現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > FXXから始まったサーキット専用車【フェラーリ名鑑(2005-2017)】

ここから本文です

FXXから始まったサーキット専用車【フェラーリ名鑑(2005-2017)】

掲載 更新
FXXから始まったサーキット専用車【フェラーリ名鑑(2005-2017)】

サーキット専用車というフェラーリの新たな戦略

最初から限定生産を前提としたスペチアーレとして「エンツォ フェラーリ」を発表すると、フェラーリはさらに興味深いプロジェクトを立ち上げる。それはコンペティツィオーネでもストラダーレでもない、つまりレースにも参加できなければ、オンロードを走行することもできないモデル。それが使えるのは、カスタマー自身によるサーキット走行のみ。エンツォをベースに製作された、そのサーキット走行専用モデルとは2005年に発表された「FXX」である。

ハイブリッド時代に突入「ラ フェラーリ&SF90ストラダーレ」(2013-2019)【フェラーリ名鑑】

FXXは29台の限定生産

FXXのベースとなるエンツォが誕生した時、多くのファンはそれをベースとしたコンペティツィオーネ、すなわちレースカーの誕生に期待したが(実際、後にエンツォのマセラティ版として登場するMC12は、GT1カテゴリーでGT選手権に参戦している)、その夢は叶わなかった。だが、実際にこのFXXを見ると、それはまったく不可能な話ではなかったのではないかという印象を受ける。

FXXの限定生産は29台の予定で行われ(後にミハエル・シューマッハのための1台が加えられた)、そのカスタマーは「ピロータFXX(FXXドライバー)として、納車後2年間にわたってフェラーリによる徹底したホスピタリティのもと、このFXXの走りをサーキットで楽しむ権利が与えられた。

その2年間の期間が終了すると、フェラーリはさらにFXXの性能を高めるためのエボリューション・キットを提供。さらに2年間のフルサービスによる走行が可能になった。それはカスタマーにとっても、そして走行後にデータ・ロガーから39項目のデータが得られるフェラーリにとっても、いずれも有益な仕組みだった。

FXXのミッドに搭載されたエンジンは、最高出力が800ps以上と発表された、6262cc仕様のV型12気筒自然吸気。これと6速のF1マチックからなるパワーユニットはミッドシップされ、もちろん後輪を駆動する。タイヤはスリックとレイン用が、いずれもブリヂストンから供給された。

第2弾はFRをベースにした「599XX」

そして次世代のスペチアーレ、599でもXXプログラムは用意された。2009年のジュネーブ・ショーで初公開された「599XX」が次なるXXプログラムの主役。こちらはもちろん、FRの基本設計を599からそのまま受け継いでおり、搭載エンジンは9000rpmがレブリミットとなる、700ps仕様のV型12気筒。フェラーリが所有するフィオラノのテストトラックを、FXXよりも1秒速い1分17秒00でラップしたというその実力は、パワーとともにエアロダイナミクスの進化を伺わせる。

ちなみにこの599XXがもつエアロデバイスで最も興味深いのはアクティブフローと呼ばれるダウンフォースの可変システム。アンダーボディのデュフューザーには無数の穴が開いており、その穴からエアを吸い込み、テールライトからグリルへと変化したダクトを通じて排出する。さらにリアエンドではシンセティックジェットと呼ばれる気流の発生装置も備えられており、これでドラッグ低減を実現したという。

システム出力1050psを誇る「FXX K」

現在のXXプログラムの主役は、ラ フェラーリをベースに製作された「FXX K」と、その「EVO」バージョンだ。発表は2014年のことで、EVOは2017年にパッケージ・オプションとして(一部モデルは完成車として)登場している。生産台数は32台とされ、ミッドに搭載されるV型12気筒、6262ccエンジンは860psを発揮。そして、Kが意味するところであるHY-KERSにとるエレクトリックモーターのアシストを得て、システム全体では1050psのパワーを出力する。

フロントにダブルウイッシュボーン、リアにマルチリンクというサスペンションの構成に変化はないが、ブレーキはFXX K専用にブレンボ製の大径カーボンセラミックディスクが与えられた。車重はわずか1165kgとされているから、その運動性能は驚異的なものであることは確かだ。

【SPECIFICATION】

フェラーリ FXX

年式:2005年

エンジン:65度V型12気筒DOHC(4バルブ)

排気量:6262cc

最高出力:588kW(800ps)/8500rpm

最大トルク:686Nm/5750rpm

乾燥重量:1155kg

最高速度:345km/h

フェラーリ 599XX

年式:2009年

エンジン:65度V型12気筒DOHC(4バルブ)

排気量:5999cc

最高出力:515kW(700ps)/9000rpm

フェラーリ FXX K

年式:2014年

エンジン:65度V型12気筒DOHC(4バルブ)

排気量:6262cc

最高出力:772kW(1050ps)

最大トルク:900Nm

乾燥重量:1165kg

※メーカー公表値のみ掲載



解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)

