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新規則『WRC27』を各チーム首脳が支持。多様なエンジンやボディを許容、参戦コストは大幅削減へ

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新規則『WRC27』を各チーム首脳が支持。多様なエンジンやボディを許容、参戦コストは大幅削減へ

 2024年12月にFIA国際自動車連盟は、ルワンダ・キガリで開かれたWMSC世界モータースポーツ評議会にて、2027年からWRC世界ラリー選手権に導入する新たな技術規則『WRC27』の詳細を公開した。

 これによって2027年以降のWRCでは、参戦マシンの多様性を許容し、ボディワークからパワートレインにいたるまで、各メーカーが持つ選択肢をなるべく反映させやすい柔軟な規則を導入することが決定された。

WRC、2027年より柔軟な新技術規則を導入へ。2025年からポイントシステムの一部調整も決定

 さらに11月には2025年シーズンより、2024年シーズンまで使用されてきたプラグイン・ハイブリッドユニット(コンパクト・ダイナミクス社製)を搭載しないことを発表しており、それに伴って最低重量を軽減しつつ吸気リストリクター径を縮小することで性能調整を行うことも決定。来季より、『WRC27』へ向けた変更を徐々に進めていく方針を取った。

 FIAのWRC委員会会長であるペルニラ・ソルベルグは『WRC27』について、「競技者、主催者、ファンの声に基づいて明確な目標を設定し、コストを大幅に削減することで独立チームがメーカーと競争できるようにすると同時に、自動車業界の変化にかかわらずWRCが存在感を維持できる柔軟性を与える」ための策であることを強調しており、最高峰クラスへの参戦メーカーの増加を目指していく意志を示している。

 そして、この新たなスポーティング・レギュレーションを検討していく段階にて、現在シリーズへ参戦しているTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)、ヒョンデ・シェル・モービスWRT、Mスポーツ・フォードWRTの各首脳も参画しており、『WRC27』の決定について強い支持をコメントしている。

●ヤリ-マティ・ラトバラ/TGR-WRTチーム代表

「私たちはFIAと懸命に協力し、2027年の規則にできる限り貢献してきた。私たちは、規則案のメインテーマがうまく策定され、シリーズが正しい方向へ向かっていると考えている」

「詳細の一部を確定し改善するためにはまだ重要な作業が残っていると考えているが、現段階では当たり前のことで、何の問題もないだろう」

●シリル・アビデブール/ヒョンデ・シェル・モービスWRTチーム代表

「メーカーにとって、チャンピオンシップの長期ロードマップがあり、それを総合的に評価し、改善できることはつねに前向きなことだ。スポーツは、メーカー基盤を安定させながら発展させる必要があるため、コスト削減のためになされた重要な取り組みを歓迎する」

「また、エキサイティングなラリー形式で素晴らしいマシンを披露し、ファン層を拡大することでスポーツの価値を高めていきたい」

●マルコム・ウィルソン/Mスポーツ・フォードWRTマネージングディレクター

「この規則はWRCにとって正しい方向だと思う。我々はさらなる新しいエントリーや、より多くのチームとドライバーがトップレベルで競争するWRCを必要としており、2027年のこの規則はそれを促進するはずだ」

「さらに、より多くの若いドライバーにチャンスを与える可能性にも繋がるはずで、それはこのWRCというスポーツの長期的な成功に不可欠な要素だ。同時に、WRCをより参戦しやすいカテゴリーにし、多くのチームがメーカーと並んで競争できるようにすることも非常に重要視している」

 具体的に、新技術規則『WRC27』においては、ラリー1マシンの骨格とも言えるセーフティセル・コンセプトが共通設計へと変更され、複雑さとコストを削減する。さらにボディワークについても、ハッチバック以外の選択肢としてセダンやSUVモデルを採用することが可能となり、独自のコンセプトモデルをデビューさせることもできるようになる。

 そしてパワーユニット(PU)については、詳細こそ未定だが、持続可能な燃料を使用するエンジン、ハイブリッドPU、完全電動の間で自由に選択することができるようになるという。ただし導入初年度は、持続可能な燃料を使用する内燃機関を使用することがシリーズとしての目標であるというが、ハイブリッドPUや完全電動技術を含む多様化を後の段階で導入していく方針が定められた。

 これらの、各メーカーやチームの多岐に渡る選択肢を許容しうる柔軟な環境を定めた『WRC27』は、さらにコスト削減にも特徴を持つ。2027年の総コストを34万5000ユーロ(日本円で約5500万円)に制限し、50パーセント以上のコスト削減を図ることでシリーズ参画へのハードルを下げ、参戦団体数の増加を目指す。

 2020年シーズン以来、最高峰クラスへの参戦メーカー数は3社にとどまっているWRC。これまで、従来の参戦メーカーがコストの高さやエンジン形式やPUの自由度において越えられない壁があることを示していたこともあり、新規則で課題を直接解決する大きな方針転換を採った。現時点では2025、2026年のエントラント増の情報はないが、新たな技術規則が呼び込むかもしれないWRCの新時代に期待が高まっている。

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みんなのコメント

8件
  • alp********
    これで参戦するメーカーが増えればいいんだけど
  • m2_********
    何でもイイなら過去作のレストモッドとかでイイような…w
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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