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究極のハイパー・スポーツカーで味わう別世界──新型ブガッティ・シロン・スーパー・スポーツ試乗記

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究極のハイパー・スポーツカーで味わう別世界──新型ブガッティ・シロン・スーパー・スポーツ試乗記

価格は4億円超! 30台限定のハイパー・スポーツカーに迫る!

電動化へ方向転換

愛車の履歴書──Vol7.西内まりやさん(後編)

フォルクスワーゲンがブガッティを買収し、東京モーターショーで「ヴェイロン」のプロトタイプを発表してから約23年が経過した。

およそ2億円の価格で市販が開始されたヴェイロンはいろいろな意味で世界中の注目を集め都市伝説も生まれた。いわく、燃費は最悪でリッター1km、トランクにはクレジットカードしか入らない、16個のボルトを外さなければならないオイルチェンジの価格は240万円などなど。

しかし、もしそれが本当だったとしても、平均所有車台数が32台にも達するといわれるブガッティ・オーナーには痛くも痒くもないだろう。

そして2016年にモデル・チェンジした「シロン」を含めこれまでに700台が出荷されてきた。しかし時代は変化して1km二酸化走る毎にステーキ2枚分、およそ550gの二酸化炭素を排出するクルマにとって住みにくい環境となっている。

そこで今年、VWグループはブガッティをクロアチアのスタートアップで電動スポーツカー・メーカーのリーマッツに売却した。正確にはポルシェと共同出資で合弁会社を設立することを決定、今後ブガッティは電動化の道を進むことになった。

この決定に先立ちブガッティは内燃機関を搭載する最後のブガッティと言われるシロン・スーパー・スポーツ」を発表、2019年に開発を終え、有終の美を飾るために市販車としては世界最速の490.48km/h(304.7mph)を記録したのである!

1600ps&1600Nm!

シロン・スーパー・スポーツも30台限定で発売されるが、それを機にブガッティは世界中から8名のジャーナリストをフランス本社に招待し、試乗会を開催した。

シロン・スーパー・スポーツは8.0リッターW16エンジンの最高出力を1600ps、最大トルクを1600Nmまで引き上げ、ボディ・テールを24cm延長、Cd値を0.35から0.37の間に抑えながらリフトを44%低減するなど徹底的なエアロ・リファインメントがおこなわれた。

長さ4.7m、幅2.2m、高さわずか1.2mのシロン・スーパー・スポーツは漆黒のボディに包まれており、ドアを取り巻く伝統的アイコンであるCラインと、そこから後方に伸びたリアフェンダーが視覚的にもハイスピードでの安定性を訴えている。エスコードしてくれたのはなんとアンディ・ウォレス氏。前述の最高速度記録保持者である。

まずは彼のドライブで指定された公道上のテストコースを走る。カントリー・ロード、オートルートを含むおよそ100kmのコースで、アンディは操作系を簡単に説明しただけで、なんとスーパーマーケットの駐車場に停めて選手交代を促す。いくらブガッティの故郷とは言え、短いあいだにあっという間に周囲はスマホをこちらに向けた人たちで一杯になる。

リニアでジェントルな加速

上品なタン・レザーとカーボン、磨きだしのアルミに包まれたウルトラ・ラクシャリーなインテリアは普通ならばプラスチックで済ませるはずの黒いエア・アウトレットまでチタン製という凝りようである。

好ましいことに表示はアナログでタッチパッドなどは見当たらない。ドライバーの目前には通常の2倍のスケール、500km/hまで刻まれているスピードメーターが象徴的に鎮座している。

ステアリング・ホイール脇のスターター・ボタンを押すと予想よりもおとなしいサウンドが低く響いてくる。ドライブ・モードは普通のクルマではスタンダード・セッティングに相当する「EB」を選択し、スロットルを慎重に踏み込む。

1600psのスーパー・スポーツは思ったよりもリニアでジェントルな加速を開始する。乗り心地はこれまでに乗ったヴェイロンよりもずっと洗練されていて路面からのショックの吸収はもちろんロードノイズも非常に小さい。

またステアフィールも大幅に改善されており、狭い田舎道のワインディングでもサイズを忘れるほど敏捷な動きをする。

斜め後方の視界は絶望的であるが、走行中、後方から迫ってくるクルマなどないので問題はなく、くわえてバックカメラのお陰で駐車も容易だ。

究極のハイパー・スポーツカー

やがてオートルートの空いた直線路に入り、一瞬だが、スーパー・スポーツの片鱗を見るためにスロットルを踏み込む。するとほんのわずかな周囲の景色がSF映画のワープ画面のように強烈に後方へ流れる。

しかもそれはテスラ「モデルS」やポルシェ「タイカン」などのBEVとは違って唐突ではなく息が長い。つまり100km/hまでの数秒は遅れるが160km/hそして200km/hに達するまでには間違いなくシロンの方が早く到達する。

あっという間に公道上故に人には言えないほどの速度に達したあとに、安全のためにブレーキペダルを蹴飛ばす様に踏み込むとミシュラン・パイロット・スポーツ・カップ2は素晴らしいグリップで減速性能を発揮、強烈なG加速度を体験させてくれた。もちろん姿勢は安定しており、ステアリングには軽く手を添えているだけでまっすぐに減速する。

最新のブガッティに乗ってもっとも感銘したのはその洗練度で、それはエンジン、シャーシそして操作系の各部に及んでいた。

ブガッティはその希少的な存在からクルマとしての正しい評価がなされていない場合が多い。しかし短時間の試乗ではあったがそのパフォーマンスそして魅力は間違いなく究極のハイパー・スポーツカーであることが確認された。

このシロン・スーパー・スポーツの価格は欧州では税抜きで350万ユーロ(4億7200万円)、ちなみにこの試乗車を含め、限定生産30台はすでに完売である。

文・木村好宏

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みんなのコメント

2件
  • オイルチェンジ!
    イナガキといい、GQで記事を書くやつって、なんでそんな不自然に気取るの?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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