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フェラーリ、LMGT3運営チームにAFコルセを指定。ドライバーの“実質プロ化”傾向には牽制も

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フェラーリ、LMGT3運営チームにAFコルセを指定。ドライバーの“実質プロ化”傾向には牽制も

 2024年のWEC世界耐久選手権に新設されるLMGT3クラスにおける2台のフェラーリのGT車両のエントラントとして、フェラーリはAFコルセを指名した。現在のLMGTEアマクラスにエントリーしているトーマス・フローとサイモン・マンが各1台の車両のドライバーとなる。

 2024年、WECのGTクラスはGT3車両で争われることになる。多くのマニュファクチャラーが参戦を希望しているが、ACOフランス西部自動車クラブとFIA国際自動車連盟は、1マニュファクチャラーあたり2台に参戦枠を絞る方針を表明している。最高峰ハイパーカークラスに参戦しているメーカーには優先権が与えられ、またマニュファクチャラーがLMGT3へ参戦するチームを指名することになっている。

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 ビジネス航空会社『ビスタジェット』の代表を務めるフローは現在、LMGTEアマクラスで54号車フェラーリ488 GTE Evoをドライブしており、マンは今年、ブロンズドライバーを交代で起用した21号車のシルバードライバーを務めている。先日の第6戦富士では小泉洋史とケイ・コッツォリーノが21号車のラインアップに加わったのも記憶に新しい。

 2023年のWECには上記2台のほか、リシャール・ミル・AFコルセの83号車、そして木村武史も乗り込むケッセル・レーシングの57号車がLMGTEアマクラスのフェラーリ陣営として参戦しているが、この2台については来季のLMGT3クラスにおけるフェラーリ296 GT3の参戦枠からは漏れることになりそうだ。

 フェラーリのスポーツカーレースのボス、アントネッロ・コレッタは先週末のWEC富士の現場で、WECのGT3時代においても、フローとマンはAFコルセの一部として残ると明らかにしている。

「我々は、おそらく来年のGTも同じラインアップで臨むことになるだろう」

「トーマスはここ最近のレースで大きな進歩を遂げた。モンツァでは、トラブルがなければ、優勝争いは不可能ではなかっただろう。セーフティカーなど、いくつかのアンラッキーがあった。最後の2時間はダビデ・リゴンが乗り込み、勝つチャンスはあった」

「もう1台のマシンには、サイモン・マンがいる。おそらく来年のプログラムも確約されている」

「(21号車の)ブロンズが誰になるかは分からないが、トーマスとサイモンは確定だろう。あとは、どうなるか見てみよう」

 フローは2017年からAFコルセとともにWECに参戦しており、先日の富士ではGTEアマクラスで2勝目を挙げ、6年間離れていた表彰台の頂点への返り咲いた。

 フローは、過去43回のWECレースで途切れることなくドライビング・パートナーを務めてきたフランチェスコ・カステラッチと引き続きステアリングをシェアするつもりだ。また、今年からラインアップに加わったフェラーリのファクトリードライバー、リゴンの継続起用も希望している。

「来季はGTEはないが、車両は可能な限りこれらのマシンに近いものになる。GT3というブランドにはなるがね」とフロー。

「シーズン終了後、(GT3車両の)296に慣れるのに2~3カ月の時間がある」

 フローは11月にバーレーン・インターナショナル・サーキットで開催される同カテゴリーの最終戦まではGTEアマに全力を注ぎ、その後冬の間にフェラーリ296 GT3のテストを開始する。

 GT3プラットフォームは世界的に汎用性が高いにもかかわらず、フローはWEC以外の選手権でドライブすることはないと考えている。

「来年(のWEC)は8レースだし、僕はまだビジネスも続けなければならない」とフロー。

「本当の意味で、自分はアマチュアだと信じている。他の何人かは年間15レースや20レースをこなしているけど、僕はそうではないし、来年はWECだけに集中するつもりだよ」

 一方のマンはすでにIMSAミシュラン・エンデュランス・カップでAFコルセのドライバーを務めており、LMGT3と並行してアメリカでのプログラムを継続することに興味を示したが、それはまだ決定していない。

 22歳の彼は4年前にレースを始め、2021年にイタリアGTスプリントのプロ/アマのタイトルを獲得した後、翌年にはWECのGTEアマで初のフルシーズン参戦を果たした。

「ここにいる他の何人かと比べると、僕はレース経験が少ない」とマンは語っている。

「特に僕がこれまでやってきたことに比べるとね。彼らの多くはフォーミュラやカートを経験している」

「僕は進歩しているけど、それを考慮する必要もある。GT3でより多くの経験が得られるのなら、僕はそれを選ぶよ」

■“プロ・ブロンズ”の争奪戦が勃発する?

 前述のとおり、LMGT3クラスへの参戦を承認された各GT3マニュファクチャラーは、割り当てられた2台のエントリーを獲得するチームを決定する権限を持つ。

 フェラーリではAFコルセ、ポルシェではマンタイ、シボレーではTFスポーツなど、すでに決まっているチームもある。

 しかし、コレッタはファクトリーがLMGT3に深く関与しすぎることに警鐘を鳴らしており、特にブロンズドライバーが必須とされるカテゴリーにおいて、ドライバーのラインアップに大きな影響を及ぼす可能性があることを懸念している。

 WECのアマチュアクラスでは近年、一部で“プロ・ブロンズ”とも呼ばれる、実力や活動内容がプロフェッショナルに近いアマチュアドライバーや、FIAのレーティングよりもその能力が“格上”に感じられるシルバー、ゴールドといったドライバーたちが戦力を左右する傾向にある。

「多くのチームが世界最高のブロンズを見つけるだろうし、耐久レースの哲学が一貫したものであることを願っている」とコレッタは言う。

「我々はジェントルマンドライバーを必要としている。リスクは、この姿勢を失うことだ。パドックにオフィシャルチームがあるのは非常にまずいことだ」

 ハイパーカーのファクトリーパートナーであるAFコルセにLMGT3エントリーを任せることで、フェラーリがその問題の一端を担う可能性はないかと尋ねると、コレッタはこう答えた。「我々は実際の(ブロンズ)ドライバーを保持する」。

「AFコルセはマシンの管理を担当するが、一方(ハイパーカー)は公式チーム、もう一方(LMGT3)はコマーシャル(商業)チームだ」

「だが他のマニュファクチャラーが、最高の“プロ・ブロンズ”ではなく、最高のブロンズ・バジェットを見つけるという哲学を維持するかどうかはわからない。これが来年の大きな課題だ。残念なことに、それは非常に難しいものになると思う」

「他のメーカーがブロンズ、シルバー、ゴールドのレーティングにおけるプロフェッショナルなラインアップをそろえたとしても、我々には(ドライバーを)変更するチャンスはない。リスクは非常に高い。これはこの選手権の精神にとって、良いことではない」

「その一方で、この状況を管理するのは複雑だ。プロモーターの立場に立って考えてみると、解決策を見出すのは非常に難しいことだと思う」

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