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通訳はタキ井上/セッション1のデメリット/ジェンソン・バトンがビーチバレーetc.【テスト1日目Topics】

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通訳はタキ井上/セッション1のデメリット/ジェンソン・バトンがビーチバレーetc.【テスト1日目Topics】

 WEC世界耐久選手権は2月26日、カタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで、2024シーズンの公式テスト“プロローグ”初日の2セッションを行った。

 ハイパーカーに新たなマニュファクチャラーが加わり、LMP2は廃止、GTクラスはLMGTEからLMGT3へ移行するという、注目点の多いシーズンのスタートがいよいよ切られた形だ。初日はハイパーカーではポルシェ963、LMGT3ではマクラーレン720S GT3 Evoが最速タイムを記録している。

初日はポルシェ963が最速、フェラーリ499Pが続く。LMGT3はマクラーレン首位【WECプロローグ】

 ここでは、ルサイルのパドックから、各種トピックスをお届けする。

■セッション1は9台のみ

 既報のとおり、当初24日土曜日に始まる予定だったプロローグテストは、海上輸送の遅延により走行開始が2日延期された。

 初日14時からの3時間のセッション1に参加したのは、9台のみだった。これは、遅延によるスケジュール変更において、初日のセッション1か2日目のセッション4、どちらに参加するかを各チームが選択できるようにした結果だった。

 ハイパーカーでは、イソッタ・フラスキーニ・ティーポ6・コンペティツィオーネと2台のハーツ・チーム・JOTAのポルシェ963のみが登場し、LMGT3ではユナイテッド・オートスポーツのマクラーレン720S GT3 Evo、TFスポーツのシボレー・コルベット Z06 GT3.R、およびアイアン・リンクスのランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo2がそれぞれ2台、セッション1に出走した。

 キャデラック・レーシングを除くすべてのチームが貨物の遅延の影響を受けなかったにもかかわらず、ほとんどのハイパーカーチームは、オープニングセッションを欠席することを選択した。データ分析とレースウイークの準備に多くの時間を費やせるというメリット以上に、最初のセッションでは汚れたトラックを走らなければならないというデメリットの方が上回る、というのが彼らの一致した見解だった。

 WECの広報担当者によれば、木曜12時20分にスタートする第1戦カタール1812kmのレーススケジュールには、変更が加えられる可能性はないという。

■イソッタ・フラスキーニにセンサートラブル

 イソッタ・フラスキーニは、セッション1でコースに出た9台の車両のなかでもっとも少ない、22周の周回にとどまった。デュケーヌのチーム代表、マックス・ファワードは、ギヤボックスのアラームのためマシンが開始2時間の大部分でガレージに留まったものの、最終的にはセンサーの故障が原因と判明した、と説明している。

 なお、イソッタ・フラスキーニは、モータースポーツマネジャーのクラウディオ・ベロが、パートナーチームであるデュケーヌの名前をエントリー名に含めるようにWECコミッティーにリクエストしたが、この要請は拒否されている。

 公式通知でWECコミッティーはスポーティング規則第3.1.5条を引用し、「チャンピオンシップまたは当該競技会へのエントリー締切日以降は、さらなる変更は認められない」としている。

■WEC初登場、ルサイルの印象

 ポルシェドライバーのマット・キャンベルは、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツが2023年11月にルサイル・インターナショナル・サーキットで行われたプライベートテストに参加したことで、ポルシェがプロローグの準備に際し「ジャンプ・スタート」することができたと語っている。

「トラックをより早く理解するというだけでも、とても有益だった」とキャンベル。

「けど、プロローグのためにここに来て、テストの後は誰もがより似たような立場になるだろう。(11月のテストは)数社のメーカーだけが参加したプライベートテストだったので、今週末にはさらに理解を深める必要がある」

 一方、TFスポーツのコルベット・ドライバー、ダニエル・ジュンカデラは、オープニングセッション直後のルサイル・インターナショナル・サーキットの印象を次のように語った。

