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「異なる時間」が始まるDOHC アルファ・ロメオ2000 GTV x フォード・コルティナ II ロータス(2)

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「異なる時間」が始まるDOHC アルファ・ロメオ2000 GTV x フォード・コルティナ II ロータス(2)

異なる時間が始まるツインカム・エンジン

ロータスから、あえて距離が置かれたフォード・コルティナ II ロータスだったが、約8割は初代のイメージへ通じる、アーミン・ホワイトで塗装された。多くのボディサイドは、オプションだったシャーウッド・グリーンのストライプで飾られた。

【画像】ツインカムのアルファ 2000 GTVとコルティナ II ロータス 最新ジュリアとエミーラも 全130枚

初期型では「ABCC」のエンブレムがリアに貼られたものの、途中からツインカムの記載へ変更。1968年のマイナーチェンジでは、ボンネットとトランクにFORDとアルファベットが並んだ。ロータスの色は、徐々に消されていった。

アルファ・ロメオ2000 GTVの隣に止まるコルティナ II ロータスは、小さなストックカー・マシンのよう。ホイールは13インチで小さいが、5.5Jとワイド。スクエアで直線的ながら、ヒルクライム・レースへピッタリな、やる気に満ちた雰囲気を漂わせる。

運転席へ座ると、ドライビングポジションの優秀さへ感心する。レザー巻きのステアリングホイールが手を伸ばした自然な位置にあり、3枚のペダルに不自然なオフセットはない。足元も広い。

今回のクルマは1970年式の後期型で、ダッシュボードが初期型と異なる。電流と油圧、水温、燃料の補機メーターが、ヒーター用操作パネルの上に並ぶ。

全面的にレストアを受けており、内装は真新しいものの、素材はベーシック。当時のフォードの量産車と、大きな違いはない。

しかし、ツインカム・エンジンを目覚めさせると、明らかに異なる時間が始まる。アイドリング時から騒々しく、自ずと走りへの期待が高まる。1960年代のクラブレーサー的なサウンドが周囲へ充満する。

期待通りの体験がドライバーへ強く響く

ところが、グレートブリテン島東部の国道、A64号線を流れに合わせて走っても、若干エンジンは息苦しそう。良好な状態とはいえないアスファルトと、防音材がまばらな内装が影響し、車内は常にうるさい。

4速マニュアルのギア比はショートで、出だしは鋭い。0-97km/h加速を11.0秒でこなし、1967年の1750 GTVより0.2秒だけ勝る。

ステアリングは直進時が若干曖昧で、セルフセンタリング性も弱い。だが、姿勢制御は1960年代のモデルとしては引き締まり、フロントタイヤのグリップを引き出せる。攻め込んでいくとオーバーステア傾向が現れ、好ましいバランスにあるとわかる。

純粋で正直な操縦性を、コルティナ II ロータスは叶えている。期待通りの体験が、特定の年齢には強く響くに違いない。

ホクホク顔のまま、アルファ・ロメオ2000 GTVへ乗り換える。ボディカラーは珍しいアイボリーだが、ジョルジェット・ジウジアーロ氏のスタイリングは精悍。アルプス山脈を登り詰めそうな、勇ましさも漂う。

全幅は1575mmで、コルティナ II ロータスとほぼ同値ながら、全長は約180mm短い。その影響が、リアシートの空間に表れている。実用性で劣っても、個人的に魅力を感じるのはこちらの方だが。

シートは、コルティナと同じくビニールレザー張り。表面に細かな穴が空き、ヘッドレストも備わり、上質さでは勝る。ドアパネルの質感も高い。

確実に高い走行時の洗練度

インテリア・デザインも、ボディと同様にエレガント。フォードの実務的な雰囲気とは異なる。

握りやすい位置へ、ディープコーンのウッドリム・ステアリングホイールが伸びる。大きな2枚のメーターは見やすく、ヒーターの操作パネルが配されたセンターコンソールから、長めのシフトレバーが斜めに突き出ている。

そんな好印象は、エンジンを目覚めさせると増長する。同様にツイン・ウェーバーとツインカム・ヘッドが組まれた4気筒だから、放たれるサウンドはコルティナ II ロータスに近い。しかし、より落ち着いている。

フロアから伸びるペダルは、少々慣れが必要。位置が近く、ステアリングホイールへシートを合わせると、膝を大きく曲げる必要がある。2000 GTVのドライビングポジションは、アルファ・ロメオらしい。

発進させると、滑らかなシフトフィールが気持ちいい。シフトレバーのストロークは長いが、機械的な感触が左手へ伝わる。外界との隔離性は高く、走行時の洗練度は確実に高い。カーブが連続する道で、長時間過ごすのにも向いている。

意欲的に旋回させると、ある程度のボディロールが生じる点で、コルティナ II ロータスと似ている。だが2000 GTVは安定している。途中に隆起部分が存在しても、リアアクスルは暴れにくい。

リミテッドスリップ・デフが標準装備され、タイトなヘアピンもお手のもの。脱出加速でパワーを展開しても、内側のタイヤはスピンしにくい。

喜んで選びたい価格以上の価値

2000 GTVで惜しいポイントが、設計の古い再循環ボール式のステアリングラック。期待するほど、一体感を高める手応えは得られない。

最高のツインカム4気筒エンジンが、それを補う。高回転域へ迫るほど咆哮を強め、控えめな5700rpmのレッドラインへ向けてパワーを高める。5速マニュアルの望ましいギア比のおかげで、必要に応じて回転数を維持しやすい。

当初の疑問、コルティナ II ロータスの2倍の価格へ納得する体験が得られるのか、の答えはイエス。1750 GTVと僅かに異なる2000 GTVだとしても、ドライブトレインの完成度やインテリアの洗練度の優位性は否定できない。動的特性でも差をつけている。

反面、準備できる予算がその半分だとしたら、筆者はコルティナ II ロータスを喜んで選ぶだろう。価格以上の価値があり、今でも英国人の心をくすぐる、小さなフォードだ。

協力:クラシック&スポーツカー・センター・マルトン、オリバーズ・オン・ザ・マウント・カフェ&バー

コルティナ II ロータスと2000 GTV 2台のスペック

フォード・コルティナ II ロータス(1966~1970年/英国仕様)

英国価格:1266ポンド(新車時)/5万ポンド(約925万円)以下(現在)
生産数:4093台
全長:4267mm
全幅:1574mm
全高:1346mm
最高速度:167km/h
0-97km/h加速:11.0秒
燃費:8.5km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:914kg
パワートレイン:直列4気筒1558cc 自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:110ps/6000rpm
最大トルク:14.3kg-m/4000rpm
トランスミッション:4速マニュアル(後輪駆動)

アルファ・ロメオ2000 GTV(1971~1976年/英国仕様)

英国価格:2433ポンド(新車時)/5万ポンド(約925万円)以下(現在)
生産数:3万7459台
全長:4089mm
全幅:1575mm
全高:1295mm
最高速度:193km/h
0-97km/h加速:9.2秒
燃費:7.5km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1044kg
パワートレイン:直列4気筒1962cc 自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:132ps/5500rpm
最大トルク:18.4kg-m/3000rpm
トランスミッション:5速マニュアル(後輪駆動)

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みんなのコメント

2件
  • rom********
    ACBCな。
    Anthony Colin Bruce Chapman
  • dta********
    GTVのV アルファロメオはヴェローチェ、セリカはヴィクトリーだったよな確か。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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