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独自の3気筒エンジンと充実装備のトライアンフ新型「タイガースポーツ800」は幅広いシーンで快適に楽しめる

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独自の3気筒エンジンと充実装備のトライアンフ新型「タイガースポーツ800」は幅広いシーンで快適に楽しめる

ストロークアップで実現した図太いトルク

 一見してカッコいい。キリリと引き締まった端正なマスクと長い手足を持ったスマートな好青年といった印象です。トライアンフの「タイガー」シリーズと言えば、オンもオフも走れるアドベンチャーバイクのイメージが強いですが、新型「Tiger Sport 800(タイガースポーツ800)」は純粋なオンロードモデルです。2021年にデビューした「タイガースポーツ660」の兄貴分として新登場しました。

【画像】アドベンチャースタイルで長距離も快適なトライアンフ新型「タイガースポーツ800」を画像で見る

 車体は660とほぼ共通ですが、大きな違いはエンジンです。660が「デイトナ660」をベースとしているのに対し、800は「ストリートトリプル765」がベースです。ご存じの人も多いかと思いますが、ロードレース世界選手権でトライアンフが独占的に供給しているMoto2用にも使われている並列3気筒エンジンです。

 高性能なことは折り紙付きですが、さらにストローク量を増やして排気量をアップすることで、低速から扱いやすく、トルクフルな特性に仕上げているのが特徴です。

 ベースは「ストリートトリプル765」系ですが、排気量アップしたぶんをトルクに割り振っているので、走りに余裕があります。ピークパワーこそ116psと控えめ(はっきり言って十二分)ですが、最大トルク値も含め1万回転以下の全域で「ストリートトリプル765」を上回っている点には注目です。

 ワイドトルクとクロスした6速ミッションの組み合わせにより、どのギアでも力強く、気持ちの良い走りを楽しめる。まさにスポーツツアラーにぴったりのエンジン特性に仕上がっています。

長い足を生かした快適でしなやかな走り

 ハンドリングは軽快でニュートラル。アドベンチャーというよりは、やはり前後17インチホイールを装備するロードスポーツ寄りと言えます。何も考えずとも目線を向ければコーナーに吸い込まれていく感じは「ストリートトリプル765」に似ています。それでいて車体の動きが穏やかなので、コーナリングでも急かされることなくリラックスして乗れるのが好印象です。

 足まわりも抜かりなく、前後サスペンションともSHOWA製でフロントはカートリッジ式倒立フォーク、リアは油圧プリロード調整付きのリンク式モノショックを備えるなど現代的。ストローク量も前後とも150mmとたっぷりです。一般的なオンロードスポーツモデルに比べると30mm程度長めの設定なので乗り心地も良く、しっとりとした動きで多少荒れた路面であっても快適にいなしてくれます。

 そのぶんシート高は835mmと若干高めかもしれませんが、跨るとスッと沈み込んでくれるので足つきは数値を感じさせません。それよりも上体が起きたアップライトなライディングポジションによる見晴らしの良さと、長い足を生かした伸びやかな走りが魅力でしょう。

電子制御も充実のオールラウンダー

 3種類のライディングモード(スポーツ/ロード/レイン)は走りながらでも簡単に選択可能で、クルーズコントロールもワンプッシュで速度設定ができて使いやすいです。

 試乗した日は幸運なことに天気は良かったのでレインモードを使うこともなかったのですが、もし雨天や低温時で路面グリップが怪しいときなどは安心感が違います。

 より穏やかなスロットルレスポンスと早いトラクションコントロールの介入により、不用意な滑りを上手くコントロールしてくれるはず。特にコーナリング対応型のABS&トラクションコントロールの安心感は絶大でしょう。

 ちなみに、純正装着タイヤのミシュラン「ロード5」はゴムが柔らかくて温まりやすく、接地感も豊富で乗り心地も良い印象です。

 フロントカウルと一体化したサイドカウルや大型スクリーンにより、高速道路でも上半身に当たる風は穏やか。風の巻き込みも少なく、エアプロテクションも優秀です。

 アップ&ダウン双方に対応したクイックシフターが標準装備されていることも大きなメリットです。走り出してしまえばほぼノンクラッチ状態。回転数がマッチしていないと多少ムズがることもありますが、クラッチレバーを軽く当ててやれば問題もなく、そもそもスリップ&アシスト機構によりクラッチ操作も軽いです。

 新型「タイガースポーツ800」は、街乗りからツーリング、高速移動まで幅広いシーンで快適かつ安全な走りを楽しむことができるでしょう。純正パニアケースなどのアクセサリーも充実しているので、タンデムで長距離ツーリングを楽しみたいライダーにとっても魅力的な選択肢となるはずです。価格(消費税10%込み)は139万5000円からとなっています(カラーリングにより異なる)。

文:バイクのニュース 佐川健太郎(ケニー佐川)
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