試していたのは、スチールベルトコードの角度
R33型日産スカイラインGT-R発売時(1995年)の話です。だいぶ古い話ですが、当時開発ドライバーを務めていた日産テストドライバーにニュルブルクリンクでのGT-R開発秘話をうかがっていた時のこと。
R33GT-Rには245/45R17というサイズのタイヤを採用することになったのですが、当時このサイズはリア用しかなく、前後同サイズを履くGT-R用に新たに開発しなければなりませんでした。テストは過酷で、1周目はコースチェック。2周目で評価。3周目は2周目で違和感があったところを確認。この3周で評価していたのだそうです。
テストしていたのは、タイヤのスチールベルトコードの角度でした。
簡単に説明すると、タイヤは、骨格となるカーカスの上に、両面をゴムで補強したスチールコードのベルトを2枚重ねる構造になっています。このスチールベルトは、回転方向に対して片方に右向き、もう片方に左向きの角度がつけられています。
スチールベルトの交わる角度を1度ずつ変えたものをGT-Rのテスト車両に履き替えながら、次々とテスト繰り返す、というのを一日中やっていたのだそうです。
ニュルブルクリンクのオールドコースは1周約20キロですから、3周で60キロ。それを仮に10セットやったとしたら600キロです。
しかも、タイヤメーカーのエンジニアは、スチールコード1度の違いがホントに判るの? という温度感だったそうで、コードの角度を変えていないものも混じっていたのだとか。
10年来のナゾが解けた!
気になるのはコードの角度が違うとどうなるのか? ですよね。ところが、インタービューでは「詳細は聞いてくれるな」という空気感が漂っていて、結局答えは教えてもらえませんでした。
以来、ボクはタイヤのスチールベルトの話が頭の隅に引っかかったまま約10年悶々と過ごすことになったのです。
モヤモヤが晴れたのは、たまたまベルトの角度違いのタイヤをテストすることができたから。どんなたまたまなんだ? と思われるかもしれませんが、長いことこういう仕事をしているとこんなこともあるんですね。
スチールベルトの角度以外はコンパウンドもトレッドパターンもすべて同じ。走らせてみると、2枚のスチールベルトの角度の狭いタイヤはハンドルを切り出した時の応答がシャープ。角度が広いと応答が鈍くなるのです。でもグリップ限界はほぼ同じ。そんな結果でした。
グリップピークに至るまでの過渡特性に違いがあったのです。
前輪にベルト角度の狭いタイヤを装着すると、ハンドルの効きがよくなります。これをリアにつけてしまうと、クルマの動きが敏感になってしまうので、安定性が損なわれてしまうのです。
R33GT-Rは、245/45R17サイズを前後に装着するため、シャープな操縦性とリアの安定性が両立するベルト角度をテストしていたのです。
クルマの性能はタイヤ次第
まあ、そのくらいクルマとタイヤのマッチングは重要だということです。GT-Rに限らず、純正装着タイヤ(OEMタイヤ)は装着するクルマに合わせて微細に、時には大幅にコンパウンドや構造をチューニングしています。
タイヤはクルマと路面との唯一の接点ですから、クルマの性能を生かすためにはタイヤとのマッチングがとても重要になってくるのです。欧州のほぼすべてのプレミアムカーメーカーが認証タイヤ制度を採用しているのはそのためです。
BMWの★マークやポルシェのNコード、メルセデスベンツのMOマークなどは有名です。以前聞いた話では、ポルシェはタイヤ認証の要件として160km/hでタイヤがバーストしてもビードがリムから外れない事、なんて項目もあるのだとか。
国産メーカーの場合は、コストを含めたトータルバランスに優れたタイヤが開発され装着されていることが多いようです。それでもタイヤを履き換えるときにOEMタイヤはベターチョイスと言えると思います。
ただ、最近は燃費向上のために、タイヤに低転がり抵抗を求めるメーカーや車種もありますから、雨天時の安定性、安心感を求めてウエットグリップのいいリプレースタイヤのチョイスもありだと思います。
さて、いきなりマニアックなタイヤの話から始めてしまいました。
次回は、冬タイヤについてお話しする予定です。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
満タン後の「継ぎ足し給油NG」に反響あり! 「実はやってる…」一体どんな理由がある!? セルフスタンドでの「NG行為」とは
トヨタ新型「最小級SUV」世界初公開! 全長3.7m「小型ボディ」に“5速MT”搭載した「快音モデル」! 斬新な“2トーン塗装”も採用した「新型アイゴクロス」欧州発表!
カワサキのオフロードバイク「KLX230」がまもなく復活 “林道ツーリングに最適”な注目の「オフ車」が11月下旬に日本でも発売
改めて問う! バス会社はなぜ社員のドライバーを守らず、「乗客クレーム」に加担するのか?
スズキ新型「小さな高級車」に大反響! “全長4m”の流麗ボディ&斬新「777テールライト」採用! “専用仕立て”の新型SUV「フロンクス」発表!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
限りなくゼロに近い気がするんですが。
OEMタイヤを購入した人は0人でした。