クーペを連想させる美しきルーフライン
アウディはドイツ現地時間の4月21日、新型「A3」のセダンを発表した。3月に先行してデビューしたA3スポーツバックに続く、新型A3シリーズの第2弾となる。本来ならば、中止されたジュネーブモーターショーでのワールドプレミアが予定されていたモデル。欧州でのデリバリー開始は今夏からの予定だが、日本への導入時期は未定となっている。
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アウディA3は、1996年に初代がデビューしたCセグメントのセダンとハッチバック。フォルクスワーゲンのゴルフとプラットフォームを共有し、今回デビューしたのは4世代目となる。先に発表された5ドアハッチバック(4ドアクーペ)は、筆者の調べた限りでは2代目から“スポーツバック”というアウディ独自の呼称を用いている。
まずは新型A3セダンのディメンションから見ていこう。先代と比較して全長は40mm長い4495mm、全幅は20mm広い1816mmになり、全高は10mm高い1425mmとなった。ホイールベースは2636mmで変更なし。とはいえ、前席の着座位置が低められたこともあって、運転席のヘッドルームは200mmも大きくなっている。積載容量は425Lで先代モデルと同等。車両重量は1355~1485kgとなり、ボディ全体の29%はホットスタンプ材を採用し、アウターパネルにはアルミ材も使用したハイブリッド構造になっている。
次に「パワフルでエレガント」と自負しているエクステリア。フロントセクションではハニカムグリルを備えた大きなシングルフレームが存在感を主張。印象的なヘッドライトの外縁には、下方向へと広がる台形デザインを採用し、最上位モデルでは15個のマトリクスLEDセグメントで構成されたデジタルデイタイムランニングライトを装備した。
そして、セダンの新型がスポーツバックと大きく印象を変える部分は、やはり横方向から見たシルエットだろう。サイドシル上のボディラインがリヤバンパーまで続くことでスポーツバックより15mm長い全長を強調。一方で、ルーフラインはBピラーから後方に向かって流れるようなカーブを描いてトランクリッドのスポイラーまでつながり、セダンでありながらクーペを連想させる。オプションのカーボン仕様を選択すると視覚的なアクセントが際立ち、4ドアモデルの力強い外観が強調されるという。
さらにエアロダイナミクスの改善もトピックのひとつ。まずは2つのルーバーモジュールを備えた電子制御式エアインテークだ。シングルフレームグリルの背後に設置されたエアインテークは、走行条件に応じてインテリジェントにエアの流れを調整するという。また、先代モデルよりリヤエンドを高く設定し、大型のディフューザーを採用。くわえてパネルによって覆われたアンダーボディ、ミラー形状変更なども貢献。これによりTDIエンジン搭載モデルのCd値は、先代モデルより0.04も改善されて0.25を達成している。
デジタルコックピット&タッチディスプレイを装備
一方でインテリアに関しては、先に発表されたスポーツバックに準じたドライバー・オリエンテッド(=焦点を当てた)なものとなっている。中央に設置された10.1インチのMMIタッチディスプレイを備えたインストルメントパネルは、ドライバーに向かってわずかに傾斜。手書き文字検出機能や、日常会話に対応したボイスコントロールシステムは標準装備したほか、オプションでクラウド機能も利用可能だ。
さらに「バーチャルコックピットプラス」を選択すると、ディスプレイサイズは12.3インチに拡大。デジタル表示とダイナミックなレイアウトを備えたスポーティなグラフィックを含む、3種類の異なるビューを提供する。エンジン回転数と速度は、グラフィックな赤い色のバーグラフとして表示されるなど、ビジュアルにも凝っている。
また、インフォテインメントシステムには第3世代プラットフォーム(MIB3)を使用した「MMIナビゲーションプラス」を搭載。このMIB3は従来モデルの10倍という処理能力を誇り、Wi-Fiホットスポットを使って乗員のスマートフォンをインターネットへ接続することも可能だ。さらにオンライン交通情報やニュースに加え、写真、店舗の営業時間、POI(Point of Interest)に関するユーザーレビューなどの追加情報を含む、数多くの「アウディ・コネクトサービス」が提供される。
運転支援システムについても新型スポーツバックと同様に、最新バージョンにアップデート。「アウディプレセンスフロントシステム」では、ルームミラーに設置したカメラがフロントレーダーと連動し、事故防止または衝突の程度を軽減。さらに「アダプティブクルーズアシスト」も搭載可能で、前後方向および横方向のガイダンスを提供して、ドライバーをサポートする。
優れた効率と力強いパフォーマンスを発揮
搭載エンジンは、「35 TFSI」と呼ぶ1.5リッターのガソリンターボと、「35 TDI」という2リッターのディーゼルターボで、最高出力は奇しくも同じ150psを発生。トランスミッションは「35 TFSI」には6速MTと7速Sトロニック、「35 TDI」には7速Sトロニックのみとなる。現状は全車FFだが、いずれはクワトロやハイブリッド搭載モデルも追加されるだろう。
そして、サスペンションには標準仕様やスポーツサスペンションのほかに、電子制御式ダンパーも用意。この電子制御式ダンパー装着車は「セントラルダイナミックハンドリングシステム」とも連携し、好み次第でサスペンションの設定を変更することが可能だ。スロットルレスポンスや、ステアリング角度によってレシオが変化するプログレッシブステアリングの特性も変化するという。
現地では新型A3セダンの予約は4月下旬から開始。価格は「35 TFSI」搭載モデルの2万9800ユーロ(本稿執筆時点で346万円)からとなっているが、2万7700ユーロ(同322万円)のタグを付けたエントリーモデルのガソリンエンジン搭載車が追加されるという。ぜひ、日本導入に期待したいところだ。
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