現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ドライバー不足で「修学旅行」がドタキャンってマジか! 「働き方改革」はバス業界にもバス利用者にも大打撃を与える「愚策」か

ここから本文です

ドライバー不足で「修学旅行」がドタキャンってマジか! 「働き方改革」はバス業界にもバス利用者にも大打撃を与える「愚策」か

掲載 23
ドライバー不足で「修学旅行」がドタキャンってマジか! 「働き方改革」はバス業界にもバス利用者にも大打撃を与える「愚策」か

 この記事をまとめると

■時間外労働の上限規制などにより生じた2024年問題

コロナがバス業界を襲う! 最近路線バスの走りが「ぎこちなく」なったワケ

■トラック業界だけでなくバス業界も打撃を受けている

■路線バス、観光バスの現状について解説

 多くの路線バスが廃止に追い込まれた

 働き方改革と称されて始まった、物流の2024年問題。なかでもトラックドライバーへの影響が懸念されており、これまでのように荷物が届かなくなる可能性や、ドライバーの収入低下が問題視されている。しかし、その弊害を受けているのはトラックだけではない。トラックと同様に人手不足にあえいでいるバス業界も大きな打撃を受けている。

 2024年問題とは、「時間外労働の上限規制」やその他の関連法における労働基準の見直しによって生じる、さまざまな問題の総称。2019年より施行されている「働き方改善関連法(改正労働基準法)」によって規定された法律で、自動車運転者の長時間労働を防ぎ、労働条件の向上を図るために設けられた。

 労働時間を制限するということ自体はとても素晴らしいことだといえるだろう。しかし、それはこれまでと変わらぬ給料や人材が保証されていればの話。もちろんそんな保証は存在せず、ただ労働時間だけを制限するというのだから恐れ入る。

※写真はイメージ

 人手不足に悩まされているバス業界では、市民の足だったはずの路線バスがあちらこちらで廃止されるという由々しき事態に陥っている。それも過疎地域だけでなく、東京都や大阪府下でも起きているというのだから、事態の深刻さがおわかりいただけることだろう。

 そんな廃止となった路線バスの代わりにレンタカーナンバーのハイエースなどが運用されているケースもあるようだが、そのような対策すらいつまで続くかわからない。人手不足に悩まされているトラックやバス業界を苦しめる結果になっている2024年問題は、わたしたちの暮らしにも大きな影響を与えているのである。

 ドライバー不足により修学旅行が中止

 そして、その影響は観光バスにも広まっている。先日も大手メディアによるニュースでも伝えられたが、ドライバーが用意できないために修学旅行がドタキャンされたというのだ。その理由として挙げられたのが2024年問題。昨今のドライバー不足や時間外労働時間の制限により、貸切バスが手配できなかったというものだ。この例の場合は列車に切り替えたことで大きな問題を避けることができたというが、このようなケースはこれからも大いに想定されることだろう。

 しかし、その背景にはほかの理由も隠されていた。とある観光バス会社の社長が、その内情を話してくれた。

「修学旅行のドタキャン騒動についてですが、ドライバー不足や時間外労働時間の制限による影響はもちろん、大きいでしょう。2007年に起きた大きなバス事故によって規制が厳しくなりました。加えて尖閣諸島問題によって中国からの観光客が大幅に減少した時期もあって、貸切バス事業者は撤退や減車を余儀なくされたんです」。

※写真はイメージ

「そして現在です。いま大幅な円安ですから、外国からのお客様がとても多いのです。俗にいうインバウンドですね。貸切バス業者は、そちらの確保を優先しているフシがありますね。学校関係は運賃が安いですから稼げるインバウンド客を優先するのも致し方ないことだと思います。ウチではそんな不義理なことはしませんが、この問題をクリアするためには国が学校関係の運賃を一部補助して、底上げするのが一番かもしれません」。

「なかにはありえないほどの高額設定でバスを動かしているような業者もありますが、貸切バス業界でもドライバーが出社や帰社した際に対面で安全確認をしなければならなくなりました。貸切バスの場合はドライバーの出社時間が早朝なんていうのはザラですし、深夜に帰社するなんていうのも当たり前のようにありますから。つまり、24時間体制に近いため、ドライバーとは別に事務所にひとり滞在させておかなければならなくなったのです。8時間交代としても3人が必要になりますからかなりの痛手ですね」。

 人手不足の業界に追い打ちをかけているだけのようにも感じるこのような事態は、いつまで続くのだろうか。いまのところ働き方改革ならぬ改悪になっている感が否めないが、今後はその対策に向けて、行政側の意識改革に期待したい。

