運転しやすく走りも楽しいコンパクトSUV
欧州ではSUVに対して愛着を持つ人が増えている。SUVというカテゴリーは何年も前から着実に成長してきたが、最近になって本格的に普及し始めた。今や、さまざまなメーカーがSUVを独自に開発し、ユーザーにかつてないほどの選択肢を与えている。
【画像】高級志向から実用重視まで、選択肢豊富な欧州コンパクトSUV【ランドローバー、ボルボ、マツダなど5車種を写真で見る】 全99枚
ここで紹介するのは、サイズ的には平均以下のコンパクトなものだが、非常に人気のあるモデルだ。ブランドの売上を支えているモデルや、セールスチャートのトップ10に半永久的にランクインしているモデルもある。
ユーザーは、四次元ポケットのような空間とプレミアムブランドの高級感を室内に求めながら、堂々としたドライビングポジションと、街中や狭い路地で冷や汗をかかないようなコンパクトさを求めている。そして、このような気の利いたクルマとは相容れない、リーズナブルなランニングコストも求めている。
今回は、英国編集部のお気に入りの10台を紹介しよう。
1. ランドローバー・レンジローバー・イヴォーク
ランドローバーは、2代目となる現行型レンジローバー・イヴォークによって、SUVセグメントで決定的なリードを握った。
全く新しいプラットフォームをベースに、マイルドハイブリッド・システムを採用。先代よりも長いホイールベースにより、外寸を大幅に拡大することなく室内スペースを改善している。また、派生モデルにPHEVのイヴォークP300eも追加されたことも重要なポイントだ。
2代目イヴォークは、機械的な洗練性、室内スペース、ラグジュアリーな雰囲気、そしてテクノロジーにおいて大きな飛躍を遂げた。実用性ではトップクラスと言えないものの、非常に競争力があり、リアシートは大人用として十分なスペースが確保されている(ただし、ウィンドウラインがかなり高いので視界が少し制限される)。
パワートレインとしてはD200ディーゼルエンジンが最適解で、従来ランドローバーで慣れ親しんだ4気筒ディーゼルのイメージよりも、力強いドライバビリティと優れた洗練性を備えている。また、P300eは、非常に優れたPHEVパワートレイン、魅力的なEV航続距離、優れたハンドリングを備えており、非常に好印象なモデルである。
レンジローバーとして一時代を築いたイヴォークは、このクラスで可能な限りの贅沢な気分を味わえるクルマとなっており、高額な価格設定も多くの購入者にとっては納得できるものだろう。
2. ボルボXC40
スウェーデンのボルボは、XC60とXC90という定評あるSUVのコンパクトな兄弟車としてXC40をデビューさせて大成功を収めた。最近になっても変わらないクラストップの完成度を誇る、魅力的なモデルである。
XC40のデザインは、若いユーザーをボルボのショールームに呼び込むのに十分なカリスマ性を備えたもので、その素朴なエクステリアを、上質感、快適性、使い勝手の良さを備えたインテリアで支えている。コンパクトSUVクラスで最も実用的なクルマ、というわけではないが、期待される車載技術はもちろんのこと、ラグジュアリーカーとしての雰囲気も十分に備えており、あらゆる面で充実している。
少し前にエンジンラインナップが見直され、ディーゼルエンジンはすべて廃止となった。PHEVモデル2種、マイルドハイブリッド車2種、エントリーモデルのT2とT3、そして完全EVの「リチャージ」がある。EVでは最高出力231psのシングルモーターと407psのデュアルモーターが用意されている。
XC40の乗り心地とハンドリングはボルボの最高傑作であり、小型のファミリーカーとしては実にリラックスして運転できる。ドライバーにアピールするために他のプレミアムブランドを追いかけるのではなく、快適かつ洗練された、便利で使い勝手の良いモデルを喜んで演じている。それが効果的に実を結んでいる形だ。SUVの使命が、ドライバーを喧騒から救い出し、日々の疲れを癒すことであるならば、これほど優れた車はないだろう。
3. マツダCX-5
マツダCX-5は、欧州市場で最も見栄えの良いSUVの1つであり、客観的に見て、このクラスとしては異例のレベルのハンドリング性能と燃費を備え、先代モデルよりもはるかに洗練されている。
