5月2日に発売される『スーパーGTファイル 2019スペシャルエディション』は2018年限りでスーパーGT GT500から引退した本山哲の特集号だ。本号ではニッサンのエースとして長年に渡って活躍し続けた本山の素顔や原点を探るほか、3度のチャンピオン獲得を支えたニッサンのGT500マシンをフォーカスしていく。
今回はその中の一台、2004年に登場したZ33型フェアレディZの項から、これまで決して明かされることのなかったZの秘密の一部を紹介する。
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『スーパーGTファイル』本山哲特集号付録はチャンピオンカーが勢揃い。NISMOでもPC/スマホ壁紙配布中
R34型スカイラインGT-Rが退役する2003年シーズンをGT500チャンピオンで飾ったニッサンは2004年の車両を検討するにあたり(といっても検討の時期は2002年?)、スカイライン・クーペもその候補だったという。
もう一方の候補、フェアレディZは空力性能の点で優れた面もあるものの、大きなウイークポイントも抱えていた。そこでNISMOは“大技”を準備する……。
ファアレディZベースとなった2004年GT500モデルは、エンジンは2003年のスカイラインGT-Rと同じVQ30DETTを搭載。パイプフレームの構造も基本踏襲ということに当時はなっていた。開発の流れでみると、パイプフレーム化解禁で大きく変化した2003年と2008年(R35 GT-Rでカーボンモノコックを採用)の間で、2004~07年のZは少しばかり地味な存在であった。
ところが、今回取材で明らかになったのは、地味だったのでなくその先進性ゆえ、当時は開発内容が秘匿されていたという事実だった。確かに、記憶では当時エンジンルームの撮影もNG。リヤハッチ内もNGだった。
秘匿の一番のポイントはそのフレーム構造。キャビンとトランスアクスル・ユニットの間に存在するフューエルコンテナをカーボンコンポジット製構造部材として利用して、そこにトランスアクスルが締結される。パイプフレームとカーボンのハイブリッド構造を採用していた。
このことは当時、秘中の秘であった。Zは2シーターであることから規則上、生産車ボディを活かさなければいけないキャビン部が短く、実現できたものだ。カーボン材を併用することで剛性を確保しつつ軽量化を実現した。
またフロントセクションでは一見、エンジン搭載方法が2003年型GT-Rと変わらないように見えて大きく進化している。
左右サブフレーム間隔を狭めてエンジンに沿わせ、実質的にストレスマウント化を実現、エンジンが車体剛性を担った。規則ではエンジンを降ろしても車両が自立することが条件とされているが、エンジンとサブフレームを一体化するような構造で規則をクリアしつつ、剛性アップと軽量化を実現した。
リヤセクションもフューエルコンテナとトランスアクスルの締結に独自ノウハウがあり、この技術は2008年に復活したR35 GT-Rにも活かされている。
5月2日発売『スーパーGTファイル 2019スペシャルエディション』では本山哲が搭乗してチャンピオンを獲得した2003年型GT-R、2004年型フェアレディZ、2008年型GT-Rの開発ストーリーを改めて取材。それを軸として本山哲の足跡を振り返る。ベース車両に縛られつつも、さまざまな技術的アプローチが可能だった2000年代のGT500だったからこそ、エースドライバー本山哲の感性が光った。
■SUPER GT file 2019 Special Edition
発売日:2019年5月2日(木)
定価:1111円(税込1200円)
特別付録:03GT-R/04Z/08GT-R チャンピオンマシンポスター(A1変形サイズ)
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