関連タグ

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

夜行バス「東日本の雄」19年目にして“さいたま乗り入れ” 4列シートで青森・弘前へ 弘南バス
夜行バス「東日本の雄」19年目にして“さいたま乗り入れ” 4列シートで青森・弘前へ 弘南バス
乗りものニュース
「黄信号で止まったら追突されました。私が悪いんですか?」投稿に回答殺到!? 「止まるな」「いや追突車が悪い」大議論に! 実際「悪い」のはどちらなのか
「黄信号で止まったら追突されました。私が悪いんですか?」投稿に回答殺到!? 「止まるな」「いや追突車が悪い」大議論に! 実際「悪い」のはどちらなのか
くるまのニュース
ハンバーガーセットが2000円! 牛丼大盛り1600円! 現在のアメリカは円安とインフレのダブルパンチで日本人に厳しい環境だった
ハンバーガーセットが2000円! 牛丼大盛り1600円! 現在のアメリカは円安とインフレのダブルパンチで日本人に厳しい環境だった
WEB CARTOP
納期遅延なんて概念自体が世界的には珍しい! 海外は日本の自転車のように「そこのクルマ」を買って帰るが普通だった
納期遅延なんて概念自体が世界的には珍しい! 海外は日本の自転車のように「そこのクルマ」を買って帰るが普通だった
WEB CARTOP
燃料代も安くて燃費もよくなるなら最高な気がする! それでも「ディーゼルハイブリッド」をほぼ見かけない理由とは
燃料代も安くて燃費もよくなるなら最高な気がする! それでも「ディーゼルハイブリッド」をほぼ見かけない理由とは
WEB CARTOP
コロナ禍あたりから増えてきた「展示車」「試乗車」の販売! 潜む「リスク」と「お得に買うコツ」
コロナ禍あたりから増えてきた「展示車」「試乗車」の販売! 潜む「リスク」と「お得に買うコツ」
WEB CARTOP
外国人旅行者によるレンタカーの「路上乗り捨て」まで発生! これまでの常識は通用しないいま「交通マナー」への寛容性も重要になる
外国人旅行者によるレンタカーの「路上乗り捨て」まで発生! これまでの常識は通用しないいま「交通マナー」への寛容性も重要になる
WEB CARTOP
あおり運転は論外! だけどあおりを誘発するドライバーがいることもまた事実! もし該当したら見直すべき4つの迷惑運転
あおり運転は論外! だけどあおりを誘発するドライバーがいることもまた事実! もし該当したら見直すべき4つの迷惑運転
WEB CARTOP
ハイテクなぶん普通の旧車より難しい! NISMOが頑張る「第二世代GT-R」でさえ乗り続けることが難しい時代がきていた
ハイテクなぶん普通の旧車より難しい! NISMOが頑張る「第二世代GT-R」でさえ乗り続けることが難しい時代がきていた
WEB CARTOP
バスドライバー不足の救世主? いま「中古バス」ががっつり注目されるワケ 観光業の回復を通して考える
バスドライバー不足の救世主? いま「中古バス」ががっつり注目されるワケ 観光業の回復を通して考える
Merkmal
「路線バスってちょっと不便だよな~」を解消する仕組み! いま注目を集める公共交通の仕組み「BRT」ってなに?
「路線バスってちょっと不便だよな~」を解消する仕組み! いま注目を集める公共交通の仕組み「BRT」ってなに?
WEB CARTOP
試験の合格率はなんと40%未満! 運送業者の謎の職種「運行管理者」って一体何をする?
試験の合格率はなんと40%未満! 運送業者の謎の職種「運行管理者」って一体何をする?
WEB CARTOP
クルマの紙カタログの廃止はアリorナシ? ディーラーの経済的負担は減るけれど「物理的なカタログ」の役目もまた大きい!
クルマの紙カタログの廃止はアリorナシ? ディーラーの経済的負担は減るけれど「物理的なカタログ」の役目もまた大きい!
WEB CARTOP
タクシー&バスドライバーはお先にどうぞのパッシングを信用しない! 疑ってかからざるを得ないプロドライバーの世界
タクシー&バスドライバーはお先にどうぞのパッシングを信用しない! 疑ってかからざるを得ないプロドライバーの世界
WEB CARTOP
2024年問題はドライバーだけじゃなく「トラックの整備業界」にも影響! 整備&修理を時短化するさまざまな新技術
2024年問題はドライバーだけじゃなく「トラックの整備業界」にも影響! 整備&修理を時短化するさまざまな新技術
WEB CARTOP
電動キックボード「LUUP」なぜ躍進? 購入トレンドは「特定小型原付」より「原付一種」!? 乗るとわかるLUUPのストレスとは
電動キックボード「LUUP」なぜ躍進? 購入トレンドは「特定小型原付」より「原付一種」!? 乗るとわかるLUUPのストレスとは
VAGUE
改めて問う! バス会社はなぜ社員のドライバーを守らず、「乗客クレーム」に加担するのか?
改めて問う! バス会社はなぜ社員のドライバーを守らず、「乗客クレーム」に加担するのか?
Merkmal
重労働の「除雪」から100万円で解放されるかも!? シニアカーなどと同等扱いの「小型除雪ドローン」に期待大
重労働の「除雪」から100万円で解放されるかも!? シニアカーなどと同等扱いの「小型除雪ドローン」に期待大
WEB CARTOP

みんなのコメント

23件
  • かすたどん
    根本的な話になりますが法に合わせるとなると客側の問題なんですよ。
    観光だけでなく輸送全体の問題なんだけど使う側(荷主側)が適正な金額の運賃を支払えば解決するんです。
    2024年問題の全てが正しいとは思いませんが問題点が浮き彫りになったのは確かです。
    適正な金額の運賃を払えば解決するんです。
    人が働くってそういう事ですよね。
    経済はボランティアではないんですよ。
  • gon********
    この業界には働き方改革の言葉はありません
    長時間労働、休日少ない、給料激安、睡眠時間ない、悪質クレーマー、カスハラ客
    事故のリスク、問題があれば全て運転手の責任
    入社してもすぐ退職します
    労働環境劣悪です
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村