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メジャーモデルの陰に隠れた実力派 トライアンフ「スピードマスター」は最良の1台だった

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メジャーモデルの陰に隠れた実力派 トライアンフ「スピードマスター」は最良の1台だった

■これを選ぶ人はきっとツウ、人気モデルの陰に隠れた優れモノ

 海外2輪メーカーで、このところ毎年のように販売台数記録を更新し、勢いに乗っているのが英国の「TRIUMPH(トライアンフ)」です。とくにネオクラシックなデザインを持つ「Bonneville(ボンネビル)」シリーズの人気は高く、扱いやすい「ストリートツイン」、パワフルな「スピードツイン」、伝統のモデル名を継承する「T100」と「T120」など、ほかにも選択肢はいろいろ。その多くが幅広いユーザーから支持されています。

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 だからと言って、シリーズのすべてが等しく好調かと言えば、そんなこともありません。兄弟モデルが多くなると、必ずちょっとズレた存在がいるもので「Speedmaster(スピードマスター)」がまさにそれ。ロードスポーツが主流を占める中、このモデルだけが純然たるクルーザーとしてラインナップされているのです。

 それゆえ、あまり目立つ存在ではありませんでした。仕事柄、僕(筆者:伊丹孝裕)はほとんどの新車には乗りますが、「スピードマスター」に乗ったのは過去1回か2回くらいでしょうか。その時の印象がどうだったかは、当時のメモか雑誌を見ないと正確に思い出すことはできません。

 ところがです。今回久しぶりに試乗した最新の「スピードマスター」には驚かされました。とにかくエンジンが素晴らしく、鼓動感を楽しむならトライアンフ全モデル中、最良の1台であることは間違いなし。街やパーキングで見かけたなら「分かってるねぇ」と声を掛けてしまいそうです。

 搭載されているエンジンは、排気量1200ccの並列2気筒です。基本設計そのものは従来モデルから踏襲されているものですが、きめ細やかなアップデートによって瞬発力とレスポンスが向上。78PS/6800rpmの最高出力と106Nm/4000rpmの最大トルクを公称しています。

 アップデートの効果は、スロットルを数ミリ開けただけで体感できます。右手の微妙な動きに対して即座にトルクが沸き上がり、264kgの車体を力強く加速させていくのです。反応があまりにもダイレクトだと神経質に感じられるものですが、パワーもトルクもこれ以上でも以下でもない、ちょうど良い盛り上がりで上昇。モリモリという表現が最もふさわしく、身体中に心地いいビートが伝わってきます。

 今回の試乗時間では叶いませんでしたが、標準装備のクルーズコントロールに任せて高速道路を流すようなシチュエーションにぴったりハマるのは間違いありません。ハーレー・ダビッドソンやインディアンモーターサイクルを検討しているのなら、この「スピードマスター」も候補に入れてみるといいでしょう。きっと新しい発見になるはずです。

 ライディングポジションはやや大柄ながら、ハンドルは大きくプルバックされ、上体はほぼ直立しているため、リラックスした姿勢で操ることができます。見た目から想像できる通り、足つきは楽々ですから、低速走行やUターンも難なくこなせるでしょう。

 バンク角はあまりなく、コーナーではステップを擦ることもありますが、クルーザーという特性上、そこに不満を覚える人はそうはいないでしょう。そこに至るまでの旋回性はクセもなく、ニュートラルそのもの。ワインディングではトラクションをしっかりと感じながら走らせることができます。

 エンジン同様、このハンドリングの向上も2021年モデルのトピックです。「こんなに軽やかだっけ?」と思って資料を見たところ、フロントフォークの構造とリアショックの調整機構が改良され、路面追従性や安定性の最適化が図られたとのこと。また、ライディングモード(ROAD/RAIN)、トラクションコントロール、ABSといった安全装備にも抜かりはありません。

 そしてもうひとつ。シートの設計が新しくなっていました。ライダー側には腰のサポートが追加され、パッセンジャー側はクッションの厚みを増すことによってホールド性や乗り心地が向上。ロングツーリングにおける快適性にも配慮されているというわけです。

 現時点(2021年6月時点)で79アイテムもの純正アクセサリーが用意されているとのことなので、購入した後のカスタムも自由自在。時間も距離もたっぷりと重ねられる、よきパートナーになってくれるのではないでしょうか。

 トライアンフ「スピードマスター」の車体価格(消費税10%込み)は、179万円から182万9600円です。

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