CX-5のインテリアは堅実で静かなスタイリッシュさがあり、乗員とトランクのスペースも十分に確保されている。2021年のマイナーチェンジでは、マツダの最新インフォテインメント・システムと、マツダ6に搭載されていた2.5Lガソリンエンジンが導入された。本稿で紹介している他のモデルより少し古くなっているが、編集部のお気に入りの理由となったハンドリングを失ってはいない。
英国では、流行に流されない2.2Lディーゼルが選ばれている。中速域での力強さと適度な効率性が融合したこのエンジンは、CX-5のSUVとしての性格によく合っている。ガソリンエンジンも比較的スムーズだが、過給器がないため車重の重さを感じ、軽快に走るにはそれなりの回転数を必要とする。
CX-5は、楽しさ、経済性、広さが健全にミックスされているため、多才なクルマを求める人なら真面目に検討する価値がある。
4. ヒョンデ・ツーソン
4代目ツーソンの登場は、ヒョンデにとってある種の分水嶺となった。スタイリング的には、少し野暮ったかった先代と一線を画し、インテリアの質感も新しい高みに到達した。ヒョンデは長い間、欧州で高級車として再ブランディングを試みてきたが、ツーソンはその中でも最も説得力のある取り組みといえる。
走りとしては、ダイナミックな動力性能よりも使いやすさを優先したハンドリングバランスで、かなり無難に仕上げているが、曲がりくねった道をペダルを踏んで走るのは十分に楽しいものだ。ハイブリッド・パワートレインは、力強いパフォーマンスと素晴らしい効率性を実現し、ヒョンデらしく、驚くほど充実した装備と鉄壁の保証でバックアップしている。
これまで以上に、洗練されたコンパクトSUVとして、ぜひとも注目していただきたい。
5. BMW X1
わたし達人間と同じように、BMW X1も年を重ねるごとに大きくなってきている。実際、2022年にデビューした最新の3代目のサイズは、理論的にはワンクラス上に位置する初代X3よりもビスケット1枚分くらいしか差がなくなってしまった。しかし、このサイズの拡大は、家族が増える人にとっては朗報である。なぜなら、より多くの人や物を室内に収めることができるからだ。
X1は、2シリーズ・アクティブツアラーと同じUKLプラットフォームを採用し、マイルドハイブリッド付きのガソリン車やディーゼル車から、2種類のPHEV、さらには航続距離438kmを謳うEVのiX1まで、さまざまなパワートレインが用意されている。いずれもステアリングは安定していて有能だが、おそらくBMWのマーケティング担当者が言うような「駆け抜ける喜び」を体現するものではない。グリップもボディコントロールも適度に良好だが、ステアリングホイールから伝わる情報量はほぼ皆無で、同価格帯の3シリーズ・ツーリングのしなやかな軽快感にはかなわない。
しかし、ほとんどのユーザーにとって重要なのは使い勝手の良さであり、X1のスコアは高い。運転操作は簡単で、無駄が少ない。インテリアは広々としていて、スライド式のリアシートや便利なトランクなど、欲しい機能がほぼ揃っている。一流の素材、洗練されたスタイリング、見た目も使い勝手も良いインフォテインメント・システムなど、上質さと品質もワンランク上の仕上がりとなっている。
6. 日産キャシュカイ
先代のキャシュカイは英国で高い人気を誇り、生産終了まで国内のコンパクトSUV販売チャートの頂点に立ち続けていた。最新型では、軽量化されたシャシーと大幅に改善されたダイナミクスに大きな期待が寄せられていた。
そして、そのような英国ユーザーの期待にはほとんど応えることができている。1.3Lガソリンのマイルドハイブリッドも、欧州初導入の「eパワー」ハイブリッドも、少し息苦しさを感じるパワートレインではあるが、期待すべきポイントは他にある。キャシュカイに試乗した英国編集部の記者が言うように、「家族向けに非常によく考えられた設計で、装備も充実しており、購入や運転にかかる費用もわずか」なのだ。
利便性がすべてだが、キャシュカイには2ペダルのCVTもあるものの、編集部はMTをおすすめしたい。なぜなら、ボディロールの洗練度が向上したからだ。
その他、ゲームチェンジャーと呼べるような革新的な要素は見られない。しかし、日産が顧客のことをよく理解していることがひしひしと伝わってくる。ノンプレミアムブランドの中で、このクルマに勝つのは難しいだろう。
