長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、全20人のドライバーのグランプリウイークエンドの戦いを詳細にチェック、独自の視点でそれぞれを10段階で評価する。今回はアブダビGPの週末を振り返る。
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【全ドライバー独自採点/F1第22戦】不運なルクレールと運に恵まれ続けるフェルスタッペン
■評価 10/10:ポール・トゥ・フィニッシュのフェルスタッペンと孤軍奮闘のルクレール
マックス・フェルスタッペン(レッドブル):予選1番手/決勝1位
シャルル・ルクレール(フェラーリ):予選2番手/決勝2位
わずかの差ながらポールポジションを獲得したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、一切ミスをすることなく、再び他を圧倒するパフォーマンスでレースを制した。チームはRB19の最適なバランスを見出すのに多少時間を要したものの、予選に向けてスイートスポットに持っていくことができ、フェルスタッペン自身、やるべき仕事を成し遂げた。
スタートは良くなかったが、リードは維持し、基本的には誰からもチャレンジされず、ライバルすべてが2ストップだと分かった後のみ、真の速さを発揮し、優勝を手に入れた。
シャルル・ルクレール(フェラーリ)にとって、アブダビの2位はラスベガスの時ほど楽しいものではなかった。フェラーリはコンストラクターズ選手権でメルセデスを逆転して2位をつかむことを目指していたが、カルロス・サインツの助けを得られず、ルクレールひとりでは目標を達成することができなかった。
予選Q3では今シーズン一番と言ってもいいほどの素晴らしいラップを走り、最終セクターの速さによってフロントロウをつかんだ。決勝1周目にフェルスタッペンに対して慎重なアタックを2度行った後、2番手を維持。終盤には、ランキングを考慮して、セルジオ・ペレスがペナルティ分の5秒をジョージ・ラッセル相手に拡大できるよう、ペレスを前に出した一方で、スポーツマンシップに反する行為をラッセルに対して行うことはなかった。ルクレールは優れたドライバーであるとともに、正しい価値観を持ったスポーツマンだ。
■評価 9/10:メルセデスの選手権2位を守ったラッセル
ジョージ・ラッセル(メルセデス):予選4番手/決勝3位
週末を支配したふたりに近い位置にいたのは、ジョージ・ラッセル(メルセデス)だった。この週末のラッセルはほぼ完璧なパフォーマンスを披露した。予選で僅差で3位を逃した後、決勝ではマクラーレン2台と競って勝利し、レース全体を通してルクレールを視界にとどめ続けた。メルセデスの選手権2位が非常に危うい状態にあるなかで、ペレスのオーバーテイクを阻止することはできず、しかしペレスの5秒以内の位置を維持して、チームのランキング2位を守り切った。
■評価 8/10:ただひとり1回ストップで入賞を果たした角田裕毅
ランド・ノリス(マクラーレン):予選5番手/決勝5位
角田裕毅(アルファタウリ):予選6番手/決勝8位
ランド・ノリス(マクラーレン)は予選では最後の3つのコーナーでのミスでポールポジション獲得のチャンスを逃し、フラストレーションがたまる土曜日となった。レースのスタートをうまく決めて3番手に浮上、しかしその後、タイヤのデグラデーションがライバルよりも大きかったため、ラッセルとペレスを抑えることができず、5位に終わった。しかしアブダビの結果により、マクラーレンはコンストラクターズ選手権4位を確保した。
角田裕毅(アルファタウリ)はアブダビで並外れたパフォーマンスを見せた。決勝最初のスティントをできる限り延長し、5周にわたってレースをリード、1ストップで58周のレースを走り切った。その戦略で入賞したのは彼だけだった。とはいえ、当然ながら2回ストップのマシンよりもタイヤのデグラデーションが進み、マクラーレンふたり、ペレス、フェルナンド・アロンソの後ろに落ちたものの、角田はルイス・ハミルトンを抑えきり、アルファタウリに4ポイントを持ち帰った。
■評価 7/10:アロンソ、最大の結果を出したが、コンストラクターズ4位に届かず
フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン):予選7番手/決勝7位
ピエール・ガスリー(アルピーヌ):予選10番手/決勝13位
オスカー・ピアストリ(マクラーレン):予選3番手/決勝6位
アストンマーティンは、ランキング4位の座をかけてマクラーレンと争っていたが、またしてもその望みをフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)ひとりに託すほかなかった。しかしAMR23にはペースがなく、アロンソをもってしても、7位が精一杯だった。予選Q2でアロンソはチームメイトより0.3秒速いタイムを記録した後、7番手を獲得。レースの大部分でその維持を維持し、ペレスには屈したものの、角田の前に出て、マクラーレン2台のすぐ後ろでフィニッシュした。
ピエール・ガスリー(アルピーヌ)は、ポイント獲得を望める位置にいたものの、ハミルトンに追突されたことで、ディフューザーに大きな損傷を負い、入賞はかなわなかった。今回の週末もガスリーはチームメイトよりも速く、予選Q2では素晴らしい走りで5番手タイムを記録した。しかしQ3で10番手にとどまったことで、決勝のファーストスティントで集団のなかで走り続けなければならなかった。
オスカー・ピアストリ(マクラーレン)は再び堅実な走りをし、6位を獲得、ノリスとともにマクラーレンの選手権4位獲得に貢献した。しかしピアストリはレースにおいてタイヤに負担をかけすぎて、予選でつかんだ3番手の位置を維持することができなかった。ノリスとラッセルに早々に抜かれ、ハードタイヤに履き替えた後は状況が改善したものの、はるかに速いマシンに乗るペレスを抑えることは不可能だったため、6位は妥当な結果だったといえよう。
■評価 6/10:3戦連続、レース最終盤に順位を落としたペレス
セルジオ・ペレス(レッドブル):予選9番手/決勝4位
ルイス・ハミルトン(メルセデス):予選11番手/決勝9位
ランス・ストロール(アストンマーティン):予選13番手/決勝10位
ダニエル・リカルド(アルファタウリ):予選15番手/決勝11位
エステバン・オコン(アルピーヌ):予選12番手/決勝12位
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ):予選14番手/決勝14位
ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース):予選8番手/決勝15位
セルジオ・ペレス(レッドブル)は、3戦連続でレース最終盤にポジションを落とした。今回は、コース上で抜かれたのではなく、47周目のシケインでノリスに接触したことの当然の結果として受けた5秒ペナルティで、ルクレールとラッセルの後ろに落ちたのだ。予選は9番手にとどまったものの、ミスがなければ決勝で3位を獲得できたはずだった。ルクレールがフェラーリの選手権2位争いを考慮してペレスを前に出して、ラッセルから逃がそうとしたが、ペレスはラッセルに5秒以上の差を築くことができず、1.1秒差で4位に落ちた。
結果的にメルセデスはフェラーリとの選手権2位争いを制したものの、今回、ルイス・ハミルトン(メルセデス)は大きな貢献はできずに終わった。アブダビでハミルトンはW14に快適さを感じることができず、予選ではQ2で敗退。少なくとも決勝でポイント圏内に入れたが、ガスリーとのインシデントや、角田を抜けずに終わったことから、今回のハミルトンが本来の力を最後まで発揮できなかったことは明らかだ。
ランス・ストロール(アストンマーティン)は、今回も予選よりは決勝で良い走りをした。予選Q2でチームメイトより0.3秒遅かったストロールは、レースではアルピーヌ2台とニコ・ヒュルケンベルグの前に出て、最後の1点をつかんだ。しかしアストンマーティンがマクラーレンとのランキング4位争いに敗れた一因は、彼のパフォーマンス不足にあるといえるだろう。
