もくじ
ー あのハイパーカーは匿名的な場所で
ー 開発の全行程を請け負う
ー フォードGT 速さの秘密
ー フォードGT 間近で目にすると
ー 高い要望に答えるために
試乗 VWティグアン・オールスペース2.0ℓディーゼル より安価なモデル推奨
あのハイパーカーは匿名的な場所で
生粋のフォード・ファンでも、ブルーオーバルにル・マンのクラスチャンピオンをもたらしたGTがどこで生産されているかを知るひとはほとんどいないだろう。カナダ・トロントから30分ほどの距離にあるマークハムの町の、何処にでもあるような工場でGTは生み出されているのだ。
同じ場所で、これまで数多くの有名なコンセプト・モデルや少量生産モデルの組み立てが行われてきたと知ればさらに驚くだろうか。これらの中にはアストン マーティンOne-77やヴァルカンが含まれている。
そして、この工場ではレッドブル-アストン・ヴァルキリーとメルセデス-AMGプロジェクト・ワンが生産されることになっている。名前を挙げるのはこの2台で十分だろう。
われわれが訪問するマルチマティック社のエンジニアリング部門は、最新の複合素材と金属の生産技術に関する独自の手法で知られた存在であり、彼らの顧客である高級車メーカーの間では、最も贅沢で複雑なクルマの生産を手掛けているにもかかわらず、努めて自分たちの存在を表に出さないようにすることで有名だ。
これは技術担当副社長であるラリー・ホルトの個性を反映しており、彼はエンジニアを顧客企業だけに集中させることで、米国と欧州にいるマルチマティック社の専門家たちを30年にわたりまとめ上げてきた人物である。
いまホルトとマルチマティック社は新たな試みをスタートさせている。
開発の全行程を請け負う
フォードで少数精鋭の開発チームがデザインを行っていたプロジェクトの初期段階から、マルチマティック社はフォードのパートナーの立場にあり、いまではロードカーの生産を手掛けている。これは彼らにとって、初めて車両が最終的にオーナーの手元に届くまでの全工程に関わることになる。
車両生産の2年目を迎え、これまでに手仕事で組み上げられた150台のGTが主に米国の路上へと送り出されていった。立ち上げの苦労を乗り越えて、いまや計画どおりの生産ペースに到達しており、2020年末までに最終的には1000台のGTが産み出される予定である。このタイミングで、われわれはここに至るまでの話を聞くべく、マルチマティック社の工場へと招かれたのだ。
GTはル・マンのクラスチャンピオンカーとして最もよく知られた存在だ。これは、かつてGT40がル・マンの表彰台を独占した1966年から数えて50周年となる2016年を記念するために、フォードが成し遂げた勝利である。
マルチマティック社のレース部門とチップ・ガナッシ・レーシングが挙げたこの勝利は簡単なものだったように思われているが、実際には他チームにもチャンスを与えるためとして導入された「バランス・オブ・パフォーマンス」ルールに苦しめられた末に勝ち取ったものだ。
GTにはハンディキャップとして、標準仕様のロードカーでは664psを発揮するエンジンをデチューンすることで、出力を20%も絞ってレースを戦う必要があった。このハンディにもかかわらず、フォード-チップ・ガナッシ・レーシングチームは昨年の世界耐久選手権で最終的に2位の座を確保している。
フォードGTの速さの秘密とは何だろうか?
