「F2以来、僕は本当に不運だった」プルシェール、プジョーからのWECデビューで“キャリア第二章”へ

　11月8日に決勝レースが行われる2025年WEC最終戦バーレーンで、94号車プジョー9X8（プジョー・トタルエナジーズ）からハイパーカーデビューを果たすテオ・プルシェールは、今回のレースを「キャリアの第二章の始まり」であると表現した。


■夢はル・マン制覇。将来のシングルシーター復帰にも意欲

　プルシェールはシングルシータードライバーとして高い評価を受け、2023年のFIA F2でタイトルを獲得したが、ザウバーのリザーブドライバーを務めていたにもかかわらず、F1への昇格は叶わなかった。その後、全日本スーパーフォーミュラ選手権やNTTインディカー・シリーズに参戦したが、いずれも短期間で活動を終了していた。

　2025シーズン、プルシェールはスポーツカーレースに転向し、アルガルベ・プロ・レーシングからELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズに参戦。LMP2クラスで表彰台1回を獲得し、ランキング7位でシーズンを終えた。

　同時にWECではプジョーのテスト兼リザーブドライバーを務めていたが、9月には2026年のレースシート昇格が発表され、合わせて2025年最終戦でデビューの機会を得ることとなった。

　長年、将来のキャリアについて不透明感を抱いていたプールシェールは現在、ファクトリードライバーになるという展望を胸に刻んでいる。

「僕にとって、これはキャリア初の大きなチャンスだ」とプルシェールは語った。

「F2のタイトル獲得以来、本当に不運だったと思う。もっと良いチャンスに値したと思うが、これも人生の一部だ」

「スポーツでも人生全般でも、浮き沈みはある。いま、僕はキャリアの第二段階に入った。プロとして、自動車ブランドを代表し、世界選手権に参戦している。本当に幸せだ」

　プジョーとの契約にもかかわらず、プルシェールは将来シングルシーターに復帰する可能性を否定せず、今年はマセラティとともにFIAフォーミュラEのテストに参加した。

「問題は、僕はまだ22歳で、モータースポーツ界ではまだ若いということだ」と彼は説明した。

「いまは多くのメーカーが参戦している中で、耐久レースが最有力候補だと考えている。僕の夢はル・マンで優勝することだ。プジョーのフランス人ドライバーとして、それが僕の夢だ」

　WECデビューを控えたプルシェールは、ELMSでの活動は、トラフィックの管理やドライバー交代といった「耐久レースのコツ」を理解する上で、非常に有益な学習経験だったと語っている。

　昨シーズン終盤のバーレーンでのルーキーテストで初めて9X8を体験したプルシェールは、すでにプジョーの体制に完全に溶け込んでいる。その後、ポール・リカールでの集中的な耐久テストに加え、今年はポルティマオとサーキット・オブ・ジ・アメリカズでのテストにも参加し、準備を重ねてきた。

「このチームは僕にとって家族のような存在だ。ほとんどのメンバーをよく知っているし、フランス人なのでコミュニケーションもスムーズだ」

「レースウイークエンドにはサンパウロで彼らに同行し、エンジニアやドライバーとのデブリーフィングに参加したり、トラックウォークをしたり、チームと協力したりする機会に恵まれた。本当に貴重な経験だった」

　プルシェールはWECデビュー戦で具体的な目標を設定していないが、マニュファクチャラーズ選手権で現在アルピーヌに9ポイント差をつけられているプジョーの5位争いに貢献したいと考えている。

「僕にとっては、来年に向けた準備の週末という感じで、それが一番の目的だ」と彼は付け加えた。

「だけど僕はコンペティターだからね。表彰台に立つことが夢だよ」

[オートスポーツweb 2025年11月08日]

Comments

[jan********]

インディに目がくらみSFを蹴ったがインディのシートを確保できなかった…不運と言うより全て自分が決めたことなので

[いちじょう]

SFに関してはたった１レース走っただけで「自分の意志で」参戦を中止。インディカーに関してもスポンサーが無いせいで通年シートの確保をできなかったようだけど、正直言ってシートが確保できたレースでも際立った成績はなし。

むしろファクトリードライバーのシートを確保できたなら幸運だと思う。