「コースはとても素晴らしかった。実際、ポジティブな驚きだった。高速コーナーで前のクルマについていくのは大変だと思うけど、楽しいね」

 ジュンカデラはコースコンディションについて、「最初は大丈夫だと思った。まったく汚れているとは感じなかった。だけど、セッション後半にドライブしたときは、トラック・エボリューションのおかげで大きな進歩があった。ラバーが載ってきているのは明らかだ」とコメントしている。

■例外として認められた日本語通信

 ジュンカデラのチームメイトのひとりである小泉洋史は、チェッカーフラッグが振られた後に追加周回を走行したため、セッション後にチームマネジャーとともにレース・コントロールから呼び出しを受けた。

 なお小泉と、アコーディスASPチームの木村武史は、日本語通訳を介してレースコントロールと通信する許可を与えられている。WECの規定では、すべてのコミュニケーションは英語で行わなければならないと定められているが、TFスポーツとASPはWECコミッティーにリクエストのうえ、これを免除される決定を受けた。

 この決定に関する公式通知には、小泉の通訳は元F1ドライバーのタキ・イノウエ(井上隆智穂)が務めると記されている。

 WECではスポーティング規則により『オペレーション・スタッフ』が定義されているが、チームは「タキにテクニカルな役割はなく、コース上での安全に関する重要な指示をドライバーへ翻訳するなど、ドライバーとチーム間での通訳のみを行う」と説明し、タキを『ノン・オペレーションスタッフ』として登録することを申請、承認されている。

 アコーディスASPチームのボス、ジェローム・ポリカンは、6人のドライバーのうち5人がこれまで同チームでレースをしたことがないという事実にもかかわらず、2台のレクサスRC F GT3のドライバーラインアップについて「心配していない」と述べている。

「我々には安定性がある」と彼はSportscar365に語った。

「もしかしたら最速のグループではないかもしれないが、ドライバーたちに弱点があるとは思わない。 我々のブロンズドライバー(木村とアーノルド・ロバン)の良いところは、彼らがACOの運営するチャンピオンシップに慣れているということだ」

■バレーボールでチームビルディング

 ジェンソン・バトンを含むハーツ・チーム・JOTAのドライバーは今週、チーム代表のディーター・ガスを交え、ビーチ・バレーボールの試合を含むチームビルディングに参加した。

 チームの共同オーナーのサム・ヒグネットによれば、ガスはLMP1時代に所属していたアウディの元同僚のひとりを連れてきたという。

 またヒグネットは、同チームが将来的にIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のレースに参戦する見通しについての最新のアップデートはなく、今年は2台体制へと拡大されるWECハイパーカー・プログラムに全力を注ぐと述べている。

■ロシア出身ドライバーが掲げる“国旗”

 今年のWECに参戦するロシア生まれのドライバー3人は、全員が異なる国旗を掲げてレースをしている。

 ランボルギーニSC63をドライブするダニール・クビアトはイタリアでカートをしていた経験からイタリア国旗を掲げ、フェラーリ499Pのロバート・シュワルツマンはイスラエル国旗、ティムール・ボグスラフスキーはFIAのフラッグを掲げてレースをしている。このFIAフラッグは、アコーディスASPチームの78号車レクサスRC F GT3に描かれている。

 アストンマーティンのファクトリードライバー、バレンティン・ハッセ・クロットはドライバーコーチとして現場におり、特にDステーション・レーシングの777号車アストンマーティン・バンテージGT3 Evoの同胞、クレメント・マテウとエルワン・バスタードをサポートしていると考えられている。

 ハッセ・クロットは、今年同様の立場で追加のWECイベントに出席する可能性があるものと思われる。

* * * * * *

 プロローグテスト2日目は、27日水曜の現地時間10時から3時間、14時から3時間という、2セッションが予定されている。

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