RAV4ベースのミツオカ初のSUV、バディが発売されたのは2021年6月24日。2020年11月26日に発表され、先行予約を受け付けていたが、ティザーキャンペーン公開直後から反響が大きく予約が殺到、その反響はすさまじく、2021年に50台、2022年に150台という予定だったバディの生産台数は、たった2日で売り切ってしまった。
そこで2022年以降から2倍となる年間300台の増産を決定した。しかし相変わらずの納期約2年待ちは変わっておらず、現在の納期は2023年春頃になるという状況だった。
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そんなところへ、2022年2月3日に嬉しいニュースが飛び込んできた!
文/伊達軍曹
写真/ベストカーweb編集部、ミツオカ自動車、トノックス、三菱ふそうバス製造
[gallink]
■プレミアム価格が付いた中古車2台が販売されていたがすぐに売り切れ
新型トヨタランドクルーザーの納期の4年とちょっとすごいことになっているが、ミツオカバディの納期もなかなかのモノである。ちょっと前までは「2年待ち」が当たり前だったのだ。
ミツオカバディというクルマ自体については、今さら過剰なご説明は不要だろう。現行型のトヨタRAV4をベースに、光岡自動車が独自のデザインで仕立てたカスタマイズカーだ。ミツオカブランドとしては初のSUVでもある。
発売直後から納車2年待ちの「バディ」に朗報!! なんとミツオカが「バディ」の増産を発表したのだ。ミツオカから生産委託を受ける2つの会社が加わることで1.5倍の生産キャパを確保した!!
ボディサイズはRAV4より「130mm長く、10mm幅広く、10mm背が高い」というもので、パワートレインはRAV4と同じ。すなわち2L、直4直噴ガソリンエンジンと、2.5Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドの2種類だ。
で、そんなミツオカバディは2020年11月に先行予約が始まると同時に注文が殺到し、光岡自動車はトヨタなどと違って1日に生産できる数に限界があるということもあって、前述のとおり「2年待ち」という状態が長らく続いていたのだ。
そして「新車の納期が鬼のように長いなら、中古車を探せばいいじゃないか」と思っても、肝心の中古車がない。
いや、正確にいえばこの原稿を依頼された直後には「カーセンサーnetに2台のバディが掲載されていると聞いたが、どれどれ……という感じでサイトを見てみると、2月5日現在、バディのバの字もない。今、「即納のミツオカバディ」にはめちゃめちゃ価値があるため、おそらくは瞬殺で売れてしまったのだろう。
増産が決定しても1年半待ち・・今すぐ入手するには中古車を狙え!! と探したものの、超プレミア価格が付いたうえ、光の速さで売れてしまう。相棒(バディ)を得るには気長に待つしか無いようだ
ちなみにカーセンサーnetに掲載されていた2台のミツオカバディは、それぞれ「680万円」、「850万円」というプライスだったとのこと。バディの新車価格が486万900~608万7400円なので、けっこうな額の“即納プレミアム”が乗っかっていたようだ。
そこまでのプレミアムを払うのはちょっとアレであり、そもそも中古車は2022年2月5日現在どこにも存在しておらず、新車を買うにしても2年待ち……ということで、ミツオカバディが欲しい人間としては「八方塞がり」と言える状況なのだ。
■2月3日に増産が決まり納期が2年待ちから1年半待ちに短縮したというニュースが!
この状況はなんとかならないのか? つまり、新車の納期をもうちょい短縮させることはできないのか――ということで、光岡自動車の広報担当者に電話で直撃してみることにした。
――もしもし。貴社の公式サイトによればバディの納期は相変わらず「約2年」だそうですが、これってもうちょっとどうにかならないんですか?
光岡自動車 販売企画課 笠原勝義さん(以下、笠原氏):……本当にウチのサイト、ご覧になってます?
――見てますよ! ていうか今日の朝、しっかり見ましたよ! そこに「約2年待ち」という旨が書かれていたわけですが……あれ? 今見ると「約1年半待ち」に変わってますね。何が起きたんですか?
「バディ」2Lガソリン仕様。エンジンルームを見ればベースのRAV4からどの様にボディパネルを変更しているのがよく分かる。ただこの変更作業が手作業のため、膨大な時間がかかるのだ
笠原氏:受注好調なバディの納期を少しでも短縮するため、「株式会社トノックス」さんと「三菱ふそうバス製造株式会社」さんという2社に、バディの車両製造委託をさせていただくことで合意したんです。それによってバディの年間生産能力が大幅に上がり、これまでは約2年だった納期を約1年半に、つまり6カ月ほど前倒しできる見通しが立ったんですよ。
――なるほど。私が今朝に見た時は、まだその情報が公開されてなかったんですね……。それは失礼しましたというか、嬉しい限りです。ちなみにトノックスさんと三菱ふそうバス製造さんって、どんな会社なんですか?
