F1第18戦メキシコGPの予選で予選1番手となったマックス・フェルスタッペン。しかし、その後、バルテリ・ボッタス(メルセデス)がクラッシュした最終コーナーの黄旗区間で十分に減速していなかったとして、3番手降格のペナルティが科せられた。
通常であれば、黄旗で減速しなかったフェルスタッペンに対するペナルティは、対象となった周回のラップタイムを抹消することである。しかし、今回フェルスタッペンは対象となった周回のラップタイムは抹消されず、昨年レッドブルのダニエル・リカルドが記録したコースレコードを0.001秒上回った。 これは、自己ベストを記録した最後のラップタイムを抹消するだけでは不十分だと、レース審議委員会が判断したからにほかならない。
F1第18戦メキシコGP予選トップ10ドライバーコメント(2)
似たような状況は2016年のハンガリーGPでも起きていた。Q3の最後のアタックでフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)がクラッシュしてダブルイエローが出された直後に通過したニコ・ロズベルグ(メルセデス)が自己ベストを更新して、チームメイトのルイス・ハミルトンを逆転しポールポジションを獲得した。
このとき、レース審議委員会はロズベルグとメルセデスは該当区間で減速していた証拠となるデータを提出し、レース審議委員会は「テレメトリーにより、ドライバーはターン8で大幅に速度を落としたことが確認された」として不問に付した。
だが、ハミルトンはチームメイトとデータを提出したメルセデスを公然と批判した。そして、今回もフェルスタッペンを次のように批判した。
「FIAがダブルイエローに厳格であることは非常に重要なことだと思う。過去にモナコGPでサポートレースで黄旗区間で減速しなかったドライバーがマーシャルをひく事故を起こしたことがある(2005年のフォーミュラ・ルノー3.5のパストール・マルドナド)。マーシャルたちはボランティアなのに、命を張ってレースの運営にあたっている。FIAが適切な裁定を下すことを願っている」
フェルスタッペンが最終コーナーを通過したとき、一瞬減速していたことはF1公式データで最終コーナーの1部分だけ自己ベストを更新していないことを示す黄色の表示になっていたことからもわかる。しかし、レース審議委員会は「それは十分な減速ではない」と判断した。
フェルスタッペン、予選後の会見で記者との舌戦
じつはフェルスタッペンがレース審議委員会に呼び出される午後3時25分より前に、フェルスタッペンがレース審議委員会を敵に回してしまうような事件が発生していた。それは予選後のFIA会見だ。ここで黄旗が出されたにも関わらず、自己ベストを更新したことについて、フェルスタッペンは以下のような舌戦を記者たちと繰り広げてしまった。
記者:ボッタスのクラッシュしていたのは確認していたのか。そしてアクセルは戻したのか?
フェルスタッペン:そこにいたよ。
記者:アクセルは戻したのか?
フェルスタッペン:あんまりかな。
記者:なぜアクセルを戻さなかったのか?
フェルスタッペン:そんなに重要なこと?
記者:FIAが調査すると思いますよ。
フェルスタッペン:取り消せばいい。2番目のタイムも十分速いんだから。
記者:安全性の観点から、あなたは自分がやったことに対して心配はしていなんですか?
フェルスタッペン:安全性?僕はF1マシンを運転している。しかも、それは予選だ。行くしかないんだ。それで、もしレース審議委員会が僕のベストタイムを削除するのなら、やればいい。
2016年の2本黄旗振動のロズベルグが無罪で、今回の1本黄旗のフェルスタッペンがベストタイム抹消ではなく、3番手降格というレース審議委員会の裁定には若干の疑問が残るものの、今回の予選でフェルスタッペンが言ってはいけないことを口にしたことだけは、間違いない。
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