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今季5度目のポールからサットンが完勝。イングラムとTGRカローラのブッチャーも勝利/BTCC第8戦

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今季5度目のポールからサットンが完勝。イングラムとTGRカローラのブッチャーも勝利/BTCC第8戦

 イングランド・ノースハンプシャー州に位置するドニントンパーク“GPレイアウト”で争われた2023年のBTCCイギリス・ツーリングカー選手権第8戦は、開幕より連続ポール記録更新を続ける好調NAPAレーシングUKことモーターベース・パフォーマンスが、幕開けからブレーキトラブルで陣営内の1台が大破する波乱に見舞われながらも引き続きの強さを披露。

 元王者アシュリー・サットン(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)が、今季5回目の予選最速でNGTC規定導入以降のシーズン最多ポール獲得記録に並ぶと、そのままレース1でポール・トゥ・ウインを決め早くも9勝目に到達することに。

雨絡みの波乱と混沌を制し、BMWのヒルがクラシック連勝。好調サットンも今季8勝目/BTCC第7戦

 続くレース2では今季もタイトル候補として喰い下がる王者トム・イングラム(ブリストル・ストリート・モータース・ウィズ・エクセラー8/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)が2勝目を手にし、最終ヒートはファイナルラップまでレースを支配したダン・ロイド(オートブライト・ダイレクト・ウィズ・ミラーズ・オイル/クプラ・レオンBTCC)が散り、ロリー・ブッチャー(TOYOTA GAZOO Racing UK/トヨタ・カローラGRスポーツ)が逆転勝利を収めるドラマチックな展開となった。

 雨のスコットランドから戻り、いよいよシーズン大詰めを迎えたBTCCは、前戦で元WTCC世界ツーリングカー選手権王者ロブ・ハフを起用したチーム・ハードが5台体制から4台に縮小するニュースもありつつ、FP1は順当にダン・カミッシュ(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)の最速で幕を明けた。

 しかしベストを更新したその直後。27号車のフォーカスSTはマクリーンズの手前で突然のブレーキトラブルに見舞われ、なんとか姿勢を横に向けたカミッシュだったが、グラスエリアとサンドトラップを滑走したマシンは、ほぼ車速を落とせぬままリヤからタイヤバリアに激突。懸命の回避動作にも関わらず、NAPAレーシングUKの1台はサーキットでは修復できないほどの大きなダメージを負ってしまった。

「ちょっと腰が痛いけれど、なんとかクルマの向きを変えてバックで当たれたことに感謝している。正面から入っていたらもっと痛かっただろうから」と、その瞬間を振り返ったカミッシュ。

「何の警告も予兆もなかったから驚いたし、クルマの感触はとても良かっただけに本当に残念だ。タイヤテストでは少し苦戦したが、ある瞬間は素晴らしかったのに、次の瞬間にはボロボロになったりもした」

「ランキングでトップ3に入ることを望んでいたが、今は正直それもなくなったと思う。チームにとって本当に残念だ。僕のフォーカスは以前より約2フィート(約60cm)は短く、ケージが損傷したからこの週末は終わり。次のラウンドに向けて何ができるかを確認する必要があるだろうね」

 そんな不穏な空気のなか始まった予選では、現在の選手権首位でもある僚友サットンが奮起し、ポイント最上位によりふたたびハイブリッドなしでの走行を余儀なくされたにも関わらず、イングラムを破っての自身今季5度目、チームには8戦連続のポールポジションをもたらした。

「ここまですべてのイベントでポールを獲得したことは、NAPAレーシングUKからの『大きな声明』だ。これは非現実的な成果だよ」と、チームの仕事を賞賛したスバル/インフィニティで2冠に輝く元チャンピオン。

「トム(・イングラム)とリッキー(・コラード/TOYOTA GAZOO Racing UK/トヨタ・カローラGRスポーツ)からのプレッシャーを感じたし、自分の走りを徹底的に掘り下げる必要があった。序盤のラップには満足できなかったし、プラクティスでドライを確認できていなかったこともあって“クモの巣”を少しはぎ取る必要があったと思う。でも2回目のランでは本当にプッシュすることができたよ」

■最終ヒートはクプラがリードもトラブル。ブッチャーが逆転の今季初勝利
 そう語ったサットンだが、明けた日曜最初のヒートではスタートでホイールスピンを喫し、イングラム、コラードに先行される窮地に陥る。しかしオールドヘアピンでワイドになったカローラを仕留めると、続く2周目には同じ場所でヒョンデのインにダイブ。そこからは途中ファステストラップを更新する速さで快勝を飾ってみせた。

「路面がウエットだったオープニングヒートでは、クルマに過失はなかったし感触も素晴らしかった」と明かしたサットンだが、続くレース2ではイングラムの後塵を拝して2位、リバースグリッド採用の最終ヒートでは5位に留まるなど、クルマに一定の不安を抱えていたことも明かした。

「レース2ではブレーキペダルが長く掛かるという問題があった。プラクティスでダン(・カミッシュ)に何が起こったかを念頭に置いていたし、だからこそポイントを獲得することに集中していたが、レース3でも同様の問題が発生した」と続けるサットン。

「ブレーキが熱くなってしまっただけだが、とくに最終レースのような内容では厳しいね。すべてが始まりボディワークを失うほどあちこちで人々が衝突するなか、トラブルを避けようとする場合に対処したいことではないよ」

 その最終ヒートは、リバースポール発進を決めていたロイドのクプラが、ライバルたちが後方でポジションを争い肉弾戦を繰り広げるなか、レース序盤で先頭からリードを維持。ここまで2戦連続表彰台と奮起していたジェイク・ヒル(レーザーツール・レーシング・ウィズ・MBモータースポーツ/BMW 330e Mスポーツ)がシケインでイン側タイヤバリアを吹き飛ばした際にも、セーフティカー先導のもとポジションを守り抜く。

 しかしファイナルラップのマクリーンズを通過した際、クプラのドライブシャフトが折れ急激に安定性を失うと、コピスに向かう上りでスピンオフ。この結果、5番手からアダム・モーガン(チームBMW/BMW 330e Mスポーツ)やアーロン-テイラー・スミス(カーストーン・パワー・マックスド・レーシング/ヴォクスホール・アストラBTCC)をかわしてきたTOYOTA GAZOO Racing UKのブッチャーが、混沌としたレースを制して逆転のシーズン初勝利を挙げた。

「僕らはこんな展開について冗談を言っていたんだ。『以前にも、これをやったことがあるね』って。何度でも歓迎だし、勝利を得ずにドニントンを離れるつもりはなかったよ」と喜びを語ったブッチャー。

「これこそ、僕らが基本に立ち返って得たチームワークだ。リッキー(・コラード)の今の走りを見られてとてもうれしいし、ジョージ(・ギャンブル)も同様に躍進を遂げようとしている。それはこれまでに経験したことのないもので、僕らはデータを共有し、本当にオープンで、お互いを擁護しフォローする。 それは素晴らしい環境だよ!」

 残り2戦となったBTCC第9戦は、9月24~26日にシルバーストンで争われる。

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