賑わいを見せた2年に一度のパリ・ショー
本来の姿に戻ったと言える。『パリ・モーターショー2024』は、大げさに見せようとしたり、欠席したブランドについて謝罪したりすることもなく、むしろ参加したブランドを受け入れ、適切な場所にフィットさせることで、ありのままの姿を見せているように感じられた。
【画像】日本にも来るかもしれない! パリで見た最新モデル【アルファ・ロメオ、アルピーヌ、BYD、シトロエンの発表を写真で見る】 全38枚
モーターショーが衰退しているという話もあるが、直感に反する。そのようなことを言われれば言われるほど、生き残る可能性は低くなり、最新のクルマやそれを作った人たちと集まる機会も減っていく。
それにしても、前回の2022年のパリ・ショーは、モーターショーというコンセプト全体を崩壊させてしまいかねないほど小さく、申し訳なさそうに感じられた。この時の最大のニュースは、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が会場に姿を現したことだった。
2024年はありがたいことに、現在パリと交互に開催されているミュンヘン・モーターショー2023の賑やかな雰囲気を引き継ぎ、はるかに高揚感のあるものとなった。テスラも姿を見せた。マクロン大統領もまた参加したが、今回は自分が訪れたいブースを頻繁に閉鎖して、皆の邪魔をしているようだった。
2022年のパリと2024年のジュネーブで独壇場のように目立っていたルノー・グループは、ルノー、ダチア、アルピーヌの重要なお披露目を携え、今回も自身の庭で大きな成功を収めた。
ルノー4は、5に続くレトロな次世代EVとして登場し、アルピーヌはA390でついにクロスオーバー車に挑戦する。そしてダチアはビッグスターで欧州Cセグメント市場を制覇しようとしている。
しかし、今回ばかりはルノーだけが主役ではない。ステランティス傘下のプジョー、シトロエン、アルファ・ロメオも大きな存在感を示していたが、最も注目を集めたのは新ブランドのリープモーターだった。低価格EVを量産する中国企業に勝てないのなら、買ってしまえばいいという考えだ。
ステランティスの巧みな戦略であり、退任するカルロス・タバレスCEOはショーでの挨拶で、いつもより少し肩の力が抜けたように見えた。2年前には存亡の危機のように感じられたステランティスにとっての中国の「脅威」は、革新的な方法で解決されたのだ。
フォルクスワーゲン・グループのアウディ、スコダ、フォルクスワーゲンは、本社ではなくフランスの現地法人による運営とはいえ、すべてブースを構えていた。金を払っている観客はそのようなことは気にしないだろう。最新モデルがすべて揃っていたのだから。
BMWグループのミニも、ジョン・クーパー・ワークス(JCW)のニューモデルを展示した。
中国の自動車メーカーも数社参加した。BYDは輸出において最も有名で信頼性が高いブランドであり、ショーではSUVのシーラオン7を発表した。この日、一般公開前にBYDのブースを訪れた最初の人物はタバレス氏だった。BYDは依然として既存の自動車メーカーの興味関心を集め続けている。
Aito、GAC、Skywellなども参加していたが、まだ知名度や特徴がないため、それほど目立つものではなかった。
テスラの “スタンド” は、残念ながら「良かった」と言えるものではなく、無造作にクルマが近接して置かれており、下にカーペットが敷かれているわけでもなかった。
少なくともテスラは出展していた。このような活気あるショーになれば、今後もっと多くの自動車メーカーが出展するようになるだろう。欧州では年に1回がちょうどいい感じだ。
原文:マーク・ティショー(英国編集部記者)
アルファ・ロメオ・ジュニア・イブリダ
アルファ・ロメオの新型クロスオーバー、ジュニアのハイブリッド仕様として「ジュニア・イブリダ」が公開された。フィアット600やジープ・アベンジャーと同じ最高出力136psのマイルドハイブリッド・パワートレインを搭載する。
アルファ・ロメオ・トナーレ
