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予想以上の約6.8億円で落札!「エンツォ フェラーリ」の米国1号車は走行距離8600キロ…高値安定を決定づけるハンマープライスでした

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予想以上の約6.8億円で落札!「エンツォ フェラーリ」の米国1号車は走行距離8600キロ…高値安定を決定づけるハンマープライスでした

エンツォ フェラーリの市場は高値安定?

RMサザビーズ北米本社は、とあるコレクターの愛蔵アイテムを集めた「The Dare to Dream Collection」オークションを、2024年5月31日~6月1日にかけてカナダ・トロントにて開催しました。約300点にも及んだ出品アイテムにおいて、フェラーリ製スペチアーレ「ビッグファイブ」がほぼ勢ぞろいとなりましたが、今回はそのなかから1台の「エンツォ フェラーリ」を紹介します。

もっともF1に近いフェラーリ「F50」が約7億円弱で落札! 349台限定のスペチアーレはリザーヴなしでも高値安定の結果でした

わかりやすさとダイナミックな魅力のスペチアーレ・フェラーリ

1998年をもって「F50」の生産が終了するや否や、世界中の「ティフォージ(フェラーリの熱心なファン)」たちは、マラネッロが次にどんなエキゾチックなマシンを開発するのか、そして、それがどんな形で出現するかについて、早々に噂話の花を咲かせていた。

彼らの願望が実現の第一歩に至ったのは、2002年4~7月に東京現代美術館で開かれた「アルテディナミカ:フェラーリとマセラティ」展にて、フェラーリ「FX」と仮称された原寸大モックアップモデルが展示されたこと。

そして、同年9月に開催されたパリ・サロンにて、フェラーリのルカ・ディ・モンテゼーモロ社長は次期フラッグシップモデルとなる「エンツォ フェラーリ」を正式に世界初公開し、フェラーリの次世代フラッグシップモデル待望論に終止符が打たれることになった。

「エンツォ」というモデル名については説明するまでもなかったが、モンテゼーモロ会長は、この新ハイパーカーが1999年シーズンから始まった「スクーデリア・フェラーリ」と帝王ミハエル・シューマッハによる前人未到の覇道の真っ只中にあったF1GPと、ビジュアル的にもメカニカル的にも強い結びつきを持つことを強くアピールした。

フェラーリの市販車では初となったシザードアを採用

モンテゼーモロ会長が主張したとおり、エンツォの外観デザインはオープンホイールのレーシングカーの意匠を模倣しているが、フェンダーとコクピットはまるで外皮に包まれたSFロボットのようにも映る。ピニンファリーナの風洞で空力学的に完成されたボディは、カーボンファイバーとケブラーで編まれたパネルで構成されている。

そして、15インチ径の伊「ブレンボ」社製カーボンセラミックディスクブレーキに固定された19インチのアロイホイールと、フェラーリの市販車では初となったシザードアが、シャシーとキャビンそれぞれを完成させた。F50ほど玄人好みではないものの、F1由来の高い技術力と、分かりやすい魅力を備えたスペチアーレに仕上がった。

この驚異的なシャシーとボディの融合体には、新しいV12エンジンがドライバーの背後に配置され、メーカーがスポーツプロトタイプやハイパーカーで長年培ってきたコンフィギュレーションを継承。パワーユニットは、最新の「プロサングエ」を含む、「599」以降のすべてのV12フェラーリに搭載されたティーポF140系ユニットを初めて搭載した。

このバンク角65度のV型12気筒エンジンは、エンツォ用では「ティーポF140B」と命名され、ニカシルライニングを施したシリンダーウォール、チタン製コンロッド、トルクを高めるために設計されたテレスコピック式インテークマニホールドなどのレーシング直系コンポーネントを満載する。

また前任のF50が、パフォーマンスの面で「マクラーレンF1」に大きく遅れをとる結果となってしまったことの教訓から、排気量は5998ccとF50の4.7Lよりも大幅に拡大。最終的に660psと67kgmという、今日の基準からしても驚異的な数値を叩き出した。

そして、ステアリングコラムに取り付けられたシフトパドルで操作する6速F1マティック+トランスアクスルを介してパワーを伝達するエンツォは、停止状態からわずか3.65秒で100km/hに到達し、最高速度は350km/hに達すると公表されていた。

アメリカでの初お披露目に登場した、歴史に残る個体

2002年秋のパリ・サロンにおけるワールドプレミアから4カ月後、フェラーリは、フロリダ州パームビーチで開催された2003年版「キャヴァリーノ・クラシック」コンクール会場にて、シャシーナンバー「130270」のエンツォをアメリカのフェラーリ愛好家の目前でデビューさせた。