ダニエル・リカルド(アルファタウリ)は、今回、チームメイトほどの速さを見つけることができず、難しい週末を送った。予選Q2で0.235秒の差をつけられて15番手にとどまったが、レースでポジションを上げた。捨てバイザーがブレーキダクトを塞ぐというトラブルに見舞われてピットストップを早めなければならず、2回ストップで走行。他と異なるタイミングでタイヤ交換を行ったことで、かなりの時間をフリーエアで走ることができ、コース上でアルピーヌを追い抜いた。しかしストロールには届かず、ノーポイントに終わった。
エステバン・オコン(アルピーヌ)も厳しい週末を送り、予選でチームメイトに及ばず、Q2で敗退した。12番グリッドからスタートし、早い段階でヒュルケンベルグの前に出たが、大きくポジションを上げられるだけのペースがなかった。ガスリーがマシンの損傷により後退する一方で、オコンは11番手を走行、しかし終盤にリカルドに抜かれ、12番手でフィニッシュした。
アブダビはウイリアムズとの相性が良いコースではなかったため、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)のいつもの英雄的な活躍は見られなかった。予選ではQ2に進出、しかし決勝1周目に3つもポジションを失った後、ポイント争いに加わることはできなかった。
ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)は再び、予選で輝いた。チームメイトがQ1で敗退したのに対し、ヒュルケンベルグはQ3に進出し、8番手を獲得したのだ。しかし決勝オープニングラップで5つも順位を下げ、タイヤを持たせるためにできる限りの仕事をしたものの、さらに後退し、15位に終わった。
■評価 5/10:トラックリミット違反で予選タイムを記録できなかったサージェント
ローガン・サージェント(ウイリアムズ):予選20番手/決勝16位
周冠宇(アルファロメオ):予選19番手/決勝17位
バルテリ・ボッタス(アルファロメオ):予選18番手/決勝19位
スピードとマネジメントの面では、ローガン・サージェント(ウイリアムズ)はもっと高い評価に値するが、予選Q1で同じコーナーでのトラックリミット違反で2回にわたってタイムを抹消されたのはいただけなかった。ペースはアルボンに対して0.2秒から0.3秒遅れで、これはルーキーとしては許容範囲だ。レースでアルファロメオとマグヌッセンの前に出て、サインツのリタイアによって16位という結果になった。
周冠宇(アルファロメオ)は予選でのパフォーマンス不足により、ポイント獲得の可能性を失った。レースではチームメイトより良い戦略で走ったが、それでもトップ10に近づくことはできなかった。バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)にとってこのコースは得意なはずであり、過去の記録と比べて、今年の順位には大きな失望感を感じたことだろう。ボッタスは少なくともチームメイトより0.4秒近く速いタイムを出し、予選対決を16対6で制した。
■評価 4/10:ベテランらしからぬミス。最後まで立て直せなかったサインツ
カルロス・サインツ(フェラーリ):予選16番手/決勝18位
FP2序盤にクラッシュするというのは、カルロス・サインツ(フェラーリ)ほどの経験を持つドライバーとして許容できないミスであり、そのミスが週末の最後まで響いた。土曜日に向けてマシンをベストの状態に持って行けなかったのかもしれないし、サインツ自身がアタックする自信を持てなかったのかもしれない。いずれにしても彼は、チームメイトがフロントロウを獲得した予選においてQ1で敗退。決勝では20周でハードタイヤをだめにしてしまい、一度もポイント争いに加わることができなかった。
■評価 3/10:チームメイトとの差が大きかったマグヌッセン
ケビン・マグヌッセン(ハース):予選17番手/決勝20位
週末を通して、ケビン・マグヌッセン(ハース)は、ヤス・マリーナ・サーキットでの走りに集中できていないように見えた。予選でチームメイトが8番手を獲得したのに対し、17番手でQ1敗退。決勝では序盤にコースオフし、すぐにピットインしてタイヤ交換を行い、その後、最後までフィールドの最後尾から浮上できなかった。
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