フォードGT 速さの秘密
ホルトによれば、このクルマは当初からル・マンでの勝利を念頭に設計されたという。スーパーカーとしては車重が非常に軽く(装備重量は1400kg以下)、また前面投影面積も小さくなるようにデザインされている。
ホルトいわく「空力について話をすると、皆が抵抗係数(Cd)を小さくしなければいけないと言いますが、実際にやってみれば、レーシングカーでCd値を下げるのがいかに大変かということがすぐにわかります。前面投影面積を小さくする方がはるかに効率が良いのです」
「このアプローチを採用したことで、フェラーリ488GTEの前面投影面積が2.15平方メートルである一方、GTはわずか1.85平方メートルです。もちろん、これは乗員にとってはキャビンスペースが狭くなることを意味していますが、それがコンペティションモデルを運転することだと理解して頂く必要があるのです」
このクルマの全てがその出自がレースにあることを示している。フロント左に置かれた油圧アキュームレータとの重量バランスをとるため、軽量なリチウム・イオン・バッテリーはその反対側に配置されている。
ウインドウは携帯電話にも使用されている薄い(そのために軽量な)コーニング社製強化ガラスである。さらにはスポイラーへの空気の流れを整えるためのふたつのトンネルが、キャビン横を通ってリアボディまで続く。
特筆すべきは、ボディパネルを外せば、レースカーとロードカーはほとんど見分けがつかないということだろう。
実際に見てみよう。
フォードGT 間近で目にすると
両方ともFIA公認のロールケージを備えたカーボンファイバー製タブを採用し(レースカーにはキャビン内への追加ブレースとドア補強が施される)、ボディパネルもカーボンファイバー製である。レースカーには大型スカートとスポイラー、さらには非常時のドライバー脱出用開口部がルーフに設けられているが、両モデルに共通する特徴は明らかだ。
どちらのモデルでも、車体中心に配置された乗員用スペースのカーボンファイバー製タブに、ダブルウィッシュボーン式フロントサスペンションを支持する超軽量で小型の、毎回鋳型を作り直す必要があるためにコストが掛かっていることから、社内では「インベストメント・キャスティング」と呼ばれている部品が取付く。
タブのリア側にはスチール製「Z-フレーム」(素材にスチールが選択されたのは、3.5ℓV6ツインターボが発する熱に対する耐性が最も優れているからだ)が設置される。
そして、Z-フレームにもリアのダブルウィッシュボーン式サスペンションを支持するための「インベストメント・キャスティング」が取付けられる。つまり、ロードゴーイングモデルのフォードGTとは、コンペティションモデルを公道向けに洗練させただけのクルマだということだ。
路上におけるロードカーの乗り心地を確保するため、サスペンションにはトーションバーにコイルスプリングを組み合わせた独創的なシステムが採用されている。トラック・モードでは、コイルは油圧によって固められ、スプリングレートが大幅に強化される。
同時にマルチマティック社自社製のダンパーも、強化されたスプリングに合わせて減衰力が高められ、ビルトイン式車高調整システムによってGTの最低地上高は120mmから70mmへと変更される。ホルトによれば、トラック・モードでのGTは「かなり強烈になる」そうだ。
全てのGTには油圧式パワーステアリングが採用されるが、油圧ポンプを動かすのは通常のエンジンからの駆動ではなく電動モーターである。
「将来的には間違いなく電動パワーステアリングが採用されることになります。しかし、油圧と同じレベルまで電動式を仕上げるには2年はかかると思います。われわれが信頼するドライバーの評価では、現行システムも満足いく出来とのことですが、これは特注のステアリング・ラックのお陰です。ほかに使えるものが無かったので、新たに作ることにしたのです」とホルトは言う。
高い要望に答えるために
マルチマティック社の専用ラインでGTを1台組み立てるのには約25日間掛かる。このラインはシャシーの準備から始まり、9つの組立ステーションを経て、複数あるテスト工程へと至る。
塗装も場内で行われるが、顧客の要求レベルがとても高く、さらには特殊な色の注文も多いために非常に厄介な仕事である。しかし、品質問題はほとんど発生していない。
最初の年は悪夢のようだったとホルトは思い返す。生産ペースを上げながら、品質も保つ必要があったからだ。マルチマティック社にはスイス製高級時計のような品質を顧客に提供する責任があるとホルトは言う。
なぜならフォード・ブランドではフェラーリやポルシェに匹敵するような品質評価が得られていないからだ。
しかし、いまや工場は目標の生産ペースに達しており、物事はより容易に進められるようになっている。それでも「この仕事はこの先も簡単なものにはなりません。しかし、いまの状況には満足しています」とホルトは語る。
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