このほどRMサザビーズ「The Dare to Dream Collection」オークションに出品されたエンツォ フェラーリは、この初お披露目に登場した個体そのもの。フェラーリの顧客(特にVIP)がもっとも多い主要マーケットで開催される、もっとも重要なフェラーリのエクスクルーシブ・コンクールにおいてデビューしたという歴史的意義は注目に値しよう。

「ロッソ・コルサ」というこのモデルのデフォルトであるボディカラーに、「ペッレ・ネロ(黒革)」の内装と赤いメーターフェイスで縁取られたキャビンが特徴的な、この重要なエンツォは、ニューヨーク在住の不動産王にして、熱心な自動車愛好家としても知られるカイオラ家が新車でオーダーした3台(130270、130688、131026)のうちの1台。キャヴァリーノ・クラシックでの北米デビューを経て、2003年8月20日、ニューヨーク州スプリングバレーにある「ワイドワールド・オブ・カーズ」社を介して、カイオラ・ファミリーに納車された。

フェラーリの研究者がまとめた非公式な集計によると、このエンツォ フェラーリは、2003年から2005年にかけて米国市場で納車された118台のエンツォのうちの最初の1台とのこと。US仕様車であるにもかかわらず、販売したディーラーが2004年に発行したサービスインボイス・ファイルには、フェラーリがこのエンツォにユーロ市場仕様のECUを搭載していたことを技術者が発見し、無償で交換したという事実が記されている。

2006年6月、このエンツォと約3年を過ごしたカイオラ・ファミリーは、ビバリーヒルズ在住のモダンスーパーカーのコレクターに売却した。この2代目オーナーの手によって、このエンツォの軽合金ホイールは魅力的なグロス仕上げのガンメタリックに再塗装され、現在もその輝きを保っている。

その後2008年5月になると、この2代目オーナーはこのエンツォをカナダのアルバータ州にある彼らの別荘で登録したが、当時の画像とサービス履歴によると、実際にはこのクルマは暖かい南カリフォルニアとアリゾナでほとんどの日々を過ごしていたことがわかる。

専用ポーチにはオーナーズマニュアルほか一式が揃う

そして現在のオーナー、「The Dare to Dream Collection」にくわわる直前の2015年1月、このエンツォは「フェラーリ・オブ・バンクーバー」に委託され、2万5000ドルに相当する点検整備を受ける。この整備には包括的な4年点検にくわえて、ウインドスクリーンの新品交換、オイルポンプおよびウォーターポンプの換装。さらに、フロントバンパーの再塗装も施されている。

また2017年7月には1万6000ドル以上を費やして、ボールジョイントや4輪分のスタビライザーリンクを含む、新品のサスペンションパーツでシャシーをリフレッシュ。さらに最近では、2023年2月にフロントエンド全体を保護フィルムでラッピングしたとのことである。

この歴史的なエンツォ フェラーリが現オーナーのもとで走ったのは、約2000マイル(3200km)とのこと。新車から現在に至るまでわずか3オーナーで、オークション公式カタログ作成時の走行距離は、まだ総計5349マイル(8607 km)に過ぎない。

現在ではラゲッジセットやオリジナルコンディションのホイールとタイヤの追加セット(タイヤは2002年の日付入り)、専用ポーチに収められたオーナーマニュアルと保証書、サービスブック、そして純正ツールキットが付属している。

この出品に際して、RMサザビーズ北米本社では「フェラーリの伝説的な“ビッグファイブ”ハイパーカーのギャラリーを完成させたいコレクターにとって理想的なモデル」という宣伝文とともに、375万ドル(約5億9045万円)~425万ドル(約6億6920万円)という強気なエスティメート(推定落札価格)を設定した。

なお、今回の「The Dare to Dream Collection」オークションは、すべて「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」形式で行われるというのが前提条件とされていた。通常では比較的安価な出品ロットで会場の機運を盛り上げるために行われる措置ながら、明らかな高価格が見込まれるこの種のフェラーリではあまり見られないもの。

たとえビッド(入札)が希望価格に到達しなくても、競売人が「これまで」と判断すれば落札されてしまう恐れが付きまとうのだが、この日の競売では入札が十二分に伸びたようで、終わってみればエスティメート上限をわずかながら上回る429万5000ドル。つまり日本円に換算すると、約6億7600万円で競売人のハンマーが鳴らされる結果となったのである。

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みんなのコメント

1件
  • 松本
    エンツォは、かっこよくないと思います。
    もし、このクルマがカタログモデルであったなら、みなさん興味なしではないですかね?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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