ベースとなるA4から少し遅れて、ハイスペックモデル「RS4」も改良。ブラッシュアップされたルックスとともに、450psを発生するエンジンなど、走りの魅力にもさらなるテコ入れが施された。その進化を検証する。(Motor Magazine 2020年6月号より)
ナルドグレーのボディカラーが異彩を放つ
アウディスポーツ社は、親会社アウディの量産シリーズの頂点に立つハイエンドラグジュアリースポーツモデルを企画、開発そしてプロデュースするハイテックグループである。今回テストするのはその最新作であるRS4アバント。ベースになったのは、2019年9月にフェイスリフトを受けたワゴンスタイル、現行A4アバントだ。
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ナルドグレーと名付けられたボディカラーのテストカーは、A4に装着されるタイヤより大径の19インチタイヤを収納するために、幅が左右で30mm、スタンダードなA4よりも広い。装着されるロゴはすべてマットブラックに塗装され、タダモノではない雰囲気を漂わせている。
インテリアは、最新のアウディスタイル。ドライバーの正面にはRS独自の表示画面を持つバーチャルコクピット、ダッシュボード中央には10.1インチのMMIIタッチディスプレイが配置される。
円周の下部分がフラットに切り取られたアルカンターラのハンドルのグリップを確かめるようにしっかり握り、イグニッションをオンにして、セレクターをDに選択、ステンレス製のアクセルペダルを踏み込む。V6特有の、やや甲高く少しバラついたようなエキゾーストサウンドを伴いながら、RS4は力強く加速し始めた。
圧巻のロードホールディング性能
搭載されるエンジンは熟成が進む2.9Lの直噴V6ツインターボで、最高出力450ps、最大トルクは600Nmを発生する。組み合わされるトランスミッションは8速ティプトロニック、もちろんクワトロシステムのアシスト付きだ。
コンフォートモードでのスタートでもかなり強力な加速感が体感できるが、ハンドルコラムに装備されたRSプログラムでモードを選択すれば、スロットルペダルの反応はより敏感になり、ハンドリングもよりシャープかつダイレクトに変化する。ちなみにカタログ値のパフォーマンスは、0→100km/h加速が4.1秒、最高速度は250km/hだが、オプションで280km/hまでリミットを引き上げることができる。
テストカーにはオプションの265/35R20サイズのタイヤが装備されていたが、そのロードホールディング性は圧巻。ワインディングロードでは思いのままにハイスピードでコーナーを駆け抜けていくことができる。とくにアウディ独特のタッチは軽やかなのに路面からのインフォメーションがしっかり伝わってくる優れた操舵フィールが、なお一層、スポーツ走行の愉しさを引き立てくれるようだ。
加えて、テストカーはオプションのRSエキゾーストフラップ付き。スロットルオフでは気持ちの良いアフターサウンドをワインディングロードに響かせて走っていると、まさに時間を忘れてしまいそうになるのだった。
アウトバーンでの最高速度チャレンジでは、カタログ値の280km/hを軽く超えてしまった。メーター読みで293km/hに達していたのだが、そんな時でも驚くほどの安定性を保っている。もちろんオプションのセラミックコンポジットブレーキの、強力なサポートがあるからこそ、の挑戦だったのだが……。
実用性に富んだワゴンボディにスポーツカーライクなパワーとハンドリング。RS4はまさに一人二役をこなす。しかも上質なインテリアなど、所有することの楽しみまでオーナーに与えてくれる。
ドイツでの19%付加価値税込み価格はベーシック仕様で8万1400ユーロ(約955万円)。デリバリーも始まっている。試乗を終えて広報担当、そしてマーケティング担当に日本むけのタイミングや価格を質問したところ、残念ながらこの新型コロナ騒ぎの中では正確な情報はわかっていないとのことだった。
未知のウイルスとの戦いはこんなところにも影を落としている。早期の終息を願ってやまない。(文:木村好宏)
■アウディ RS4 アバント主要諸元
●全長×全幅×全高=4782×1866×1438mm
●ホイールベース=2826mm
●車両重量=1820kg(EU準拠)
●エンジン= V6DOHCツインターボ
●総排気量=2894cc
●最高出力=450ps/5700-6700rpm
●最大トルク=600Nm/1900-5000rpm
●駆動方式=4WD
●トランスミッション=8速AT
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