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スター揃いの灼熱戦で奮闘。トヨタ陣営のタイラー・レディックが移籍後初優勝/NASCAR第6戦

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スター揃いの灼熱戦で奮闘。トヨタ陣営のタイラー・レディックが移籍後初優勝/NASCAR第6戦

 元F1チャンピオンや耐久レースの雄、そしてカップ“7冠”王者の参戦など、錚々たるスターメンバーの集結で話題を呼んだ2023年NASCARカップシリーズ第6戦『エコパーク・オートモーティブ・グランプリ』は、今季よりトヨタ陣営に移籍したタイラー・レディック(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)が奮闘。ポールシッターで今季すでに2勝を挙げているウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)や、自身との入れ替わりでシボレー移籍を決めたカップ“2冠”カイル・ブッシュ(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)らを退け、3度のオーバータイムが発生した灼熱の今季初ロードコース戦を制し、移籍後初優勝を飾っている。

 テキサス州のCOTAことサーキット・オブ・ジ・アメリカズにて3月24~26日に開催された1戦は、元F1王者キミ・ライコネン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)の“復帰参戦”に加え、名門ヘンドリック・モータースポーツが主導する今季のル・マン参戦プロジェクトにも参画するジェンソン・バトンが、フォード陣営のリック・ウェア・レーシングに合流し、マスタングの15号車をドライブすることが決定。

『シボレー・カマロ』が生産終了へ。6代目は2024年モデルで終焉も「物語の終わりではない」

 同プログラムでメンター役を務めるIMSA“2冠”のジョーダン・テイラーは、骨折療養中のチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)の代役として9号車を引き継ぎ、開幕戦の『デイトナ500』に続いて“JJ”ことジミー・ジョンソンは自身が共同所有するレガシー・モータークラブのシボレー・カマロ84号車で今季2度目の出走を果たすなど、話題満載のレースウイークとなった。

 そんななか始まった注目の金曜フリープラクティスでは、昨季のロードアメリカとインディアナポリス、ふたつのロード戦を制した新世代の“マイスター”レディックがトップタイムを記録。一方で「クルマの始動方法を忘れてしまった(笑)。でも面白かった」と語ったバトンは、新規空力パッケージ導入で幸運にも50分間延長されたデビューセッションを28番手で終えた。

「最初は『エンジンが掛からない』と思ったけど、ほかにもいくつかスイッチを入れる必要があった(笑)。それに、コールドタイヤのグリップが低くて本当に驚いたよ。僕はシーケンシャルも初めてで、押し引きの操作は新鮮だ。手動ギヤボックスの経験はあるけど、それはいつもゲートを横切って動かすもの。それだって最後に経験したのは1999年のことだからね」と、ストックカーでの初セッションを終えて笑顔を浮かべたバトン。

■予選ではHMSの助っ人テイラーが2列目4番手を確保
「何年にもわたって学んだ情報に戻って、それを再び引き出すことから始めなきゃ。スポッターがいることも興味深いし、これも初めての経験さ。僕らのスポッターは非常に落ち着いた声をしていて、それは良いことだと思うし、前後の『渋滞情報』を教えてくれる。日曜(レース時の)のテンションでは役立つだろうね。僕はこれが気に入ったよ」と、初挑戦を楽しんでいる様子のバトン。

 続く予選では、直近のオーバルで連勝を飾っていたバイロンが、このロードコースでも速さを維持してCOTAでの自身初ポールを獲得。これでロードアメリカとインディアナポリスに加え、シャーロットとCOTAのカップ戦開催のロードコース4箇所すべてで予選最上位を獲得した最初のドライバーとなったが、それ以上の驚きは2列目4番手に飛び込んできたHMSの助っ人テイラーだった。

「非常にエキサイティングだし、明らかに予想外だった」と、セッション開始前にNASCARカップ・デビューの機会について語ったテイラー。

「僕が今季ガレージ56に関わっていることは秘密でもなんでもないし、彼らヘンドリックのメンバーとは数カ月間、一緒に仕事をしてきた。僕が彼らにサインアップしたとき、チャド(・クナウス/HMS競技担当副社長)は『これ(代役参戦)が君の望んだ役割でないことは理解しているが、飛び込んでみて、それがどんな結果に繋がるかは未知数だろう?』って。だから今はこの機会に感謝している」と続けたテイラー。

「最高のクルマの1台でレースの週末に臨むのは、間違いなく恐ろしいことだが、同時に、こんな良いクルマに乗るチャンスを得られる人はそう多くはないからね」

 こうして始まった決勝は、いつものステージ間ブレイクはなく、そのうえでテキサスの灼熱の日差しが照りつける75周の消耗戦と化し、スタート直後の左折り返しとなるターン1では、注目の“JJ”が1ラップをこなすことも叶わず多重クラッシュに巻き込まれ、ここでリタイアに追い込まれる。

 その後もステージ1覇者のポール発進バイロンと、同じくステージ2を制覇したレディックが、終盤に向けコース全域を活用したサイド・バイ・サイドを繰り広げてファンを沸かせ、ふたりで都合69周のリードラップを奪っていく。

■注目されたスタードライバーたちは洗礼を浴びる結果に
 集団内でも次第に集中力が切れ、最後は3度ものオーバータイム・リスタートの展開となるなか、最後の2周に向けレディックがターン1で首位を死守。終盤の燃費戦略で2番手に浮上したブッシュや、アレックス・ボウマン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)、そして前年度覇者ロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)やバイロンらを抑え切り、トヨタ陣営への移籍後初優勝を手にした。

「ずっとここCOTAでも、カップカーで勝ちたいと思っていた。それは世界のすべてを意味するんだ」と、氷の入ったアイシングを抱えて45号車のカムリにもたれ掛かり、トラックに腰を下ろしたレースウイナー。

「この23XIのチーム全体が、ロードコースでのプログラムをより良くするために冬のあいだずっと懸命に働いてきた。ここにきてパフォーマンスを向上させることに非常に意欲的だったし、このモンスターエナジーとTRDの仕事を誇りに思う」

 最終的に5位に敗れたバイロンも「トップ5を獲得するのは気分がいいが、今日はこれが限界だった」と、暑さによる消耗もあったと明かす結果に。「今日の45号車と彼は、誰よりも本当に優れていた。僕も2位になりたかったが、ここCOTAでの5位はロードコースでの最上位さ。オーバルでの好調に加え、この方向性もさらに発展させていきたい」と、今後のシーズンを見据えた。

 一方、注目されたスタードライバーたちもカップの洗礼を浴びる格好となり、初挑戦のバトンは健闘の18位、予選4番手発進だったテイラーは24位に。そして昨季以来の出場となったライコネンは、レース終盤に一時4番手まで順位を上げながらも、最終的に29位フィニッシュとなっている。

 併催となったNASCARエクスフィニティ・シリーズ第6戦『ピットボス250』は、ポールポジションからスタートを切ったA.J.アルメンディンガー(カウリグ・レーシング/シボレー・カマロ)が制覇。同じくNASCARクラフツマン・トラック・シリーズ第4戦『XPEL(エクスペル)225』は、ゼイン・スミス(フロントロウ・モータースポーツ/フォードF-150)が前年度に続いてCOTA連覇を達成し、服部茂章率いるハットリ・レーシング・エンタープライズ(HRE)の16号車タイラー・アンクラム(トヨタ・タンドラTRDプロ)は、終盤の猛追で4位と、今季初のトップ5フィニッシュを飾っている。

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