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「ジュリア」で示したアルファロメオの意地とDNA

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「ジュリア」で示したアルファロメオの意地とDNA

■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ

 アルファロメオの4ドアセダン「ジュリア」とSUV「ステルビオ」に、ガソリンとディーゼルエンジンが搭載され、乗り較べる機会があった。アルファロメオがゼロから新開発した久々のFR(後輪駆動)の4ドアセダン「ジュリア」への期待は大きかった。

乗ってわかった三菱「デリカD:5」の○と×



「ジュリアやその後に続くステルビオ、さらにそれらに続くモデルによって、アルファロメオはブランドの再構築を図る」

 本社のマーケティング部門の責任者が「ジュリア」の日本導入時に来日し、メディア発表会で決意を高らかに謳いあげたほどだった。その意気込み通りに仕上がっていることは、2年前に導入した時、初めて乗ってすぐに感じ取ることができた。機敏なハンドリングと快適な乗り心地を高いレベルで両立させていて、居住性などにも優れている。実にアルファロメオらしいスポーティな4ドアセダンに仕上がっていた。

ディーゼル版「ジュリア」の完成度

 そして、新しい取り組みとして高く評価できたのが、カーナビを標準装着するのを止め、代わりに「CarPlay」と「Android Auto」を装備して、スマートフォンをモニター画面と音声で操作できるようにしたことだ。後付けのカーナビを付けて使いにくかったり、地図ソフトが古くなるのを我慢しなければならないくらいだったら、この方がとても合理的だと「CarPlay」ユーザーの僕は思った。

 ただ、ちょっと残念だったのは、そのモニター画面のクオリティーが低いことだ。せっかく「iPhone」の画面を大きく映し、「Google Maps」を表示しても、解像度が低いのか、粗い画面にしかならず、クッキリとは見えないのがもったいなかった。

 SUVの「ステルヴィオQ4」にも導入時に乗っている。ガソリンエンジンを搭載する4輪駆動版に再び乗ってみた。インテリアや操作方法などは「ジュリア」に準じている。走らせると、車体が大きく重量が重く、乗車位置と重心が高い分、動きが全般的にマイルドに感じる。運転しやすく、大きな不満はないのだが、反対に、積極的に選ぶ理由も見出せない。

 同じ「ステルヴィオQ4」のディーゼル版に次に乗ったが、ディーゼル特有の低回転からの太いトルクでの力強い加速が印象的だった。アイドリング時のカラカラいうノイズと振動も皆無ではない。今回は測れなかったが、ディーゼルのアドバンテージが活きる燃費値がどれくらいになるのかがカギとなるのではないか。



 そのディーゼルエンジンを積んだ「ジュリア」には初めて乗った。ボディーの内外のどこにも“ディーゼル”の表示がない。エンジンを始動しないとわからない。始動すれば、ステルヴィオと同じように、アイドリング時のノイズと振動でわかる。トルクの太さによる加速の強さは「ステルヴィオQ4」よりも明確に感じた。

「ジュリア」と「ステルヴィオQ4」のエンジン違いを2台ずつ4台乗った結論としては、アルファロメオの新たなスポーティーな4ドアセダンとSUVは狙い通りに仕上がっていて、完成度もなかなか高い。以前のアルファロメオと較べると、4台の内外デザインがおとなしい印象で優等生的なのが個人的には物足りなく思うが、その分、より多くの人に訴求できれば良いとも納得できる。

最後に乗った「ベローチェQ4」で衝撃を受ける

 電動化など、各社が躍起になっている、いわゆる“CASE”と呼ばれる新技術へのアプローチが聞こえてこないのも、この時代ちょっと不安になってくる。4台の他に、実は最後にもう1台「ジュリア」に乗った。「ベローチェQ4」というスポーティー版で、これだけ左ハンドルだった。



 走る前から驚かされた。ステアリングホイールの握り具合から始まり、シートの掛け心地をはじめとするドライビングポジションがかなり違うのだ。エンジンも排気量は2.0L、4気筒と変わらないが、280馬力と高出力である上に、さらにレスポンシブルに感じた。箱根ターンパイクを、先ほど乗ったばかりの右ハンドルの「ジュリア」よりもさらにスポーティに駆け抜けたのだ。

「いいじゃないか!」

 思わず、誰も乗っていないのに口にしてしまった。ハンドル裏側に生えている異例に大きなアルミ製パドルを引いてマニュアルシフトしながら、ターンパイクを上り降りしているとスポーツカーと変わらない運転の喜びが沸き起こってきた。こんなにダイレクトに運転が走りっぷりに反映される4ドアセダンは近頃珍しい。「ジュリア」は左ハンドルの「ベローチェQ4」で決まりだ。白眉そのもの。真骨頂そのもの。CASEなんて、もうどうでも良くなってくる。

 聞けば、「ベローチェQ4」は「ジュリア」シリーズの中で、日本ではこれまで1割以下しか選ばれていないのだという。510馬力もの高出力V6ツインターボエンジンを搭載した、1139万円もする「クワドリフォリオ」というトップモデルでもないのに、あまり選ばれていないらしい。

 実に、もったいない。

「ジュリア」の購入を検討している人は、ぜひ左ハンドルの「ベローチェQ4」に試乗することをお勧めしたい。もちろん、他の4ドアセダンを考えている人にもだ。

■関連情報
https://www.alfaromeo-jp.com/models/stelvio/stelvio-diesel/
https://www.alfaromeo-jp.com/models/giulia/giulia-diesel/
https://www.alfaromeo-jp.com/models/giulia/veloce/

文/金子浩久(モータージャーナリスト)

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