こんな記事も読まれています

全長3.4m級のホンダ「小型ミニバン」あった!? まさかの超斬新「カクカク透明ボディ」×6輪仕様がスゴい! 画期的すぎた「UNIBOX」とは何だったのか
全長3.4m級のホンダ「小型ミニバン」あった!? まさかの超斬新「カクカク透明ボディ」×6輪仕様がスゴい! 画期的すぎた「UNIBOX」とは何だったのか
くるまのニュース
持続可能性と革新の両立、TEINが拓く環境に配慮した製造体制とは
持続可能性と革新の両立、TEINが拓く環境に配慮した製造体制とは
レスポンス
【サーキット試乗】マセラティ謹製V6ネットゥーノエンジンをサーキットで味わい尽くす!「マセラティ・ネットゥーノ・メディア・テストドライブ」
【サーキット試乗】マセラティ謹製V6ネットゥーノエンジンをサーキットで味わい尽くす!「マセラティ・ネットゥーノ・メディア・テストドライブ」
LE VOLANT CARSMEET WEB
「大声で話すな」 バスドライバー不足を解消したいなら、昭和~平成の“おっかない”ドライバーを容認せよ
「大声で話すな」 バスドライバー不足を解消したいなら、昭和~平成の“おっかない”ドライバーを容認せよ
Merkmal
【ホンダ 新型フリード 待ってました!の第一報】FREED AIRは癒し系&CROSSTARはアウトドアテイストましまし!イマドキの家族に「ちょうどいい」コンパクトミニバンを初披露
【ホンダ 新型フリード 待ってました!の第一報】FREED AIRは癒し系&CROSSTARはアウトドアテイストましまし!イマドキの家族に「ちょうどいい」コンパクトミニバンを初披露
Webモーターマガジン
ホンダNR[名車バイクレビュー] 時代を切り拓いた革新のエポックマシン【楕円ピストン&500万円超】
ホンダNR[名車バイクレビュー] 時代を切り拓いた革新のエポックマシン【楕円ピストン&500万円超】
WEBヤングマシン
厄介な「横断歩道を渡ってくれない歩行者」どう対策? 「どうぞ、どうぞ」進んだら検挙! 迷惑「通せんぼ横断者」に遭遇したらどうすべき? 警察に聞いてみた
厄介な「横断歩道を渡ってくれない歩行者」どう対策? 「どうぞ、どうぞ」進んだら検挙! 迷惑「通せんぼ横断者」に遭遇したらどうすべき? 警察に聞いてみた
くるまのニュース
トロットロの南蛮たれとタルタルソースで唐揚げを頬張る幸せ!! 東名高速「港北PA」にて
トロットロの南蛮たれとタルタルソースで唐揚げを頬張る幸せ!! 東名高速「港北PA」にて
バイクのニュース
ニューウェイ、レッドブルF1離脱後の移籍計画は今のところないと主張「少し休んで人生を振り返るタイミングだと感じた」
ニューウェイ、レッドブルF1離脱後の移籍計画は今のところないと主張「少し休んで人生を振り返るタイミングだと感じた」
AUTOSPORT web
ゴールデンウィークが終わると自動車税が来る! いつまでに払うの? 払わないとどうなるの?
ゴールデンウィークが終わると自動車税が来る! いつまでに払うの? 払わないとどうなるの?
ベストカーWeb
トヨタ「プロボックス」が1/64スケールで登場! カスタム仕様もラインアップした商用車ミニカーの出来のよさに注目です
トヨタ「プロボックス」が1/64スケールで登場! カスタム仕様もラインアップした商用車ミニカーの出来のよさに注目です
Auto Messe Web
検定中の教官を脅すと「公務執行妨害」! 補助ブレーキを踏まれたら即検定終了! 自動車教習所にまつわる噂を元教官が解説
検定中の教官を脅すと「公務執行妨害」! 補助ブレーキを踏まれたら即検定終了! 自動車教習所にまつわる噂を元教官が解説
WEB CARTOP
『ル・ボラン カーズ・ミート2024 横浜』展示車&試乗車情報を更新しました!
『ル・ボラン カーズ・ミート2024 横浜』展示車&試乗車情報を更新しました!
LE VOLANT CARSMEET WEB
ホンダ、新型フリードを公開。e:HEVを採用し先進安全装備も進化。盤石の体制で6月にデビュー
ホンダ、新型フリードを公開。e:HEVを採用し先進安全装備も進化。盤石の体制で6月にデビュー
driver@web
トヨタ・シエンタに挑む!──新型ホンダ・フリード詳報
トヨタ・シエンタに挑む!──新型ホンダ・フリード詳報
GQ JAPAN
4月の輸入車ランキング、ホンダが28年ぶりトップ WR-V好調で 前回はUSアコードワゴン
4月の輸入車ランキング、ホンダが28年ぶりトップ WR-V好調で 前回はUSアコードワゴン
日刊自動車新聞
【ヤマハ】2024鈴鹿8耐「ヤマハ応援席チケット」の販売を5/12よりスタート!
【ヤマハ】2024鈴鹿8耐「ヤマハ応援席チケット」の販売を5/12よりスタート!
バイクブロス
新車『GRカローラ』で2年連続のD1王者へ!Team TOYO TIRES DRIFTに松山北斗が加わる…モーターファンフェスタ2024
新車『GRカローラ』で2年連続のD1王者へ!Team TOYO TIRES DRIFTに松山北斗が加わる…モーターファンフェスタ2024
レスポンス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

139.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

4.989.9万円

中古車を検索
Kの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

139.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

4.989.9万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村