シビックの基本に立ち戻る
執筆:Kumi Sato(佐藤久実)
撮影:Keisuke Maeda(前田恵介)
第11世代となるホンダ・シビックが日本発売された。
シビックは1972年の初代発売以来、「常に世界の人々に驚きを届けるベーシックカー」として存在し続けてきたモデルで、170か国以上、累計販売台数2700万台以上の実績を誇る、ホンダのメインモデルである。
新型の開発にあたっては、歴代のシビックを研究したという。そして、初代が発売された当時、「一服の清涼剤」と評価されたが、その現代版である「爽快CIVIC」が開発コンセプトとなった。
また、パッケーシングやデザインにおいては、高い人気を博した3代目シビックを参考にしたという。
これを聞いて、個人的にはかなりテンションが上がってしまった。
というのも、今回のシビックのメインターゲットは「ジェネレーションZ」。
つまり20歳代となるが、ジェネレーションX世代の私がまさにこの年齢の頃、3代目シビックでワンメイクレースに参戦しており、「青春真っ只中」だったのだ。
そういえば、各世代のシビックには愛称があり、それほど愛すべき存在だった。
ワンメイクや耐久、そして憧れだった全日本ツーリングカー選手権まで、思い出たっぷりなモデルなのだ。レースはともかく、キビキビとした走りや運転のしやすさはプライベートカーとして最高の相棒だったと、私と同じような感情を抱く方も少なくないと思う。
デザイン/視界について
その後、2001年のフィット誕生もあり、8代目から10代目までは、ミドルクラスのクルマとしてグローバルカーへと成長した一方、日本国内においては、ちょっと存在感が薄くなったのも否めない。
だからこそ、11代目となる今回は、人気者だった頃の良さを再確認したという側面もあるだろう。
シビックは、基本性能を欧州で鍛え上げ、その後、地域特性に合わせた最適化を図っている。
果たしてどんなキャラクターに仕上がっているのか、パッケージングのみならず、人気も3代目並みとなるのか。早速試乗してみた。
低く抑えられたボンネットフード、流麗で伸びやかなルーフライン、フロントからリアまでストレートに伸びたサイドのキャラクターラインが印象的で、ロー&ワイドなスタイリングはすっきりしていてルックスからも軽快さが感じられる。
インテリアは、水平基調ですっきりしている。
シンプルなだけに、パンチングメタルを用いたアウトレットメッシュのデザインが印象的だ。
そして、Aピラーを50mm下げたことで「視界の良さ」も向上している。フィット、ヴェゼルに続き、最近のホンダ車は運転視界に優れ、安全性・開放感に寄与している。
あなどれないMT派の数
ホイールベースが35mm伸びたことで、とくにリアシートのフットスペースが広くなっている。
クーペライクなルーフラインを描くがヘッドクリアランスも確保され、居住スペースは十分だ。
一方、ラゲージスペースも、先代とほぼ同等となっている。
搭載される1.5Lターボエンジンは、最高出力182ps/6000rpm、最大トルク24.5kg-m/1700-4500rpmのアウトプットで、6速マニュアル・トランスミッション(MT)とCVTが設定される。
もはや絶滅危惧種であるMTの設定があるのが嬉しい。
先代でも30%だったMT比率(タイプRを除く)だが、新型の受注開始から約1か月の時点ではそれを上回っているという。
どんな感じ?
走り出しの極低速域ですでに、先代に比べゴロゴロした雑味がなくなり、タイヤがスムースに転がっていく感覚がある。
さらに車速が上がり一般道の速度域になると、ロードノイズも低減されており、実用域ですっきりとした走りを味わえる。
そして、ステアリングもスポーツカーほど締まった手応えではないものの、切り始めからスッとノーズが反応し、ワインディングではドライバーの操作に対して素直な動きが気持ち良い。
一方、サスペンションはかなりスポーティなセッティングという印象だ。
荒れた路面だと、突き上げこそマイルドなものの、入力は大きい。
そして肝心なMTのシフトフィールは、剛性感がありながら小気味良い操作感でリズム良く走れる。
シビックには「タイプR」と言うハイパフォーマンスモデルが存在する。最近はかなりのハイスペックとなり、日常使いにはやや持て余すかもしれない。また、価格的にもお高めだし、限定モデルじゃなくても入手困難だったりして、ハードルの高い存在となっている。
それだけに、日常的にスポーティな走りを楽しめるスタンダードモデルにMTの設定がある意義は大きい。
一方、CVTのドライバビリティも向上している。
CVTか、MTか
CVT車は、回転数やエンジン音だけが先行して加速が伴わないというような違和感もなく、2ペダルの快適性とMT同様のスムースかつ軽快な加速感が得られる。
また、CVT車にはドライブモードが装備され、デフォルトの「Normal」、経済性の高い「ECON」、スポーティな走りを楽しめる「SPORT」の3モードから、ドライブシーンに応じて選べばより快適な、あるいはファンな走りが得られる。
今回の試乗モデルはMT/CVTいずれも上級グレードの「EX」で、タイヤサイズも同じ18インチ。つまり、トランスミッション以外のスペックはほぼ同じとなる。
重量差があるため、ダンパー減衰力の調整で同じ乗り味を狙ったという。
確かに大きな違いはないが、“乗り心地”に関してはCVTの方がよりハードな印象を受けた。
そこでちょっと気になったのは……。
おそらく、MT派の方は、そもそもスポーティ志向の強いユーザーが多いと思うので狙い通りのキャラと言えるが、CVTも負けず劣らずスポーティなので、快適性重視のファミリーカーのイメージで選択すると、ドライバーだけが楽しんで、とくにリアシートの乗員からは不満の声が上がるかもしれない。
シビックの血統を現代に
先進安全運転支援システム、ホンダセンシングもより充実した機能となっている。
踏み間違い衝突軽減システムが新たに追加され、アダプティブ・クルーズコントロール(ACC)や車線維持支援システム(LKAS)は性能が進化している。
また、ホンダ初となるアダプティブ・ドライビングビームは、従来のロービーム/ハイビームにミドルビームが装備され、ドライバーはより夜間の視界を確保でき、歩行者にとっては眩惑がなく、双方にとってより安全性の高いものとなっている。
さらに、コネクテッド機能も全て標準装備されるという。
走りだけでなく、安全性や快適性、利便性も進化した新型シビックは、スポーティでキャラクターのはっきりしたクルマとなっている。
新型ホンダ・シビックEX スペック
価格:353万9800円
全長:4550mm
全幅:1800mm
全高:1415mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費(WLTC):16.3km/L
CO2排出量:142.4g/km
車両重量:1370kg(CVT)/1340kg(6MT)
ドライブトレイン:1496cc直4ターボ
使用燃料:プレミアムガソリン
最高出力:182ps/6000rpm
最大トルク:24.5kg-m/1700-4500rpm
ギアボックス:CVTまたは6速マニュアル
乗車定員:5名
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みんなのコメント
ホンダもカージャーナリストやライターにお金使って必死なんだろうけど、
そんな事しても売れないものは売れない
古くからのファンの多くをを見捨てた報いかもね