V型4気筒のフォード・コルセア
ロンドン外周を回る環状線のA406号線。その北部に、エース・カフェというクルマ好きへオススメのスポットがある。クラシックカーの勇姿へ、しばしばお目にかかれるのだ。今回はそこに、1960年代の英国製乗用車6台にお集まりいただいた。
【画像】1960年代の英国乗用車 コルセアにヴィクター、ミンクス、ヴォーグ、セプター、4/72 全48枚
英国では会社でキャリアを積むと、カンパニーカーと呼ばれる貸与車両に乗ることができる。ステータスシンボルの1つで、クルマのグレードが会社での地位を表していた。クロームメッキが多いほど、上役というわけだ。
1960年代のビジネスマンは、デスクへ回ってきた新型フォード・コルセアのパンフレットに期待を寄せたことだろう。海賊を意味する好戦的な名前のように、運転を楽しめるモデルに乗れるのではないかと。洗練された設計を備え、ルックスも優雅に見えた。
実際は期待ほど高性能ではなかったかもしれない。それでもフォード・サンダーバードに似た雰囲気を持つコンパクトモデルとして、郊外の営業所へ務めるビジネスマンの注目度は低くなかったはず。
Dセグメントに属したコンサル・クラシックと交代するカタチでフォードが投入した、コルセア。既存のコルチナ用ドアフレームやウインドウなどを利用し、当時の会長、テレンス・ベケット氏が率いたプロジェクトの成果だった。
最初期型のモデル名は、コンサル・コルセア。1963年に発表され、すぐにコンサルというミドルネームを失っている。1965年にはバンク角60度の1.7L V型4気筒、ケント・エンジンを1966ccに拡大した、GTも追加されている。
充実した装備と仕立ての良い内装
コルセア V4 GTを今でも大切に所有している1人が、ロブ・シャンド氏。2.0L V型4気筒の個性的なビートを効くのが楽しみだという。「優れたユニットだと思います。ガサツだと評価する人もいますが、大げさですよ」
16歳からコルセアのファンだったと話すシャンド。兄弟モデルのコルチナと違い、過小評価されていると考えているようだ。庭に放置されていた、サルーキ・ブロンズに塗られたコルセアを2008年に救出。レストアして今の状態へ仕上げたそうだ。
1960年代のフォードのスポーティモデルらしく、見た目は少し地味。リアに目立たないスポイラーが付いている。
インテリアも同じように実用主義的。装備を充実させてしまうと、1つ上のフォード・ゾディアックMk IVのありがたみが薄れてしまう。コラム式のシフトレバーを選ぶことができたが、スポーティなフロアシフトの方がシャンドの好みらしい。
モータースポーツ誌の編集に長年関わったビル・ボディ氏のレポートを読むと、V4エンジンを載せたコルセア V4 GTの走りには納得していなかったようだ。充実した装備と仕立ての良い内装で、ファミリーカーとしては評価していたが。
もっとも、ユーザーの多くは時間通りに目的地へ到着できる能力は重視していても、グラハム・ヒルのように攻め込んだ走りは求めていなかった。カンパニーカーとして。
コルチナ Mk IIIが1970年に登場すると、コルセアの製造は終了してしまう。だが、都市をつなぐ高速道路やテーラーメイドのスーツへ夢見た時代の匂いが、今でもV4 GTには残っているように思う。
アメリカンなヴォグゾール・ヴィクター FB
1957年に登場した初代ヴォグゾール・ヴィクターのスタイリングは、アメリカ車にインスピレーションを受けたような雰囲気が強い。英国ルートンのヴォグゾール本社で開発されたが、カナダ向けの輸出車両としても念頭にあったことが理由だろう。
実際、ヴィクターはシボレーとオールズモビルのディーラー網から、エンボイという名前で販売されている。一方で英国のドライバーたちは、英語のアメリカンなアクセントへ惹かれるように、このルックスへ関心を寄せた。
1961年、ヴォグゾールは2代目ヴィクター FBを発表。その3年後には、3代目のFCへモデルチェンジしている。
今回お越しいただいたデイブ・トラウトン氏は、2011年からブラックの2代目ヴォグゾール・ヴィクター FBを大切にしている。だが、ヴィクターとの結びつきはずっと幼い頃に生まれていたと振り返る。
「父はヴォグゾールの商用車を手掛けていたベッドフォード社で、シャーシ開発に関わっていました。ヴォグゾールは社員割引が効いたそうです。父は同社の乗用車として、ヴィクター FBはベストの1台だと話していました」
110km/hくらいでも驚くほど滑らか
「この1963年式を発見したのは、売買サイトのイーベイ。入札していたのですが、誰かが大きな金額を提示し、早期にオークションが終了してしまったんです。ところが入札者がキャンセルしたということで、わたしへ電話がかかってきたんですよ」
トラウトンは、購入予定だった資金の一部をバイクに使っていたが、とりあえずクルマを見に行くことにした。ヴォグゾールが「素敵なルックスに楽しいドライブ」と宣伝したヴィクター FBの魅力には、対抗できなかったらしい。
結果として彼が入手したクルマは、デラックス仕様。レザーに光沢感のあるカーペット、ヒーター、フロントガラスのウオッシャーという、その頃としては充実した装備が与えられている。
「オーナーになれたことを、満足しています。運転がとても楽しいんですよ」。とトラウトンが頬を緩ませる。
「運転席からの視認性は、現代のどんなクルマより優れています。テキスタイルで仕立てられた2021年のインテリアより、ヴィクターのレザー張りのインテリアは遥かに居心地が良いと思います」
「最高速度は128km/hしか出ませんが、80km/hから110km/hくらいでの滑らかさには驚かざるを得ません。コラムシフトですが、3速MTの変速はとても快調。コラムMTは珍しいので、盗難の予防にもなりそうですよね」
フォード・コルセアとヴォグゾール・ヴィクターのスペック
フォード・コルセア V4 GT(1965~1970年/英国仕様)
英国価格:909ポンド(新車時)/8000ポンド(約121万円)以下(現在)
生産台数:13万5000台(V4)
全長:4496mm
全幅:1676mm
全高:1473mm
最高速度:146km/h
0-97km/h加速:14.7秒
燃費:8.8km/L
CO2排出量:−
車両重量:1030kg
パワートレイン:V型4気筒1996cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:89ps/4750rpm
最大トルク:16.1kg-m/2750rpm
ギアボックス:4速マニュアル
ヴォグゾール・ヴィクター FB(1961~1964年/英国仕様)
英国価格:744ポンド(新車時)/8000ポンド(約121万円)以下(現在)
生産台数:32万8640台
全長:4400mm
全幅:1626mm
全高:1448mm
最高速度:123km/h
0-97km/h加速:23.4秒
燃費:9.9km/L
CO2排出量:−
車両重量:1127kg
パワートレイン:直列4気筒1508cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:56ps/4600rpm
最大トルク:11.8kg-m/2200rpm
ギアボックス:3速マニュアル
この続きは中編にて。
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