ボルボXC90に設定された特別仕様「B5 AWD テイラードウール エディション」は、環境低減に積極的なボルボらしいモデルだった。100%天然で生分解性があるウールフェルトを使って仕立てられたシートを採用、ファインナッパレザーと同等以上という質感や風合いはどうだったのか。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2020年9月号より)
ウールフェルトは100%天然で生分解性があり持続可能な素材
実にボルボらしいなぁ~と思える特別仕様車が発表された。ボルボ「XC90 B5 AWD テイラードウール エディション」である。
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というのもボルボは、2025年までに自動車1台あたりのCO2排出量を2018年比で40%削減することを目標にし、また2040年までにクライメートニュートラル(環境負荷を与えないこと)を実現する計画も表明しているメーカーだからだ。実際は相当に大変だと思うが、サスティナブルな企業であるためにと定めた、重要な目標なのである。
そのための取り組みであるドライブe(直列4気筒2L以下のエンジンしか作らない)をはじめ、電動化、クリーンエネルギーの導入、プラスチック素材の再利用、使い捨てプラスチック使用の廃絶、ブロックチェーン技術の採用、鉄道輸送へのモーダルシフトなど、今できることをあらゆる方向から行っているが、そのひとつが今回装着された、テイラードウールブレンドシートだ。
これは、ウール30%とリサイクルポリエステル素材70%で作られた上質なテキスタイル生地で作られた、最上級のファブリックシートで、ファインナッパレザーと同等以上の上質さと風合いを実現するべく開発されたものだ。北欧はテキスタイルにおいても豊かな文化を持っているのである。
シート生地が滑りにくく長距離走っても疲れにくい
さて、そんな彼女が送り出したテイラードウールブレンドシートが、ボルボのフラッグシップモデルであるXC90に装着された。パッと見は一体どんな素材で作られているのか判別できない感じなのだが、高級感があるというのはわかる。質感が伝わってくるのだ。
実はウールはチクチクしそうと、密かにおののいていた私だったが、肌触りは実に滑らかなもの。言われなければこれがウールとはわからない。見た目の質感と、しっかりしているのにソフトという感触に役立ってくれているようなのだ。
そして、座った時のホールド感にも驚いた。元々、私が現在世界一素晴らしいと思っているボルボのシートの形状はとても完成度が高いのだが、この生地がまたシートにピタッと肌が吸い付くように体を支えてくれる。
なんといっても今回ドライブした、東京から軽井沢まで往復約400kmの行程で、一度も座り直すということがなかったのだ。比較的小柄な私は、身体に合わないシートだと徐々に前に滑ってしまうようで、走行中に座面の奥へと座り直すことが結構多いのだが、今回はそれが一度もなかった。まったく身体がズレなかったという見事な証拠なのである。
ところで、新しくXC90に搭載された48VハイブリッドとなるB5エンジンは、新しい第3世代のエンジンをベースとしているため振動が少なく、回り方もスムーズ。48Vハイブリッドシステムも、大袈裟感のないスマートなアシストで、本当に気持ちが良く、軽井沢までの往復がいつもの半分くらいの距離に感じられたほど快適に移動することができた。
ちなみにこの特別仕様車は限定15台。もう少し多めの設定をしてほしいところだが、気になる方は早めに問い合わせをした方がいい。(文:竹岡 圭/写真:永元秀和)
ボルボ XC90 B5 AWD テイラードウール エディション 主要諸元
●全長×全幅×全高:4950×1960×1775mm
●ホイールベース:2985mm
●車両重量:2120kg
●エンジン:直4 DOHCターボ+モーター
●排気量:1968cc
●最高出力:184kW(250ps)/5400-5700rpm
●最大トルク:350Nm/1800-4800rpm
●モーター最高出力:10kW/3000rpm
●モーター最大トルク:40Nm/2250rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミム・71L
●WLTCモード燃費:10.9km/L
●タイヤサイズ:275/45R20
●車両価格:896万円(2020年当時)
[ アルバム : ボルボ XC90 B5 AWD テイラードウール エディション はオリジナルサイトでご覧ください ]
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