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パンダへ通じる魅力 ジープ・アベンジャーでアルプス山脈へ 海抜1700mの充電器を目指す 前編

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パンダへ通じる魅力 ジープ・アベンジャーでアルプス山脈へ 海抜1700mの充電器を目指す 前編

ニューモデルのなかで異彩を放つデザイン

ここからは雲の上で見えないが、道の先に小さな料金所がある。できれば日没前にゲートを通過し、ホテルのバーで休息を取りたいところだ。

【画像】パンダへ通じる魅力 ジープ・アベンジャー・サミット 競合クラスの電動モデルはコレ 全143枚

現実は、そう甘くない。バッテリーEVのオーナーならご理解いただけると思うが、メーター用モニターへ表示される予想の航続距離は、実際に走れる数字とは限らない。大抵は、数10km単位で短くなるものだ。

これまで筆者は数多くのBEVへ試乗し、試算と現実との違いを目の当たりにしてきた。だが、今回は影響度が違う。30km以内の差なら問題ない。それを下回ると、このロードトリップは失敗に終わってしまう。

今朝へ時間を遡ろう。筆者とカメラマンは、イタリア北部、ヴェローナのジープ・ディーラーを出発した。ジョルジェット・ジウジアーロ氏が描き出した、年代物のフィアット・パンダを追い越しながら。

遥々やって来た理由は、ポーランド・ティヒの工場からラインオフしたばかりの、ジープ・アベンジャーをお借りするため。ボディは眩しいイエローに塗られ、フォルムは直線基調でスクエア。最近のモデルのなかで、異彩を放っている。

デザインの評価は人それぞれだと思うが、筆者の目にはカッコよく映る。古いパンダやラーダ・ニーヴァとも通じる、雰囲気を感じる。

イエローの充電ケーブルが繋がれ、51kWhの駆動用バッテリーは充電済み。出発前のモニターには、400kmの予想航続距離が示されていた。

海抜1700mの充電ステーションを目指す

アベンジャーは、ジープにとって大きな節目となるモデル。地域によっては納車が始まっている。そこで英国編集部では、小さな電動オフローダーの実力をじっくり確かめることにした。

ヴェローナを北に向けて出発し、グロースグロックナー高山道路の南側に位置する料金所を目指す。そこは海抜1700mの高さにあり、ヴェローナから約340km離れている。

オーストリアで最も標高の高い位置に敷設された舗装道路で、アルプス山脈を越えられる。スポーツカー乗りにとっては、最高の快楽を得られるルートの1つに数えていい。

そして21世紀らしく、料金所にはバッテリーEVの充電ステーションが存在する。そこまで無充電で到着し、120kWの急速充電を済ませ、戻ってくることが目標だ。壮観な景色と、ヘアピンカーブが連続する道を楽しみながら。

ジープ・ラングラーなら、山肌を果敢に攻めたかもしれない。それでも、オーストリアまでのワインディングは、新しい電動クロスオーバーの資質を確かめるのに不足ないドライブになる。

アベンジャーには、欧州でのジープの業績を上向かせるという大切な役割がある。伝統のラングラーは極めて有能なモデルで、ファンも少なくないが、シリアス過ぎて大量に売れるモデルとはいえない。

フィアットは2011年にジープの親会社、クライスラーを買収。その後、レネゲードを筆頭に、欧州市場を意識したクロスオーバーが開発された。その結果、イタリアでのシェアは高まったものの、まだ欧州全体では期待に届いていないという。

混雑した市街地を軽快に縫える小ささ

そこで現在のステランティス・グループは、欧州市場へ一層特化させたアベンジャーを開発したのだ。売れ行き次第では、BMW iXクラスの電動SUV、ワゴニアのバッテリーEV仕様も投入する予定だという。

果たして、アベンジャーは期待に応えられる内容といえるのか。ライバルには、ボルボEX30やプジョーe-2008などが挙げられる。ブランドが重ねてきた80年の歴史のなかで、初めて北米以外で設計が進められたモデルだから、可能性は未知数だ。

シャープなボディの内側には、オペル・モッカと共有するアーキテクチャを備える。アイコンといえる7スロット・フロントグリルに見合うだけの、冒険心を満たせるモデルなのだろうか。目的地の急速充電器までの道のりで、答えが見えてくるはず。

ヴェローナからの出発は順調。コンパクトなボディで、混雑した市街地を軽快に縫っていく。サスペンションのストロークは長く、タイヤのサイドウォールは厚く、古い石畳でも乗り心地は快適。ロードノイズも大きくない。

ジープらしい無骨さを漂わせる見た目だが、全長4084mm、全幅1776mmと、上から見たサイズはフォルクスワーゲン・ポロとほぼ同じ。運転席の視点は高く、ドライビングポジションは快適。駆動用モーターはレスポンシブで、至って安楽だ。

スポーツ・モードを選ぶと、最高出力156ps、最大トルク26.4kg-mからイメージするより遥かにたくましく走る。ところが今回は、340km先の中腹まで駆動用バッテリーを温存しなければならない。自ずとエコ・モード縛りになる。

クラス最高水準と呼べるインテリア

一般的に電動パワートレインは静かで滑らかだが、連続した高速走行や長く続く登り坂は、あまり得意ではない。当初の400kmより航続距離が短くなることは確実だろう。

現実的な条件で評価するため、大型トラックの後ろでスリップストリームを利用することは考えていない。ボンネットとフェンダーの隙間などをテープで塞ぎ、空気抵抗を減らす小細工もしない。気温は高く、エアコンは通常通り使うつもり。

両側にぶどう畑が広がる、22号線を走る。操縦性は、フォルクスワーゲン・ゴルフやプジョー308といった車高の低いハッチバックに届いていないものの、明確に劣るわけではない。正直、印象はかなりイイ。

あえて軽めに設定された、ステアリングホイールの反応は若干緩い。とはいえ、主なフィールドとなるであろう都市部では扱いやすい。長距離通勤も、不満なくこなせるはず。全体的な動的特性は、印象的なまでに洗練されている。

インテリアの仕上がりも素晴らしい。コンパクトカーだから、ローコストなプラスティック製部品が部分的に用いられていることは事実ながら、クラス最高水準と表現できる。

お借りしたアベンジャーはトップグレードのサミットで、ダッシュボードにはボディと同色のカラートリムがあしらわれていた。細かなテクスチャーが施され、全体の雰囲気を引き締めている。これがないと、雰囲気が大きく変わりそうだ。

この続きは後編にて。

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