天王山に向けシリーズは連戦でのスケジュールを設定し、次戦は間髪入れず10月16~17日の週末に第7戦ポルトガル・モンタリグレでの1戦を開催。そして11月末の最終戦ドイツ・ニュルブルクリンクでのダブルヘッダー戦で、雌雄を決する予定となる。
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