アルファ・ロメオはトナーレの2025年モデルを発表し、インテリアをリフレッシュした。センターコンソールはより洗練され、新しいロータリーギアセレクターが装備された。また、インストゥルメント・ディスプレイのレイアウトが変更され、PHEV独自のEV走行可能距離などの情報がより明確に表示されるようになった。
アルピーヌA110 Rウルティメ
良いものには必ず終わりが来る。アルピーヌの名高いスポーツカー、A110も例外ではない。欧州連合(EU)の新しい安全規制を受けて引退する予定だが、最後に過激な走りを見せてくれる。
「A110 Rウルティメ」は、最高出力が50psアップの350psとなり、アグレッシブなエアロキットにより、A110 Rに比べてダウンフォースが最大160kg増加する。生産台数はわずか110台で、価格はなんと26万5000ユーロ(約4300万円)から。カスタマイズでさらに7万ユーロ(約1300万円)上乗せできる。
アルピーヌA390_β
アルピーヌの野心的な成長戦略の要となるのは、この「5人乗りのA110」として構想された電動クロスオーバーだ。「A390_β」はコンセプト段階だが、量産化に向けた準備が80%整っているとも言われる先鋭的な外観を持つ。
アルピーヌ・アルペングローHy6
アルピーヌによる水素燃焼エンジン搭載スーパーカーが進化した。従来のオレカ製4気筒から、自社設計のまったく新しい3.5L V6へと換装。燃焼効率を優先し、最高出力を340psから740psへと大幅に向上させた。しかも9000rpmまで回転する。
アウディQ6スポーツバックeトロン
スタイリッシュな外観を手に入れた電動SUV「Q6スポーツバックeトロン」は、従来のQ6 eトロンよりも航続距離が24km長くなっている。これにより、後輪駆動モデル「パフォーマンス」の航続距離は656kmとなる。価格は6万5900ユーロ(約1075万円)から。
BYDシーライオン07
新型「シーラオン7」は、BYDが今後14か月の間に欧州に投入する6車種のうちの1つだ。テスラやフォルクスワーゲンから市場シェアを奪おうとしている。
小型セダンのシールで使用されているプラットフォームの改良版をベースにしており、当初はツインモーター、四輪駆動のモデルが導入され、0-100km/h加速は4.5秒だ。今月後半に英国にも導入予定で、価格は約4万5000ポンド(約875万円)からとなる。
シトロエン ・アミ 改良新型
シトロエンの小さな都市型EV「アミ」は、発売4年にして大幅改良を受け、かつての2CVにインスパイアされた新しい外観を手に入れた。フロントフェンダーには通気孔のような溝、ヘッドライトのハウジングには黒い「まぶた」、そしてシトロエンの新しいロゴを備えている。しかし、中身は何も変わっていない。
シトロエンC4 改良新型
シトロエン「C4」と「C4 X」が改良を受け、新しい外観とパワートレインを獲得した。新たに最高出力100psのマイルドハイブリッド付きガソリンエンジンが追加されたが、従来の純ガソリンとマニュアル・トランスミッションは廃止された。納車は来年初頭に開始される予定で、価格は現行型とほぼ同等に設定される見込みだ。
シトロエンC5エアクロス・コンセプト
シトロエンのSUV「C5エアクロス」は、まもなくモデルチェンジを迎える予定で、新たに電動パワートレインを導入する。新型プジョー3008との兄弟車として、エアロダイナミクスを最優先し、先鋭的な新ルックを採用する。ショーではそのコンセプトモデルが披露された。
ダチア・ビッグスター
「ビッグスター」は、ダチアにとってこれまでで最大のモデルである。激戦区の欧州Cセグメントに殴り込みをかけるだけでなく、高級車ランドローバー・ディフェンダーをも視野に入れた、大胆な野望を抱いている。四輪駆動、タフなスタイリング、LEDヘッドライト、19インチ・アルミホイール、パワフルなハイブリッド・パワートレインなど、そのためのツールはすべて備えているようだ。
リープモーターB10
ステランティスが支援する中国ブランド、リープモーターは、初のグローバルモデルである電動クロスオーバー「B10」を公開した。ジープ・アベンジャー、ミニ・エースマン、ルノー4 Eテックのライバルとなるこのモデルは、来年英国で3万ポンド(約580万円)以下の価格で発売される予定だ。
