9月3日、2023年F1第15戦イタリアGPの決勝レースが行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季12勝目を、F1の個人連勝記録を更新する10連勝で飾った。2位にセルジオ・ペレス(レッドブル)、3位にカルロス・サインツ(フェラーリ)が続いた。アルファタウリの角田裕毅はリタイア、リアム・ローソンは11位となった。
超高速レイアウトのモンツァ・サーキットを舞台に開催された今季14レース目。今大会ではハードタイヤにC3(ホワイト)、ミディアムタイヤにC4(イエロー)、ソフトタイヤにC5(レッド)と、最も柔らかいコンパウンドが割り当てられているなか、多くの車両はスタートタイヤにミディアムを選択。
一方、8番グリッドのルイス・ハミルトン(メルセデス)、14番グリッドのバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)、19番グリッドのケビン・マグヌッセン(ハース)3台はハードをチョイスした。
しかし、フォーメーションラップの中、11番手スタートの角田のマシンから白煙。角田は無線でトラブルを訴えるとマシンをコースサイドに止め、グリーンフラッグを受ける前にレースを終えることに。これで1周のエクストラフォーメーションラップが行われたものの、角田のマシンの回収を待つため、レーススタートはディレイに。
15分ほどの中断のち、再度1周のフォーメーションラップが行われた後、気温29度、路面温度43度、湿度42パーセントというコンディションのなか、当初の予定から2周減算された51周の決勝レースはスタートを迎えた。
サインツが第1シケインのホールショットを守るなか、後続の各車スムーズなスタートを見せ、接触も見受けられず。そんななか、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)がアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)をかわし6番手に浮上。ただアルボンは2周目の第2シケイン進入でピアストリを抜き返し、6番手の座を取り戻す。
隊列はモンツァ恒例の数珠繋ぎ状態で周回は続く。そんな中、4周目からDRSが使用可能となると2番手フェルスタッペンは、そこからじわじわと間合いを詰める。
フェルスタッペンは6周目の第1シケイン進入でアウト側からオーバーテイクを試みるが、ここはサインツが守る。そこからサインツを先頭にフェルスタッペン、3番手ルクレールまでがトップ集団を形成し、3台が1秒以内の接近戦を展開しながら4番手のジョージ・ラッセル(メルセデス)以下、後続を引き離す。
しかし、ルクレールは11周目にフェルスタッペンから1.4秒離され、DRSが使用できなくなるとトップ集団から少し間合いを開けタイヤを温存。サインツ、フェルスタッペンの一騎打ちという様相に。
そんな中、15周目の第1シケイン進入でサインツのフロントタイヤから白煙。その間隙をついたフェルスタッペンが第2シケインへのブレーキング勝負でトップに浮上すると、一気にサインツとのギャップを1秒まで広げる。
16周目、第1シケイン進入でセルジオ・ペレス(レッドブル)がジョージ・ラッセル(メルセデス)を攻略し4番手に浮上。約3.6秒先行するルクレールの背中を追う。
フェルスタッペンが毎周1秒近くサインツを引き離す一方、ルクレールがサインツの0.3秒後方に接近しテール・トゥ・ノーズに。ルクレールは「サインツのリヤタイヤは厳しそうだよ」と無線を飛ばし、チームにアピールする。
フェルスタッペンとサインツのギャップが5秒まで広がった19周目終わりに、サインツ、ラッセルがピットインしミディアムからハードへ交換。ルクレールはここからクリーンエアで飛ばすが、その背後0.8秒までペレスが接近する。
20周目終わりにフェルスタッペンとルクレールがピットインしハードに交換。ルクレールはサインツの背後でコース復帰し、第2シケインでサインツをかわしにかかるが、ポジションを入れ替えるには至らず。
21周目終わりにペレスがハードに履き替えると、ペレスはルクレールの背後となり、位置関係は変わらず、2番手争いの3台が1秒以内という接近戦は続く。
一方、ハードタイヤスタートのハミルトンは27周目終わりにミディアムに交換。1ストップ作戦となる中、ハミルトンは「このタイヤで最後までは長いね」と無線を飛ばす。
31周目、ペレスが第2シケインで3番手ルクレールに仕掛けるが、ここはルクレールが守る。ペレスは再度勝負を仕掛けるが、ブレーキング勝負には持ち込まず、32周目のホームストレートでかわし3番手の座を手にする。
ただ、ペレスもタイヤが厳しくなってきたか。35周目に差し掛かってもルクレールとの差は0.7秒。ルクレールはDRSを使用し、ペレスの背後をキープする。
なお、ローソンは35周目に2度目のピットストップを敢行し、ハードタイヤからミディアムに交換。エステバン・オコン(アルピーヌ)、そして同じく2ストップの周冠宇(アルファロメオ)らとポジションを争う。
上位勢が均衡状態が続く中、6番手アルボン、7番手ノリス、8番手ピアストリも接近戦を展開。さらにミディアムタイヤを履くハミルトンが9番手でピアストリに急接近する。
ハミルトンは41周目の第2シケイン進入でピアストリに仕掛けたが、ここで2台のタイヤが接触。ピアストリはフロントウイングにダメージを負い緊急ピットインを強いられ、ポイント圏外に後退する。ただ、ピアストリは43周目に1分25秒072という、このレースのファステストを記録した。一方のハミルトンは45周目にノリスをかわすが、ピアストリとの接触に関して5秒のタイムペナルティが下ることに。
45周目、第1シケインで3番手ペレスが2番手サインツに仕掛けるも、ペレスはコースオフ。ペレスは46周目の第1シケインで再度ブレーキング勝負を仕掛け、今度はオーバーテイク成功。しかし、その時点でフェルスタッペンとは12.5秒ものギャップが広がっていた。
3番手に後退したサインツに今度はチームメイトのルクレールが襲いかかる。47周目の第1シケインで一時はルクレールが先行するが、続く第2シケインでサインツが3番手の座を取り戻す。
フェラーリのチームメイト同士の戦いは続き、周回遅れのマグヌッセンが2台のフェラーリに接近するほど。50周目のターン1で再度ルクレールが仕掛けるが、サインツも譲らない。思わずチームも「リスクなしで走り切ろう」とルクレールに無線を飛ばすが、ルクレールはファイナルラップの第1シケインでもタイヤスモークを巻き上げ、一歩も引く様子は見せなかった。
51周目、スタート後は一度もセーフティカー(SC)やVSCが出ないレースとなる中、フェルスタッペンがトップチェッカーを受け、今季12勝目をF1の個人連勝記録を更新する10連勝で飾った。6.8秒差の2位にペレスが続き、フェラーリの地元イタリアでレッドブルがワンツーを決める結果となった。そして、最後までバトルが続いた3位にはサインツが続いた。
4位ルクレール、5位ラッセル、6位ハミルトン、7位アルボン、8位ノリス、9位アロンソ、10位ボッタスまでが入賞。デビュー2戦目のローソンは入賞にあと1つ届かなかったが11位で完走している。
次戦となる2023年F1第16戦シンガポールGPは、9月15~17日にマリーナ・ベイ・市街地サーキットで開催される。
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