笠原氏:株式会社トノックスさんは1950年の創業以来、自動車車体架装メーカーとして事業拡大を続けている、自動車メーカー各社の協力工場として稼働している会社です。弊社と同じ架装事業も手掛けていることから、かねてより親交があり、追加増産に向けての車両製造委託で合意に至りました。
バディ増産を担う2社の1つ、トノックスは神奈川県平塚市と横浜市に工場を構える車両メーカーだ。日産自動車との縁が深いが、日産車に限らず消防車や救急車といった特装車の架装を得意としている会社だ
――トノックスさんのサイトを拝見すると、かなりさまざまな特装車を作ってらっしゃるみたいですね?
実は初代シルビアはトノックスで生産された。他にも初代フェアレディ(SP310他)やサファリ(Ý61)の生産も担当。近年はシルビアをはじめとした旧車のレストア事業も手掛けている
笠原氏:おっしゃるとおりです。そして三菱ふそうバス製造株式会社さんは1950年に呉羽自動車工業として設立され、1993年以降は弊社と同じ富山県富山市の婦中町地区にてFUSOブランドのバス製造を一手に担っています。
婦中町地区にはバス関連部品の製造にかかわる企業も多く、今回の車両製造委託は、地域活性化を目指す両社から生まれたきわめて自然な流れのなかでの合意です。
もう一社は三菱ふそうバス製造。富山県富山市にある三菱ふそうのバス製造メーカーだ。写真は本社内の「ウェルカムセンター」で、バスのショールームの他顧客への納車前点検を実施する「検収レーン」を備え、顧客満足の充実を図っている
同社が製造する大型バス「エアロクイーン」写真の貸切観光バスの他、高速路線バスとしても活躍中。同社がミツオカと同じ富山市に拠点を構える「縁」でバディ増産の一翼を担うこととなった
■年間300台から1.5倍の450台に増産!
――なるほど……。ところでバディの生産可能台数ってどのぐらいなんですか?
笠原氏:今年の当初のプランでは「1年間で300台作る」ということになっていました。月産で約25台ですね。それが今回、2社様に生産委託することで合意できましたので、当初計画の1.5倍となる年間450台、月産で約37台は製造できると見込んでいます。
――ちなみにバディのこれまでの受注数は?
笠原氏:2020年11月の先行予約スタートから、トータルで800台強といったところですね。
2020年11月からの受注台数は800台強!!発売から既に1年以上経過した今も納車2年待ちは変わらず。それでも受注は日々増加する傾向に変わりはなく、特装車としては異例の人気っぷりなのだ
――ユーザーからの注文はさすがにもう止まりましたか? それとも相変わらず注文が殺到しているんですかね?
笠原氏:殺到といえるかどうかはさておき、おかげさまで日々、ご注文の数が増え続けている状況ではあります。
――となると、トノックスさんと三菱ふそうバス製造さんに協力してもらったところで、なんだかんだで1年半はかかるのも無理はないですね……。オーダーは入れたものの、納期の長さに嫌気が差して「やっぱりキャンセルします!」と言い出す人の数は?
笠原氏:それについてもおかげさまで、ご注文のキャンセルというのはほとんど発生していません。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「2年待ちが1年半待ちになった」といったところで、ミツオカ バディの納期が長いことに変わりはない。だが人間も――18歳ぐらいの人はさておき――30歳を越えたあたりからは時の流れるスピードが鬼のように加速するので、1年半なら「わりとあっという間」と感じられるのかもしれない。
2社の協力を得て、2年→1年半へ納期が短縮されたとはいえ、大半の方のオーナーへの道はまだ先だ。しかし納車とともに始まる「バディ」との生活を毎日夢見ていれば、待つことも楽しみになる⁉
バディの中古車が市場に出てくるならそれを狙うのもアリだが、どうやらなかなか出てきそうにはない気配。そのため、ミツオカバディに乗りたい場合は「トノックスさんと三菱ふそうバス製造さんに感謝しつつ新車の注文を入れる」というのが、基本的には正解となるのだろう。
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