この記事をまとめると
■日産が2024年で創立90周年を迎えた
ゴーン容疑者の功罪! カルロス・ゴーン氏がいなければ誕生しなかったであろう日産車5選
■日産は昔からキャラの立ったクルマが多く、触れる機会も多かった
■日産90年の歴史のなかから印象深い日産車をピックアップ
印象的なモデルを数多く誕生させてきた日産
日産のルーツには、キーとなる何人かの人物といくつかの会社がからんでいる。長くなるのでざっくりだけ述べると、多少詳しい人なら、鮎川儀介という名前を目にしたことがあると思う。
1914年(大正3年)、橋本増治郎による東京の「快進社自働車工場」は、「ダット(脱兎号)」と名付けたオープンカーを送り出した。その一方で、1919(大正8)年に大阪で三輪乗用車を製造する「実用自動車製造」が設立された。
両社は1926(大正15)年に合併し、大阪で「ダット自動車製造株式会社」が誕生。1930(昭和5)年より、ダットのパーツを流用した、“son of DAT” を意味する「ダットソン」と名付けられた小型車を送り出した。ほどなく「ソン」=損よりも「サン」=SUNのほうがよいとのことで、「ダットサン」に改名した。
この「ダット自動車製造」を1931(昭和6)年に買収したのが、冒頭の鮎川義介の「戸畑鋳物」だ。
1933年(昭和8年)、事情により戸畑鋳物株式会社がダットサンの商標と製造権および大阪工場を譲り受け、日本産業株式会社の出資を加えて、同年12月末にダットサン製造のために自動車製造株式会社を設立し、翌1934年(昭和9年)に、日産自動車株式会社と改称した。
それから2024年で、90周年を迎える。
その後の日産における大きな出来事として、他社との関係で、1966年のプリンス自動車工業の合併および富士重工業との業務提携、1990年代に経営危機に陥ったのち、1999年にルノーの傘下に収まったことや、2005年に三菱自動車との提携などが挙げられる。
1968年生まれで、1970年代のはじめにはすでにクルマに目覚めていた筆者にとって、日産は当時から非常に印象深いメーカーであり、自動車メディア業界に身を置いてからも、キャラの立ったクルマが多いことから、日産車に触れる機会が多いようにずっと感じている。
そんな筆者による独断で、印象深い日産車を何台かを挙げたい。ちなみに、物心がついた頃の家の愛車は410型ブルーバードで、その後、ケンメリ、R30、COTYを受賞したときのラングレー、初代セフィーロ、180SX、V37スカイラインといった日産車を自分 or 実家で愛用してきた。
日産の名車といえば、まずはS30型フェアレディZだ。個人的にもとても印象に残っている。なにせ当時の他のクルマとは、雰囲気がぜんぜん違った。たまに見かけて、こんなクルマが日本にもあって、それをつくった日産はすごいと子どもながら思ったものだ。
S30は世界中で評価され人気を呼んだ。性能が高いわりに安価であったことが受けたという。そしてなによりデザインがすばらしい。これほどオリジナリティを確立したデザインは他に心当たりがない。
この仕事についてから、筆者も一度だけ運転したことがある。前が異様に長くて、オシリの下にリヤタイヤがあって、そこを軸に向きを変える感覚が独特だった。L型エンジンのサウンドも重厚感があってよかった。
現在の日産を象徴するクルマは現行R35GT-Rをおいてほかにない
Zとならんで、日産の名車としては、スカイラインは外せない。
S54、C10、C110、R30、R32、どの世代も名車にもなかなかのエピソードがあるのだが、どれかひとつにするなら、ハコスカの活躍もおぼろげに記憶しているが、やはり筆者の世代では、リアルタイムでその活躍を目の当たりにしたR32GT-Rだ。
グループAレースでの強さは、誰もついてこられないほどだった。
市販車のほうも、初めて運転したときに、これほど速くて安定しているクルマはないと思った。速いと聞いていたので身構えていたが、拍子抜けするほど乗りやすくて、運転が上手くなったかのような感覚を覚えたものだ。
その少し前に登場した、「シーマ現象」なる言葉を生み出したほど売れたシーマも、初代には乗る機会がなかったのだが、リヤを下げて離陸するかのように走る姿がやけに印象に残っている。
内外装デザインも素晴らしかった。最近でも、有名女優さんが長年愛用していることがたびたび報じられているが、それだけ目を引くクルマだから、いつまでもニュースで取り上げつづけられるのだと思う。
その後、シーマの名をもってしてもかつての栄光を取り戻すことは難しく、いまや消滅してしまったのは残念なかぎりだ。
その他の候補では、スカイラインやブルーバードの歴代モデルのいくつかや、同じくセドリック/グロリア、ローレル、2~3代目のマーチ、初代エルグランド、セレナ、エクストレイルあたりもあるが、個人的にぜひ挙げておきたいのが、S13シルビアだ。
あの時代に、この美しいデザインがとても映えて見え、女性ウケもよく、デートカーとしてもてはやされただけでなく、手頃な価格とサイズでパワフルなFR車だったことから、走り系の人にも大いに受けたのはご存じのとおりだ。ああいうクルマなのに月販でコンスタントに1万台を超えていた時期があるなんて、すごいことだと思う。
こうしてみると日産が元気だった1980年代のクルマがやはり多くなったが、しめくくりに挙げたい1台は、なんといっても現行R35GT-Rをおいてほかにない。
登場から16年あまり、初めて乗ったときのあのインパクトは忘れない。
ニュルのタイムで物議をかもしたのは、それほどタダモノではないことをやってのけたことのあらわれ。こんなクルマ、日産じゃないと作れっこない。まだ現役でいてくれることがうれしい。できるだけ長く存在していて欲しい。
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ゴーンもいなくなったし、世界の恋人に戻ってくれ。