ミニ・ジョン・クーパー・ワークスEV
ミニは、EVに初めてジョン・クーパー・ワークス仕様を導入する。クーパーEとエースマンの2台に、最高出力257psと最大トルク34.7kg-mをフロントマウントの電気モーターから発生させる。クーパーは0-62mph加速5.9秒、エースマンは同6.4秒だ。
モビライズ・デュオ
ルノー・トゥイジーが恋しいなら、もう悩む必要はない。モビライズ「デュオ」は、トゥイジーの精神的後継車であり、最新技術、より大きなバッテリー、より強力なモーターを備えている。バッテリーの容量は10.3kWhで、1回の充電で約160kmの走行が可能だ。旧型トゥイジーの100kmから大幅にアップグレードされている。
プジョーe-3008ロングレンジとプジョーe-5008ロングレンジ
プジョーは、新型「e-3008」と新型「e-5008」のロングレンジモデルを発表した。従来(73kWh)よりも容量を増やした96.9kWhのバッテリーを搭載し、航続距離はe-3008で最長700km、e-5008で最長670kmとされている。
プジョーe-408
新型「e-408」の導入により、プジョーのEVラインナップが一通り揃った。58.2kWh(使用可能容量)のNMCバッテリーと、最高出力210psのモーターが採用され、航続距離は最長453kmを謳う。デザインに関しては、既存のエンジン搭載の408を踏襲している。
ルノー4 Eテック
ルノー4(キャトル)が復活し、今度はミニ・エースマンやジープ・アベンジャーに対抗する電動クロスオーバーとして登場する。最近発売されたハッチバックの5 Eテックに続く、ルノーの「アイコニック・ファミリー」第2弾となるモデルで、同様にレトロフューチャーなデザインを採用している。
フロントマウントの最高出力120psの電気モーターと40kWhのバッテリーを標準装備し、航続距離は最長305km。さらにハイスペックモデルでは最高出力が150psに向上し、52kWhの大型バッテリーを搭載して航続距離は400kmとなる。
ルノー17エレクトリック・レストモッド x オラ・イト
1970年代のルノー「17」にインスパイアされたEVコンセプト。最高出力270psの電気モーターとカーボンファイバー製シャシーを採用している。
フランス人デザイナーのオラ・イト氏とのコラボレーションにより、オリジナルの17よりもわずかにワイド&ローになったが、キャビン、ドア、窓、ガラス、アンダーボディはそのままだ。ただし、市販化の予定はない。
ルノー・エンブレム
ルノーが提案する次世代のクーペSUV。水素燃料電池を動力源とし、長距離移動を可能にしながら、現在のガソリン車キャプチャーと比較してCO2排出量を90%削減できるという。パリ・モーターショーでは実物大のモデルが公開されているが、インテリアを含めた完成形の発表は今月末まで待たなければならない。
ルノー・トゥインゴ
4(キャトル)の次にルノーが復活させるのは、初代「トゥインゴ」だ。パリではコンセプトカーが初めて一般公開されている。2026年発売予定だが、右ハンドル車の導入については確定しておらず、検討中とのこと。
スコダ・エルロック
新型「エルロック」は、フォルクスワーゲン・グループ傘下のスコダにとって3番目の量産EVとなる。シャープな外観を備えたコンパクト電動SUVで、10月18日から受注が開始される。
航続距離は最長560kmを実現するが、最大の切り札は、ライバルのほとんどを下回る3万1500ポンド(約610万円)という価格だ。
THK LSR-05
日本の自動車部品メーカーであるTHKが、EVプロトタイプ「LSR-05」をパリに持ち込んだ。インホイールモーターやワイヤレス充電など、THKの最新技術のショーケースとなっている。昨年の「ジャパンモビリティショー2023」にも出展したが、欧州では今回が初公開となる。
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