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セダン勢躍進の週末。ミューラー今季初ポールに、アウディとヒュンダイが勝利/WTCR第6戦

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セダン勢躍進の週末。ミューラー今季初ポールに、アウディとヒュンダイが勝利/WTCR第6戦

 2021年のWTCR世界ツーリングカー・カップ第6戦、フランス・ポー-アルノーでの1戦が10月15~17日の週末に電動ツーリングカー選手権『PURE ETCR(ピュアETCR)』との併催で争われ、予選ではイバン・ミューラー(リンク&コー03 TCR/シアン・レーシング・リンク&コー)が今季初のポールポジションを獲得。予選トップ10リバース採用のレース1ではフレデリック・バービッシュ(アウディRS3 LMS/コムトゥユー・チーム・アウディスポーツ)が“ライト・トゥ・フラッグ”を決め、続くレース2ではジャン-カール・ベルネイ(ヒュンダイ・エラントラN TCR/エングスター・ヒュンダイN・リキモリ・レーシング・チーム)が後続の混乱を尻目に今季2勝目を挙げランキング2位までカムバックを果たすなど、大方の予想に反しセダン系モデルが躍動する週末となった。

 このフランス戦の週末を前にBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)改訂版がリリースされ、20kg増のクプラ・レオン・コンペティションTCRが沈み、同じく10kg減のFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRが競争力を改善。そしてECUによる出力レベルの調整でパワーを削減されているセダン系車種は、引き続き厳しい状況での勝負が予想されたが、現実は公式練習から予想外の展開を見せる。

TCRの最新BoP改訂版がリリース。好調クプラは20kg増、苦戦のホンダは10kgの軽減措置

 最初のFP1を1-2で制したWTCC世界ツーリングカー選手権4冠王者ミューラーに続き、FP2は僚友サンティアゴ・ウルティア(リンク&コー03 TCR/シアン・パフォーマンス・リンク&コー)が最速を記録。勢いそのままに予選へと臨んだシアン・レーシングのリンク&コー軍団は、ベルネイとノルベルト・ミケリス(ヒュンダイ・エラントラN TCR/ヒュンダイ・エラントラN TCR/BRCヒュンダイN・ルクオイル・スクアドラ・コルセ)のヒュンダイ勢を抑え、ミューラーがシーズン初の最前列を射止めた。

「ようやく今季最初のポール獲得の瞬間が訪れた! クリーンなラップだったし、僕らはつねに『もう少しうまくやれたのでは?』と思いがちだが、悪くないアタックだった。個人的には満足しているよ」と、1分18秒973のフライングラップを記録した53歳のミューラー。

 一方のウルティアは、トム・コロネル(アウディRS3 LMS/コムトゥユー・DHLチーム・アウディスポーツ)を妨害したとして、同じくジョルディ・ジェネ(クプラ・レオン・コンペティションTCR/ゼングー・モータースポーツ・サービスKFT)妨害の判定を受けたジル・マグナス(アウディRS3 LMS/コムトゥユー・チーム・アウディスポーツ)とともに、レース1グリッド降格のペナルティが言い渡された。

 また、この週末にベルネイと同じく電動マシンとの“乗り換え”に挑んだミケル・アズコナ(クプラ・レオン・コンペティションTCR/ゼングー・モータースポーツ・サービスKFT)は、直前のBoP調整に加えて「セットアップに問題があり、それが間違いだとわかった」とまさかの予選19番手に沈む結果に。「FP2で良かれと思って加えた変更が裏目に出た」と、曲がりくねって非常に狭いポー-アルノーのトラックで、後方からの巻き返しを強いられることとなった。

 日曜10時15分にスタートが切られたレース1は、リバースのフロントロウに並んだテッド・ビョーク(リンク&コー03 TCR/シアン・パフォーマンス・リンク&コー)とのサイド・バイ・サイドを制し、バービッシュがターン1のホールショットを奪っていく。

■レース2では5番手争いの3台が肉弾戦を展開
 後方では選手権首位の王者ヤン・エルラシェール(リンク&コー03 TCR/シアン・レーシング・リンク&コー)に“回された”ティアゴ・モンテイロ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.DE・ミュニッヒ・モータースポーツ)がバリアに激突し、いきなりのセーフティカー(SC)出動が宣言される。

 その同じタイミングでもう1台のシビック、アッティラ・タッシ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.DE・ミュニッヒ・モータースポーツ)と絡んでいたミューラーはサスペンションにダメージを負い、ここでピットへの帰還を余儀なくされる。

 7周目のリスタートで20周に延長されたレースは、そのままバービッシュがビョークとのマージンを維持。鉄人ガブリエル・タルキーニ(ヒュンダイ・エラントラN TCR/BRCヒュンダイN・ルクオイル・スクアドラ・コルセ)を従えてのポディウム獲得となった。

「予選ではスピードがなかったが、正直に言えばマシンの軽さがすべてだった」と、最低車両重量1275kgのアウディRS3 LMSで勝利を飾ったバービッシュ。

「レースではその軽量さゆえ、フロントタイヤの摩耗でアドバンテージがあった。軽さによって競争力を取り戻した結果だね。ただ選手権を考えれば、予選でのスピードを取り戻すことが急務になるだろう」

 続いて雪辱を期すミューラーを先頭に12時15分に開始されたレース2は、蹴り出しでわずかに競り負けたリンク&コーがベルネイのヒュンダイに先行を許してしまう。そのまま10周以上2番手を守り続けたミューラーだが、一旦は背後のミケリスから攻撃を受けポジションを譲るものの、17周目には再び2番手を奪還。さらに僚友ウルティアもヒュンダイを攻略し、ミケリスはその後も次々と順位を奪われ“アクシデントの渦中”に引きずり込まれる厳しいレース展開となる。

 そのハンガリー出身ドライバーの背後に迫った王者エルラシェールだが、ヒュンダイのテールに張り付いた隙を突き、さらに後方から迫ったエステバン・グエリエリ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.DE・ミュニッヒ・モータースポーツ)が19周目にオーバーテイクを試みると、選手権リーダーのリンク&コー03 TCRはシケインでコースオフし、グエリエリのシビックはタイヤバリアをヒット。この緩衝材がトラック上に転がり出たことで再びのSC導入が宣言される。

 迅速な作業により1周後にはリスタートが切られ、22周となったレースは“ラスト1ラップ・スプリント”の展開となり、5番手を争う3台が再びの肉弾戦を展開。結果、グエリエリと接触したミケリスがエルラシェールの先行を許す決着に。

 約1.5秒のマージンを築いて首位でチェッカーフラッグを受けたベルネイに続き、ミューラー、ウルティアのリンク&コーが続く表彰台。レース1勝者バービッシュが巻き返しの4位フィニッシュを果たし、5位に続いたエルラシェールが160点まで獲得ポイントを伸ばし、選手権首位を堅持。ベルネイが16点差でランク2位に浮上し、22点差でグエリエリが追うかたちとなった。

「ニュル以来の大量ポイント獲得で全体的に良い1日になった。リンク&コーがレース1で苦戦していたのを見て“OK”と思ったし、スタートでイバンを仕留めたのがすべてだった。これで戦いの場に戻ることができたね」と勝者ベルネイ。

 終盤戦に突入し、残すは2戦となった2021年のWTCRシーズン。新規追加のロシア・ソチでの最終戦を前に、続く第7戦は11月5~7日の週末に工期遅れによる延長が続いていたイタリアのアドリア・レースウェイでの開催が予定されている。

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