スーパーバイク世界選手権(SBK)第12戦アルゼンチンではレース1で6名のライダーが欠場を決断した。理由は、サーキットの路面状況の悪さである。一方で12名のライダーはレース1に出走し、転倒者が出ることもなくレースを終えた。FIMとライダー双方のの声明、コメントとともに、状況を追ってみよう。
第12戦に設定されたアルゼンチンラウンドが行われたサーキット・サンファン・ビリクムは、2019年で2度目のSBK開催となる。2018年も路面の汚れが問題になったというが、路面の一部が改修された2019年もそれは同様だった。
SBKアルゼンチン:王者レイが2勝飾る。レース1では路面状況の悪さを理由に清成を含む6名が参戦せず
10月14日(月)にFIMが発表したところによれば、ことのあらましはこうだ。10月9日(水)、FIMの安全管理担当者は、サーキットに対し、安全性の確保、およびライダーたちのスムーズな走行のために、コース上のほこりを取り除き、コース上を清掃するように要求した。
清掃されたサーキットは調査を受け、10月10日(木)に公認を受けた。こうした公認手続きは、FIMのルールに従い、各サーキットで行われているということだ。
初日セッションを終えた金曜日の夜、セーフティコミッションが行われた。そこでライダーの代表者が、路面状況についての懸念を表明。その後、ライダーやFIM、ドルナの代表者などすべての関係者の合意を受け、フリー走行3回目後に再びミーティングが行われることが決定された。
土曜日の予選前に行われたこのミーティングでは、すべてのライダーがコースコンディションの改善に満足し、全会一致で予選およびレースを行うことが決定した、とされている。
しかし実際には、予選後にはモリワキ-アルティア・ホンダ・チームの清成龍一とレオン・キャミア、GRTヤマハ・ワールドSBKのマルコ・メランドリとサンドロ・コルテセ、チャズ・デイビス(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)、ユージン・ラバティ(チーム・ゴーイレブン)が、レース1への出走をキャンセル。
これについてFIMは「全ライダーの安全が最優先事項である。今回の路面状況はレース欠場の正当な理由にはならないことを強調したい」としている。
では、レース1に出走しないことを決めたライダーたちの弁はどうか。路面上の砂の影響でコース上が危険であるとして、デイビスを含む複数のライダーによってレースができる状態ではない、と訴えられていたという。
初日セッションを終え、清成は「アスファルトはほこりっぽく、汚れていて、滑りやすい状況です。グリップは一日をとおして改善しませんでした」と語り、チームメイトのキャミアも「残念なことに、サーキットはかなり汚れていて、僕が経験したなかでも最悪のひとつだよ。いくつかのコーナーでは、ひざを擦ることさえできなかった。最速のライダーでさえ、去年のタイムよりも数秒遅いんだ」とコメントしている。
また、レース1後には、デイビスがチームのリリースのなかでこのように述べた。
「まず、今回の主催者の決定には失望している。僕の意見としては、すべてのライダーが団結することが重要だと思うが、残念ながらそのようにはならなかった。18人のライダーのうち15人は、厳しいサーキット・コンディションのためにレースに参加するつもりはなかった。しかし、開始5分前になって、事前に全員で決めたことに反して、何人かのライダーがレースに参加することを表明してしまった。おそらく、レースに出なければならないというプレッシャーがあったのだと思う」
「僕たちは、スケージュールを変更して、サーキットのコンディションを改善し、明日、レース1とレース2の両方を開催するように主催者に提案したが、受け入れられなかった。僕の意見では、安全性が最優先すべきだと思う。このような状況では、主催者はライダーの意見にもっと耳を傾けるべきだ」
「今回の件は、将来的な改善のために、建設的な方法で検討する必要がある。僕たちはこれまで、この問題を、セーフティ・コミッションの様々なミーティングで既に取り上げている。ここは素晴らしいサーキットなので本当に残念だが、このような状況でレースをすることは考えられない」
結果を見れば、レース1では転倒者なし。翌日には気温が低くなったことでコースコンディションが改善した。スーパーポール・レースからはエントリーしていた全19名のライダーが出走し、数名の転倒者は出たものの、大きなアクシデントもなく、3レースを終えた。
とは言え、結果的にレース1では、参戦したライダーと欠場したライダーの間にはイコールではない状況が生まれてしまったし、そしてまたファンのためを考えれば、レース1のように穴の空いたグリッドは魅力的ではない。ライダーの安全性、公平性をしっかりと担保したうえで、同時にファンを魅了するレースを期待したい。
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