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アウディの美点を「ギュッと凝縮」 更新版S3へ試乗 333馬力にトルクスプリッター 少し真面目すぎ?

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アウディの美点を「ギュッと凝縮」 更新版S3へ試乗 333馬力にトルクスプリッター 少し真面目すぎ?

アウディの美点をギュッと凝縮

コンセプトは、1999年に発表された初代アウディS3と変わりない。スポーツ・プレミアム・コンパクトのままだ。

【画像】ブランドの美点を「ギュッと凝縮」 アウディS3 競合のホットハッチと比較 最新A3も 全140枚

パワフルで四輪駆動のパワートレインに、高級感のあるインテリア。小さなファミリーカーという、パッケージングも望ましい。現代のアウディの美点を、ギュッと凝縮したモデルと呼んでイイ。

ただし、ドライバーズカーとして、クルマ好きから多大な注目を集めてきたわけでもない。初代S3が正当なトルセンではなく、ハルデックス四輪駆動システムを採用しつつ、クワトロと名付けたことへ批判があがったことも、影響しているかもしれない。

技術的に近いフォルクスワーゲン・ゴルフ Rも、歴代のイメージの足を引っ張ってきた。比較して車重は軽くなく、ステアリングは淡白で、価格価値に優れるとはいえなかった。

だが、アップデートを受けたS3は違う。リアアクスルには、知的なトルクスプリッター・システムを採用。最高出力は333psもある。バッテリーEV版が登場すると噂される2027年まで、不足なくホットハッチの役目を果たせるだろう。

他方、現在は少し中途半端なポジションにもある。メルセデスAMG A 45が格上のライバルとして存在し、アウディ自らもRS3を擁する。初代のように、スポーツ・プレミアム・コンパクトの頂点に位置するわけではない。

2024年のS3は、天候不問のホットハッチの中でも丸みを帯びた個性で、普段使いしやすい洗練性を備えることが強みになる。最新版の仕上がりを、確かめていこう。

EA888型4気筒ターボは継投 刺激は薄め

4代目S3の容姿は、4本出しのマフラーが凄みを効かせ、鮮やかな塗装色も選べたが、通常のA3との違いは大きくなかった。しかし、フェイスリフトで明確に差別化されたように見える。

フロントグリルや、バンパーのエアインテークはワイドになり、4リングスは高い位置へ移動。ヘッドライトの点灯パターンは、4種類から選べる。リアディフューザーの形状も新しくなった。凛々しさを強めたと思う。

ハッチバックのスポーツバックと、サルーンから選べるボディの内側、パワートレインに大きな変更はない。フォルクスワーゲン・グループのEA888型2.0L 4気筒ターボガソリンは、小さな改良を受けつつ継投されている。

最高出力は、310psから23ps増強。最大トルクも、2.0kg-m増しの42.7kg-mへ引き上げられた。0-100km/h加速は4.7秒。一般道では不足ないほど速い。

トランスミッションは、7速デュアルクラッチ・オートマティック。アクセルペダルから力を抜くとニュートラル状態になり、滑走して燃費を伸ばせる。マニュアルはない。

EA888型ユニットの特徴は、既に10年以上確かめてきたものへ通じる。トルクは太くフラットで、回転の上昇とともにピークへ登り詰めていく感じは薄い。

それでも、アイドリングの回転数は200rpm上昇。ブースト圧が早期に高まり、全力を発揮させた時の勢いは従来以上だ。

7速ATは非常に滑らかだが、こちらも淡白。シフトパドルには、ギアを選んだという感触が欲しい。

最大の進化はトルクスプリッター・デフ

ラリーとの結びつきが深いアウディなだけに、ドライバーを喜ばせる仕掛けも少なくない。ターボチャージャーはタービン音を響かせ、吸気音も刺激的だ。

アクラポヴィッチ社製のスポーツマフラーからは、今はなき5気筒エンジン風の排気音も楽しめる。アフターファイヤーの破裂音までは鳴らないが。

最新のS3の走りで最大の進化は、パワーアップではなく、多板クラッチ内臓のトルクスプリッター・デフ。ドライブシャフトの付け根に搭載され、リアタイヤ左右へ伝わるトルクを自在に操ることが可能になっている。

従来の前後アクスル間の分配率だけを調整するシステムと異なり、S3はボディの中央を軸に旋回。アウディの技術者は、条件が許せばテールスライドも可能だと、微笑みながら説明する。実際にきついカーブでプッシュしていくと、なかなか楽しい。

高速コーナーでは、頂点へ吸い込まれるよう。ライン取りが容易なだけでなく、一層の侵入スピードも許してくれる。リアアクスルの制御により、ステアリングへ加える入力も少なくて済む。

従来以上に旋回性は鋭い。ステアリングには、コミュニケーションを取りやすい重み付けが与えられ、レシオも操る自信を鼓舞してくれる。アンダーステアが抑えられたシャシーが、更にその傾向を強めている。

能力の高さは、「S」でイメージする水準以上。頂点に位置するRS3とは、ボディキットと1気筒多いエンジン、約80馬力多い最高出力程度といえそうだ。

操縦性はニュートラル もう少し自由でも良い?

一方、リアアクスルへ不満ない駆動力が伝わるが、一般道ではオーバーステアへ持ち込みにくい。ブレーキを引きずりながらカーブへ突っ込んでも、ライン取りは安定。終始落ち着いた反応で駆け抜けていく。

最適なギアが選ばれれば、一心不乱に加速へ移る。アクセルを思いのままに傾けても、電子制御がオンなら、天候の影響も驚くほど受けにくい。操縦性の特徴をヒトコトで表すなら、ニュートラルだ。

英国価格は、スポーツバックで3万7900ポンド(約728万円)から。300馬力超えの四輪駆動で、プレミアム・ブランドだと考えれば、現在では妥当な金額だろう。BMW M135i xドライブやAMG A35 4マティック+とは、ほぼ横並びにある。

LEDヘッドライトや、バーチャルコクピットと呼ばれるデジタル・メーターパネルは標準装備。ただし、塗装色の多くはオプション。19インチ・アルミホイールやパワーシート、高音質オーディオなどを組めば、4万ポンド(約768万円)は軽く超える。

アップデートを受けた4代目S3。グリップは素晴らしく、アンダーステアは抑えられ、ドライバーが抱ける自信は高い。

ニュートラルな操縦性と落ち着いたマナーで、どんな道でも安楽に移動可能。生々しすぎず、大人すぎない。季節に関わらず、確実に先を急げる。

A3以上RS3未満という、絶妙な位置には収まっている。S3という個性はある。ただし、それは真面目で淡白でもある。白シャツなのは良いが、ネクタイを緩めて髪を遊ばせるくらいの、更なる自由さがあっても良かったかも。

アウディS3 サルーン(欧州仕様)のスペック

英国価格:3万7900ポンド(約728万円/スポーツバック)/4万1200ポンド(約791万円/試乗車)
全長:4503mm
全幅:1816mm
全高:1415mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.8秒
燃費:12.5km/L
CO2排出量:183g/km
車両重量:1500kg
パワートレイン:直列4気筒1984cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:333ps
最大トルク:42.7kg-m
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(四輪駆動)

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