7. フォルクスワーゲン・ティグアン
ティグアンは、ゴルフとポロに次いでフォルクスワーゲンで3番目に売れているモデルだ。汎用性があり、広々としていて、造りは堅実で、快適性も高い。ドライバーとの距離感をもう少し縮めれば、さらに強力なパッケージとなるはずだが、現状でも十分なパフォーマンスを発揮している。少し高価なモデルであり、インテリアも特別面白いものではないが、見た目の平凡さを堅実さで補って余りある存在だ。
最近のマイナーチェンジでは、PHEVモデルと、最上位の「R」が追加された。ティグアンRはパワフルなエンジンとアダプティブ・サスペンションを搭載し、パフォーマンスとハンドリングは非常に優れ、乗り心地も洗練されているが、ベーシックなモデルは動力性能も平均的である。
高級感については、コンパクトSUVの中ではほとんどのライバルよりも優れている。また、7人乗りの仕様としてティグアン・オールスペースもあることをお忘れなく。
8. フォード・クーガ
新型クーガは、フォードのSUVヒエラルキーにおいて、最小モデルのプーマの上に位置するが、嬉しいことに、プーマと同様のダイナミックなDNAを持っている。2008年にデビューして以来、クーガが強く打ち出してきた長所は、このクラスでは異例なほど走りが良いことだ(最新型は3代目にあたる)。
パワートレインの種類も以前より増え、最高出力225psのPHEVでは、電気だけで最大56km走行することができるようになった。バッテリーと電気モーターの重量増を補うに十分な推進力を発揮する、うまく統合されたパワーユニットだ。最近のマイナーチェンジで、ディーゼル車や四輪駆動車はラインナップから除外された。
一番の見どころは、上質感を底上げするボディコントロールと、快適性と実用性の高さである。重量のあるPHEVモデルはパワフルだが、編集部はオールラウンドなコンパクトSUVとしてガソリン車を一度試してほしいと思っている。全体として、クーガは検討する価値がある1台だ。
9. スコダ・エンヤクiV
スコダのエンヤクiVは、実用性と新しいデザイン路線を重視した電動SUVであり、英国ではファミリーカーとして選ばれているEVである。
実際の航続距離が420km以上あり、本稿で紹介している他のエンジン車の代替車として、このエンヤクiVを検討するのもいいだろう。
エンヤクiVの素晴らしいところは、とにかく室内が広くて、内装材の質感も高いという点。動力性能もよく練られていて、エキサイティングとは言い難いものの、丸みを帯びていて心地よい走りを見せる。最大125kWの急速充電に対応していながら、フォルクスワーゲンやアウディの同クラスのEVよりも安く、スタイリングと上質な仕上げにより、兄弟車よりもむしろ高価に感じられる。
10. キア・スポーテージ
これまで市場の片隅にあり、保守的だったキアの趣向を考えると、販売面でヒットを飛ばしているスポーテージの最新型(5代目)で大胆さを追求したことは驚き以外の何物でもない。しかし、すでに欧州の道路を走っている数を見ると、ユーザーがこの個性的なルックスに躊躇していないことは明らかだ。
実は、この挑戦的な外観の裏には、これまでとほぼ同じ内容でありながら、より洗練された大人向けのハイテクなパッケージが用意されているのだ。また、マイルドハイブリッドのガソリン車やディーゼル車から、税制面で有利なPHEVまで、幅広いパワートレインが用意されている。
標準装備も充実しており、スマートフォンとの接続も簡単。もちろん、他社にはなかなか見られないキアの7年保証も付いている。
走りとしては、いまいち上手くまとまっていない印象がある。ハンドリングは比較的安定していて情報量もあるが、プッシュしてもかなり動きが鈍く、路面が悪いとすぐに落ち着きを失ってしまう。適度に洗練されているが、ライバル車に比べて乗り心地は良くなく、小さな段差でも乗員が揺れ動く。これまでの試乗の経験から、小径の17インチホイールを選ぶと少しだけ改善されるようだが、本当に少しだけだ。
全体として、スポーテージはスマートで装備の整った、手間のかからないファミリー向けSUVだが、少しでもクルマに高揚感を求めているなら、他をあたるべきだろう。
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