シンプルかつ機能的なEV アフリカの誇りに
北アフリカに位置するモロッコの新興企業アトラスEモビリティ・グループは、2026年までに高級電動SUVを開発・発売する計画を発表した。
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同社の共同設立者兼CEOであるモハメド・イエヒア・エル・バッカリ氏はAUTOCARに対し、「モロッコのデザインとアイデンティティ」にインスパイアされた「シンプルかつ機能的」なEVになると語っている。
また、「実際に消費者が必要とし、求めている技術のみを使用する」とし、「不要なものはすべて切り捨てる」とも語っている。
アトラス社は、まず欧州、アフリカ、中東の市場に参入し、ミドルクラスの顧客獲得を目指す。そのため、同社初の市販車となる電動SUVは、BMW iX1、メルセデス・ベンツEQA、テスラ・モデルYなどと競合し、価格は4万ポンド(約690万円)から5万ポンド(約860万円)程度になると予想されている。
同社はまた、テスラのように独自のEV充電インフラを立ち上げる予定であり、「実際の製品を市場に出す前に、まずインフラを導入する」としている。
車両にはOEMの既製部品を使用し、モロッコで生産することでコスト削減を図るという。
エル・バッカリ氏は次のように説明する。
「まず第一に、技術開発、つまり研究開発費です。当社の場合、研究開発費は投資総額の5%程度に過ぎません。すべてを自社開発するのではなく、OEMや他社がすでに開発した専門知識とノウハウ、技術を活用しているのです」
「当社は、すでにあるものを最初の段階で組み立てていき、最もコスト効率の良いアプローチを取ります」
「EV生産に関わる第二のコストは電気代です。また、特定の市場では電気代が非常に高くなる傾向がありますが、モロッコでは電力の約50%が再生可能エネルギーでまかなわれています。そのため、モロッコはすでに再生可能エネルギーに長けていて、工場を稼働させるための電気代などが安くなるのです」
「もう1つの利点は、非常にコスト効率の良い方法で原材料にアクセスできることです。当社はそれを強みにしたいと考えています」
「人件費も安い。モロッコの人件費は欧州の20%です。最低賃金は月300ドル程度で、欧州では1000ドル以上です」
モロッコにはすでに自動車のサプライチェーンが存在し、ルノー・グループなどの大手企業が北アフリカの国に工場を構えている。ルノーは、ジブラルタル海峡に面した港町タンジェで欧州向けのダチア・サンデロを生産しており、ミニバンのダチア・ジョガーの生産も2024年半ば頃に同工場に移される予定だ。
エル・バッカリ氏によると、アトラス社は複数のメーカーとプラットフォーム共有の可能性について協議しているが、特定の企業名を挙げるのは時期尚早だという。
同様に、さらなる投資に関する話も進んでいるが、まだ高度な段階には至っていないようだ。
アトラス社が、なぜ難易度の高い自動車業界に参入することになったのか。学生時代から自動車業界に関わり、コンサルタントなどを経験してきたというエル・バッカリ氏は次のように語っている。
「クルマは感情を表すものであり、それも非常に情熱的なものです」
「アフリカの人々が誇りに思うようなものをつくりたい。今までこのようなことを行った人はあまりいないでしょう。アフリカでEVを開発・設計したのは、当社が初めてになります。それは、人々に多くの誇りと充実感をもたらすはずです」
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